■リヴァイアサン大祭2014『Snow Bridal Rehearse…?』
リヴァイアサンが見守るは。人の幸せ、あったかさ。今年の今宵も、天を舞う。星々とともに、人々を。
見守る一つは、白雪の。庭にて遊ぶ、親子の姿。
とてとてっ……とした足取りで、雪上歩くは、アーデルハイド。
「嗚呼アリス、足元御注意!」
父親のシャポリエが、そう言ってくる。積もる雪上、歩くは大変。雪にて足が吸い込まれそう。
「シャーリィ。ぼくが転んだら……すぐ抱き留めてくれる?」
「もちろンだとも、当然さ。兎穴から落ちたッて、受け止めてみよう、約束さ」
そう言ってくるは、父・シャポリエ。
「さあて、さて。今日はどんな物で君を魅せようか」
手品師のように、道化師のように、仰々しくもうやうやしく、シャポリエ、アリスの目をば引く。
「ぼく、お手伝いできるよ」
そんな父への役に立ちたく、アリスが申して出るは『手伝い』。
「それではアリス、たのもうか。白くてきれいな白雪を、集めてくれちゃあもらえんか?」
「うん。いっぱいお雪、集めてくるよ。今日魅せてくれるのは、どんないいもの、『すてきなもの』?」
「そいつは見てのお楽しみ、さあさお雪を、集めましょう」
集めた雪に、形を与え。
できたそこには『雪だるま』。
丸いお顔に、まんまるお腹。浮かべる表情、ご愛嬌。
「わあ、あ……」
それ見たアリスも、目をまんまる。
「可愛い雪だるまさん、今晩は。お友達になって、くれるかな」
にっこり笑顔の雪だるま、アリスの顔にも笑顔が浮かび。
「さあさお次は、ウェディングケーキ。白くきれいなお嫁さん、一切れいかが?」
次にできたは、ウェディングケーキ。白く清らか、見た目もきれい。
「おいしそうな、ケーキも素敵。シャーリィすごいね、素敵だね」
「これはパパとの誓いのケーキ、パパのお嫁になッてね、なんて。せっかくだから、入刀するかい?」
パパが言い出す、ちょっとの冗談。悪戯心に下心。けれどもアリスは、目をキラキラに。
「ぼくがいいの? 切っていいの? じゃあこの氷柱、ナイフにしよう。なんだかちょっと、胸どきどきだよ」
アリスが言い出す、ケーキの入刀。シャポリエ慌ててしどろともどろ。
「思い切り……ッてなんで? どうして知って、いるのかな?」
「ねえシャーリィ、しってるよ。ぼくはしってる、この事を。これをいっしょにするひとは、とってもとっても、だいすきなひと」
父へと披露すアリスの言葉。それにはシャポリエ、苦笑い。
「すきな人と、一緒にすること。……だからやりたい、どうしても」
一言息継ぎ、顔赤らめて。
「……シャーリィと一緒に、やりたいな」
紡いだ言葉に、シャポリエも照れ。雪埋もれそうに、身をかがめ。
「……わかった、アリス。ありがとう。俺も遺るね? 一緒にしよう」
ウェディングケーキの雪像へ、入刀するは、幼き娘。
ささやか、なごやか、婚礼ごっこ。父と娘の、愛情そこに。
リヴァイアサンが見守るは、人の幸せ、あったかさ……。