■リヴァイアサン大祭2014『Starlight Parade』
視線を上に向ければ、澄んだ空気に輝く満天の星空。視線を下に向ければ、きらきらと星のように煌く――人の温もりで咲いた花。
「空気が澄んでいると、やっぱり良く星が見えるな。花も光ってそこら中が空みたいだ」
小高い丘で、腕の中にすっぽりエミリーを包んで毛布を被ったアーネストが静かに口を開く。
「星が降りてきたみたいですね」
エミリーは暖かな毛布に包まれ、背中に伝わるアーネストの温もりに、にっこり幸せそうに笑った。
他愛のない話をしながら、お互いの温もりを感じ合う。年に1度の奇跡の日。
「……」
「……」
ふいに会話が途切れた。
(「ペルル……ちょっとごめんね……」)
エミリーは、連れてる妖精をそっと毛布の中に押し込む。
アーネストの手が、毛布の中でそっとエミリーの手を握った。背中越しに振り向いたエミリーの唇とアーネストの唇が重なる。
「……エミリー」
静かに唇を離したアーネストが優しく微笑むと、
「……幸せ、です」
瞳に光る雫を浮かべたエミリーも微笑んだ。
(「アーネストさんと知り合ってから随分長い時間が経ちました……」)
エミリーはアーネストと共に過ごした色々な思い出を次から次へと思い出す。
「出会ってから3年以上かあ……。これからもヨロシクな、エミリー。もちろん、ペルルも」
ふとアーネストが口を開いた。エミリーの頭の中を覗いたのではないかと思うほどのタイミングで。
「はい……!」
同じ事を考えていたのだとエミリーは嬉しくなり、次から次へと涙を零しながら頷く。先程毛布の中に押し込まれたペルルも、毛布から顔を出して笑った。
これからどうなるかはまだ分からない。大きな戦いも控えている。それでも、こんな穏やかな時間はかけがえがなく。
(「こんな時間がずっと続く未来もいいんじゃねぇの?」)
目元を柔らかくしたアーネストは、エミリーの止まらない涙を指で優しく拭って、そっと髪を撫でた。
アーネストがエミリーの髪を撫でながら、夜空を見上げると、エミリーも姿勢を直して夜空を見上げる。
そのまま2人は時間を忘れて、ただずっと星と花を眺めていた。
――星がくれた、2人だけの幸せな時間ずっと。