■リヴァイアサン大祭2014『白雪舞いて、白肌踊る』
エルフヘイムでは珍しいアマツカグラ衣装。その衣装の貸衣装屋が臨時出店していた。様々な衣装が並び、「わー、格好いい!」とか「可愛いですね」とか少女達の楽しげな声が響く。
アマツカグラのお姫様のような十二単、男性のような着物に胸元をサラシで巻いた女流剣士風、露出が高く動きやすそうな女性の忍び、様々な衣装に着替えて楽しんでいた。
お祭り気分なのと、見慣れぬ異国情緒あふれる着物に2人の気分は年相応の少女の笑顔になっている。
普段落ち着いて大人びているアレサも、どこか浮ついた空気を纏っていた。
「綺麗ですね」
胸元をはだけ、前に長い帯を垂らした赤の花魁衣装を着たサイレントに微笑む。
「アレサも色っぽーい」」
サイレントも、同じように胸元を大きく露出した黒の花魁衣装を着たアレサをうっとり見つめた。
お互いに、普段とは雰囲気のガラリと変わった恋人の姿に改めて惚れ直すのである。
「どれが一番似合っていましたか?」
ふいにアレサが何やら思案げに尋ねる。
「ぅー……選ぶのムリ……全部可愛いもん……」
尋ねられたサイレントは悩み込み、困ったようにうなだれてしまった。
「レンタルではなくて正式に買い取れないか、と思いまして」
アレサは思案げなまま、どこか憂いを帯びた表情で口を開く。
「わたしも買うー! アレサとお揃いの!」
その言葉を聞いたサイレントは、ぱぁっと瞳を輝かせた。
「…………」
しかし、財布を開くと、遊びすぎたせいで随分涼しくなってしまった中身に泣きそうな顔になる。
アレサは、そんな恋人に軽く苦笑を浮かべて、
「すいません」
店主に声をかけた。
何の話をしているのだろうと、サイレントが黙って会話を聞いていると、どうやら何か相談をしているらしい。
「……では、残りは日を改めて買いに行きますね」
店主との話が纏まったらしいアレサは、泣きそうな顔をしている恋人に向き直り、
「とりあえず、今私達が着ている衣装の分は持ち合わせが足りたので、このまま着て帰りましょう」
微笑んだ。
「わーい! ありがとう!」
サイレントは、先ほどまでは泣きそうな顔であったのに、打って変わって全開の嬉しそうな笑顔になる。
「それと、本店の所在地を聞きました。他の服……あなたのぶんも合わせて買いますので、その時はついてきてくださいね」
「んっ。一緒にいくー! 約束するね……♪」