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2人でリヴァイアサン大祭

玲瓏の月・エルス
氷茨の祭祀長・マウザー

■リヴァイアサン大祭2014『煌雪の音』

「うーわーあー、本当に氷で出来た大木なの!」
 綺麗で大きな木を見上げ、エルスは歓声を上げる。
「エルフヘイムと言えば樹、ですが氷の木まであるとは凄いですよね」
 答えるは隣にいるマウザー。手にはティーセットと、エルスが冷えて風邪を引かないために上着も持っている。
「高い所は少し苦手です?」
「きっと大丈夫!」
 マウザーに問われ、エルスは答える。
 実のところ、エルスは高い所は苦手だった。しかし、信頼出来るマウザーが隣にいるのだから平気だろう――思って、エルスは枝葉に足をかける。
「不安でしたら握っていても大丈夫ですよ」
 言ってマウザーはエルスに腕を差し伸べる。エルスは素直に腕を掴み、マウザーと共に高所を目指した。

「お菓子もたくさん用意したの!」
 ――高い位置にある葉の上に腰掛け、温かい紅茶の用意をするマウザーにエルスは持参したお菓子を勧める。
 蜂蜜のマドレーヌやガトーショコラ、そして栗のモンブランなど――水晶のように煌めく葉の上で食べるお菓子と紅茶は、いつもよりも美味しく感じられた。
 高所にいるためか、のんびりとティータイムを楽しんでいると空のリヴァイアサンが一際目立つ。白雪の舞う夜空を見上げ、そこにリヴァイアサンの姿を認めるとエルスはリヴァイアサンを指さした。
「そこ! 見て見て! りわーさんなの!」
「ああ、あんまりはしゃぎすぎると危ないですよ」
 マウザーが葉っぱの上に立ち上がるエルスを軽く止めれば、落ちてしまわないようにとエルスはマウザーにぎゅっとしがみついた。
 そして、二人で空を見上げる――雪とリヴァイアサンの舞う銀世界を。
「本当に綺麗ですね……」
 マウザーの口から感嘆の溜息が漏れる。
 来年もこの素晴らしい景色を見ることが出来たら――そう思ったが、それは口にしない。出来るようにしよう、と代わりに誓って。
「めりーりわーさん!」
 幻想的な景色の中、エルスは祝福の声を上げるのだった。
イラストレーター名:桐嶋たすく