■リヴァイアサン大祭2014『To look for a present!』
「狙うは今晩のディナーの食材!」賑やかな街並みの中、トウキが元気な笑顔を広げる。
「そうだね……今晩のディナーを豪華にするのも大事だから、食材探しを頑張ろうか」
横を歩くソラリスも、穏やかに微笑んで頷いた。
「ワインだろ、パンに……メインディッシュはチーズフォンデュ! それに忘れちゃならねぇのがチキンだろ? それと、美味しいケーキ!!」
瞳を輝かせたトウキが「とびっきり美味しいモノを探そうぜ?」と顔を綻ばせる。
「じゃあ、まずは美味しいワインを見つけよう」
ソラリスが、穏やかに口を開いた。
「ワインは、飲むのは勿論、食事やお祭りを引き立たせるのも一番……って知り合いの受け売りなんだけれども」
笑顔のまま続けて、最後は苦笑する。
「へぇ……そうなんだ! 受け売りでも知ってるだけ凄いじゃん!」
トウキは、歓心して更に瞳を輝かせた。
いくつか店を回り、2人の手には少しずつ荷物が溜まりつつある。
「次はあっちの店に行こうぜ!」
それでも、あちこち回りながら、トウキがひっそり探しているものはまだ見つからない。
(「年に一度だしよ、やっぱり気に入ったものを贈りたいじゃねぇか」)
贈りたい。プレゼントを。勿論、今隣で寒そうにしているソラリスに。
(「俺にとっては誰よりも特別……なんだし」)
人混みの中、トウキがそんなことを考えていると、ソラリスが荷物を持ち替えた。
トウキの左側にいるソラリスが、右手に持っていた荷物を、左手に持ち替えたのである。それはつまり、自分の空いてる左手と近いソラリスの右手が空いたということで。
「ほら、早く次行こうぜ! もう、ソラリスはのんびりしてるから、はぐれちまわないようにな!」
ソラリスの冷たい手を、トウキの左手が握る。
(「……あ」)
温かいトウキの体温。実はソラリスも手を繋ごうと思っていた。だから荷物を持ち替えたのだ。
「そんなに急がなくてもお店は逃げないよ」
ソラリスは穏やかに、どこか嬉しそうに笑う。
(「それに……もし離れてしまったとしても、目を惹く金色を目印にするよ……いとおしい、色……」)
トウキの緑の髪、一房だけ輝く金色の部分を見ながら。
「店は逃げないけど、品物は売り切れる! だから早く行こうぜ!」
ビシッと言い放つトウキは、繋いだソラリスの手をぎゅっと握る。
(「まだ照れくさくて「だいすき」って言えないから……俺にとっての特別っていう気持ちをプレゼントするから!」)
口に出さなくても、2人の想いは同じだった――。