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2人でリヴァイアサン大祭

空駆ける太陽・シルグ
境界の護り人・ガーランド

■リヴァイアサン大祭2014『ぽかぽか』

 エルフヘイムの秘湯。
 シルグとガーランドの二人は、雪景色を見つつ熱い湯に浸かっていた。
「流石は、リヴァイアサンの奇跡。こんなところまで温泉になってるとは」
 感心した口調のガーランドを見つつ、シルグもまた温泉を楽しんでいた。
 二人は、当然ながら裸。そしてシルグはなんとなく、ガーランドの体へと目を向けていた。
 彼の身体は、体型や背丈は普通だが、しなやかで、筋肉もそれなりに付いている。
「あぁ、そうだ」
 と、何かを思い出したようにガーランドが語りかけてきた。
「この前の傷、どうなりました? ちゃんと治りました?」
 そう言って、「ちょっと失礼」とガーランドはシルグの手を取り、真剣な様子で見入る。
「大丈夫だ! 薬のおかげで綺麗に治ったぞ!」
 すっげ〜しみたけど……と、おどけつつ付け加えるシルグ。
 ちょっと前の戦いにて。シルグは腕を負傷したが、ガーランドに治療を施してもらっていたのだ。
「痕は残ってないみたいですね。良かった」
「だから言ったろ? 治ったって」
「ええ。女性でなくても、傷跡はなるべく残らない方が良いでしょうからね。名誉の勲章……という見方もできますけど、ね」
 言いつつ、ガーランドは心配そうに、そして、愛おしそうに……シルグの腕の、傷のあった場所を撫でた。
 ガーランドに、見られている。それを意識すると……シルグはなんとなく、気恥ずかしさを覚えてしまう。
「ありがと、心配かけてごめん。これからは、なるべく怪我しないように頑張る」
 その照れくささをごまかそうと、シルグは笑った。
「ん、よく頑張りました」
 と、ガーランドは再び撫でる。
「怪我したら何度でも癒しに行きますし……そもそも、怪我しないように、今度は俺が護りますから」
「おう! ガーランドも怪我しないでな」
 彼の言葉に嬉しさを覚えつつ、シルグもガーランドを労う。
「俺もガーランドを守りたいし、傷つける奴がいたら、ぶっ飛ばしに行く!」
「頼もしいですね、もしそうなったら、期待してますよ? ……俺も」

 俺も、仕留めに行きますから。
 一瞬だけ、目が据わったガーランドは、小さくそうつぶやいた。

「?」
「ん? どうかしましたか?」
「……いや、なんでもない。まあ、期待しててくれ!」
 ガーランドの「仕留めに」という言葉は、シルグは聞こえていなかった。
 ただ、一瞬だけ……彼の雰囲気が変わったような、そんな気がした。
 しかし、シルグは気にしなかった。ガーランドの事は一面だけでなく、いろんな面を知っている。紳士的な面や、荒々しい面。そんな事はすでに承知。
「じゃあ、次は俺がガーランドの傷を見てやろう」
「ええっ? ちょ、ちょっと……!」
 シルグは不意に、ガーランドの腕を取って、その肌を撫で始める。
 慌てて顔を赤くしたガーランドを見つつ、シルグは思った。

(「……もし、何を言っていたとしても……気持ちは変わらない」)
 そう、好きという気持ちは。
イラストレーター名:弐壱百