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2人でリヴァイアサン大祭

天光の騎士・フィン
アウトロー・トリエラー

■リヴァイアサン大祭2014『始まりの誓い』

 雪の降るリヴァイアサンの丘。
 フィンはトリエラーの瞳を見つめ、その気持ちを伝えた。
「好きです……」
 それは、ずっと素直に伝えられなかった想い。
 けれど、伝えると同時に、終わらせなければならない想い。
「けれど、どうか……私のことを、振って下さい」
 消え入りそうな声で、フィンはそう続けた。
 フィンはエルフだ。長い耳を持つこの種族は人間と違い、15歳の誕生日以降は3年に1度しか年を取ることがない。
 対するトリエラーは人間で、2人は生きる時間が違う。
 それだけではない。フィンの中には過去に囚われた部分があって、そのトラウマが彼女の心を縛り付けていた。
「私は、弱いから……きっと、貴方を失ってしまう」
 声が震えて、トリエラーを見るフィンの紫の目に、涙が浮かぶ。
「フィン」
 トリエラーはじっと彼女の顔を見て話を聞いていたが、フィンの涙に目を細めた。
 フィンはトリエラーの袖を小さく掴む。
「簡単です。これを……振り払うだけです……」
 ぽろぽろと大粒の涙を零してフィンは伝える。
 どうかこの手を振り払い、私の想いを終わらせて、と。
 しかしトリエラーは、袖を掴んだフィンの腕を掴むと、そのまま彼女を胸へ抱き寄せた。
「……それでも、俺はフィンが欲しい」
「……!!」
 種族の違いも越えて、彼女を捕らえるトラウマごと。
 フィンをすべて受け入れる、と、トリエラーは彼女を抱き締める。
 先ほどとは違う、温かな涙がフィンの目から零れた。
「トリエラーさん……」
 ああ、やっぱりこの想いを終わらせることなど出来ない。こんなにも彼を想っている。
 そう思いながら、フィンは顔を上げた。
 トリエラーと、真っ直ぐに目が合う。
「では……誓いを……」
 フィンは彼の胸元に手をかけ、よじ登るように背伸びをしながらキスをした。
 それは、2人の始まりの、誓いのキス。
「ずっと傍にいてね……貴方がいなくなってしまう、その時まで……」
 涙の残る、潤んだ瞳で見上げてフィンは言う。
「ああ……」
 トリエラーは、そんな彼女の髪をそっと撫でた。
「とりあえず……もう少し、ここにいようか」
 お互いの想いを感じながら、一緒にいたい。
 トリエラーはフィンを側に抱き寄せる。
 リヴァイアサン大祭の夜、小高いリヴァイアサンの丘からは、賑やかな街の明かりが見えた。
 優しく降る雪の中、フィンとトリエラーは互いの温かさを感じながら、その綺麗な煌きを一緒に眺めた。
イラストレーター名:乱翠