ステータス画面

2人でリヴァイアサン大祭

月白のステラ・ルカ
紅月の双眸・ユン

■リヴァイアサン大祭2014『Sanctum noctem』

 窓の外には、白い雪が静かに降り続いている。
 街ではまだ賑やかなお祭りに、たくさんの人々が集っていることだろう。今宵は特別な夜だ。沢山の恋人たちがそれぞれに素敵な場所を選び、愛を恋を囁いている頃だ。
 ルカとユンもまた、二人きりの場所でその時間を過ごしていた。
「紅茶、入ったよ」
 もふもふとしたソファに腰掛けて分厚い本に目を落としていたユンは、その声で顔を起こした。ルカが入れたての紅茶を運んできてくれたのだ。
「ありがとうございます」
 受け取り、微笑む。長い黒髪がさらりと揺れた。
 紅茶をテーブルに置いて、ルカもにっこり笑って、彼女の隣に腰掛けた。
「こうやってのんびり過ごすのも、久しぶりだね」
「……そうですね」
 視線は本に向け、ユンが答える。ちょっと素っ気無いくらいなのが彼女だ。前に会った時と少しも変わらない横顔を見つめ、ルカは目を細める。
 一緒に食事をして、こうして自分の部屋でのんびり過ごせて。
 これっていつ振りだろう。随分、長いこと無かったかもしれない。
 紅茶をもう一口飲んで、ルカはソファの上にあったもふもふのクッションを腕に抱く。彼女と会えなかった時間に感じていた不安と孤独が一瞬胸によぎって、それを落ち着けるためだった。
 いつも危険と隣り合わせにいる彼女。逢いたくてもいつでも逢えるわけではない。
 手紙を送っても、返事がなかなか届かないこともある。
 だから、ルカは時々とても心配で。……けしてユンには伝えないけれど。
「……」
 でも今、彼女は自分のすぐ隣にいる。リラックスして、ルカの知っている彼女のままで、今、体温を感じられる距離にいてくれている。
 素直に嬉しい、と感じた。もふもふのクッションも今日はなんだか、よりもふもふしている気がする。とっても暖かくて気持ちよくて、ルカはその感触に埋もれるように目を閉じた。

「……!」
 活字を眺めていた彼女は、急に隣から押され、驚いて顔を起こした。
 見ればルカがうとうとしながら、自分のほうにもたれている。
「……ユン……」
 彼の口元が動いて、小さく名を呼ばれた。
「……」
 起きているのだろうか? わざとだったら……。
 ユンは頬を赤らめ僅かに考える。
 しかしすぐに疑念は晴れた。あまりに無邪気な寝顔だったから。
(「今日くらいは、ね……」)
 軽く息をつき、その寝顔を優しく見つめた時だ。彼の口元が再び動いた。
「……ユン、……すき、だよ……」
「……!」
 ぼん!と音がしそうな程、顔に血がのぼって熱くなる。反動で膝の魔道書を振り上げかけた彼女は、しかしなんとか自制した。
「別に嫌いじゃな……」
 書物を膝に戻し、彼女はまだ赤らむ頬を片手で撫でた。心を落ち着け、再び彼を見る。
 間違いなく寝ている。確認し、それから部屋を見回した。もちろん他に誰もいるはずもなく。それだけ用心してから、彼女は彼の耳に囁く。とびきり密やかに。
「ううん、私も……好き……ですよ」
イラストレーター名:wane