■リヴァイアサン大祭2014『永久の愛を誓う』
今日は特別な日だった。年に1度のリヴァイアサン大祭。各々がそれぞれの特別な日を過ごしている。
そして、この2人もまた特別な日を過ごす。
ただしそれは、大祭であるということだけではなかった。もっと特別で、大切な日。
エルスマンとジョーガはそれぞれが純白の衣装を身に着けていた。
それは結婚式の衣装だった。エンドブレイカーとして戦い続けた日々で機会に恵まれなかったが、この大祭を機に式を挙げることができた。
「まるで夢のようですね……」
自らが纏う純白のドレスを見つつ、今までの時間を噛みしめるようにジョーガは呟いた。
恋人になってから数年間、こうなることを待っていたように思う。一緒に美味しいお酒を飲める日が来たら一緒にと思い、とうとうその時を迎えた。
「はい。でも、夢ではないですから。……必ず、幸せにしますから」
ジョーガの姿を見るエルスマンもその姿に高揚している。大切な相手のその姿を見れば、言葉にした決意をより深く心に刻むだろう。
「もう、幸せすぎてまだ信じられません」
告げられた決意の言葉は、幸せをより大きくしてくれる。この幸福は本当に夢のようで、一夜限りの泡沫のようでもあって。
「ならば、信じられるまで一緒にいますから」
だから、できるならば微笑んでくださいとエルスマンは言う。笑顔の貴女も大好きですからと。
少しだけ、少しだけジョーガは顔を俯かせた。幸せで、嬉しくて。笑顔を浮かべたいのにどうしても涙も零れてくる。幸せの涙は、どうしても止まらない。
その嬉し涙に負けないくらいの笑みを浮かべて、ジョーガははっきりと言葉を告げる。
「はい!」
その笑顔はこの世の全ての幸せを得たような、何にも汚すことのできない笑みだった。
自然と2人の体は寄り添い合う。今日は2人の結婚式。邪魔するものは何もいない。
互いの顔が近付き、誓いの口づけを交わす。
2人は満面の笑みを浮かべ、見つめあった。もう言葉は必要なく、エルスマンはジョーガの体を抱き上げる。ジョーガはエルスマンの首に手を回ししっかりと捕まって。
お姫様だっこに少し照れくささを感じつつ、握りしめていたブーケを夜空へと放り投げた。
2人の道行きを祝福するように、夜空の星霊は穏やかな輝きでブーケを照らすのだった。