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2人でリヴァイアサン大祭

赤毛の・エリーザベト
何時か星に届いて・ジニー

■リヴァイアサン大祭2014『Are you seeing any dream?』

 暖炉のそば、ふかふかのソファと、暖かな毛布にくるまったエリーザベトは……夢の世界に。
「エリーちゃん、寝ちゃった? 風邪ひくよ?」
 毛布をかけたジニーは、眠っている彼女を見つつ、くすりと微笑む。
 幸せそうな微笑みを浮かべつつ、穏やかな空気の中。エリーザベトは夢の世界に……。

 ジニー、本名ヴァージニア・クレイデイズ。彼女は恐るべき野望を持ち、ラッドシティへと魔の手を伸ばしていた!
「では……長老。ラッドシティの改造計画。了承して頂けますね?」
 すでに、ハンクス長老は洗脳完了している。……そう、『妹萌え』という究極にして至高の思想に染め上げる事に成功した今、誰もジニーの野望を……彼女の『世界妹化計画』を止める事はできない! 
「待てーっ!」
 そこに颯爽登場! 姉萌え美少女・エリーザベト!
「むむっ! これに現れしはエリーザベトちゃん! 何ゆえ我が『世界妹化計画』を邪魔するか!?」
「なぜなら私は、お姉ちゃん萌えだからだ!」
「なにをっ! ならばエリーちゃんも妹萌えにしてあげるわっ! ほーら、どんどん妹に萌えたくなーる萌えたくなーる」
 迫るジニー! しかし、そこに漂うは、お姉ちゃんの色気!
「しまったーっ! ジニーもお姉ちゃん! 姉萌えな自分に迫る姉が、妹萌えを強要してるとは、どうすれバインダーっ!」
 などと矛盾に満ち満ちた訳の分からん状況に陥るジニー! これは困ったぞ、色々な意味で!

 っていうかなんなんだよ、『世界妹化計画』ってさ。そもそも妹莫迦なジニーだから、こんな事をしでかすとはなんとなーく思ってはいたけどさー、妹なんて12人もいれば十分だろうに。つーかその12人の妹たちからお姉ちゃん、お姉ちゃま、あねぇ、お姉様、おねえたま、姉上様、姉様、アネキ、姉くん、姉君さま、姉チャマ、姉やなどと迫られたらそれで十分じゃあなかろうか。そもそも自分は姉萌えっていうかジニー萌えだし。だから私が妹萌えになったら、妹のお姉ちゃん萌えっていうよくわかんない事になっちゃうわけで。いや、考えようによってはそれはそれでありかもしれないけど、でもやっぱそれもちょっと問題があるわけで、いっそのこと姉萌えと一緒に妹萌えの両刀使いになっちゃおうっかなーとか思ったりなんかしちゃったりなんかしてうーんうーん……。

「……うーん、うーん……」
「ふふっ、エリーってばどんな夢見てるのかしら?」
 うなされているようにも、幸せそうにむにゃむにゃっと笑ってる様にも見えるエリザーベトを見つつ……ジニーは微笑んだ。

 こんな日が、いつまでも続きますように。
 ジニーがそんな事を願っているなど露知らず、エリーはもうしばらく……破天荒にして荒唐無稽で、奇妙で珍妙で奇天烈で、けど……楽しい夢の世界に揺蕩っていた。
イラストレーター名:うさねぎ