■リヴァイアサン大祭2014『果て無き空に誓う』
雪の降る空、天駆けるはリヴァイアサン――アンゼリカとタージェは天上の雪とリヴァイアサンの動きに魅入っていた。(「……そか、あれから四年か……」)
エンドブレイカーに目覚めてからの年月を、そして今は亡き父親を思い出し、タージェは瞳を僅かに細める。あの時はまさか、こんな大事になるとは思ってもいなかった。
思いながら、タージェは隣に立つアンゼリカに目をやった。アンゼリカはタージェよりエンドブレイカーに目覚めてからの日が浅く、それでも二年半の時をエンドブレイカーとして生きてきた。
「色んなことあったけど、でも、もっとずっと前から一緒な気もするかな」
「絶対、勝とうな!」
笑って言うタージェに、目は空を見つめたまま、アンゼリカは最後の戦いを前にして宣言する。
片手は握って見つめる空に突き上げて、もう片方の手は親友のタージェの手をぎゅっと握り締めて。
強く言いながら、アンゼリカはこれまでの冒険を思い起こす。
タージェと会えてからというもの、アンゼリカは依頼で失敗をしたことはなかった
――それでも怖い思いはいくつもしてきたし、先日の奈落決戦ではタージェともども敗北を喫した。
これから待ち受ける最後の戦いに、不安がないわけではない。
「うん、絶対勝とうね。えい、おー!」
アンゼリカにならって、タージェも繋いでいない方の片手を振り上げる。もう片方の手に感じる温もりが、タージェを勇気付けてくれていた。
これまでの冒険で出来たたくさんの思い出、今この手に感じる確かなぬくもり――それらは2人に勇気と元気をくれる。――だから、とアンゼリカは先ほどのタージェの言葉に言葉を返す。
「私も。ずっと前からタージェとは……一緒だったかなって思っているよっ」
大魔女が手ごわいことは分かっている。けれど、タージェもアンゼリカも、決して1人ではなかったから、ここまで戦ってこれた。
これから迎える決戦の果てに何があるのかは、まだ分からない、けれど……。
「戦いが終わっても、離れても……素敵な時を、だね!」
「うん、素敵な時を、だね!」
アンゼリカに笑みを返し、タージェは、けど、と言う。
「離れてもまたどこかで逢えるよ」
だって僕達、エンドブレイカーだもん。
言って、2人は微笑みを交わすのだった。