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2人でリヴァイアサン大祭

怪しくない神楽巫狐・リーリア
アクエリオのカジノ王・リーゼロッテ

■リヴァイアサン大祭2014『幸せがいつまでも続くことを願って』

 12月24日、リヴァイアサン大祭の日。雪の降るのを家の中から眺めているのも勿体無いのではないか――どちらからともなくそう言いだし、2人は雰囲気の似た、お揃いにも見える衣装を身に纏い、アクエリオの街へと漕ぎ出すことにした。
「じゃあ、行きましょうね〜」
 使うはリーリアの所有するゴンドラ。この日のためにゴンドラにも少しばかりの装飾を施し、おめかしをさせていた。
 ゴンドラに乗り込んで、2人は街を流れる水路をゆっくりと巡る。
 水上から見る街にはたくさんの人が歩いているが、誰も彼も幸せそうな、満ち足りた表情を浮かべている。自分たちもそんな表情なんだろうか? ――思って2人は互いの顔を覗き見ては、いたずらっぽく笑い合う。
「綺麗やなぁ」
 お祝いの為だろうか? 街の一角に装飾が施されている。リーゼロッテとリーリアにとって今日が大切なのと同じように、そう過ごす人々が街にもいるのだろう。
 旅団や冒険の中で出会った皆も、今日という日を楽しく過ごしているだろうか――そう思いながら、リーリアはリーゼロッテに声をかける。
「見てるだけで楽しくなっちゃいますねー」
「せやね。こっちにも行ってみよか」
 リーゼロッテは頷いてから誘いかけ、メインストリートを逸れて静かな辺りをわざと通ろうと提案する。
 静かな道には明かりも少なく、星明りばかりが美しく思えた。幻想的とも思える景色には、二人とも溜息をつくばかりだった。
 そうした所を一通り巡り終え、二人は再び街に近い水路へとゴンドラを動かす。
 リーゼロッテとリーリアは寄り添い合って、降る雪をぼうと眺めていた。
 空が暗いおかげで、雪の結晶の形がよく見えた。ゆらゆら揺れながら白い粒は川面に落ち、儚くも美しく溶け消える。
 いくつもいくつも舞い降りる雪。二人は何の言葉を交わすこともなくそれらを見上げ、気付けば幸せそうな笑みを浮かべていた。
 ゆったりとした、穏やかな時間が流れる――やがて二人は顔を見合わせて笑いあい、家へ戻ろうと漕ぎ出していく。
 こんな幸せなリヴァイアサン大祭をこれから先も迎えられますように、という願いを込め、夜は更けていく。
イラストレーター名:こはる