■リヴァイアサン大祭2014『貴女をずっと守ります。傍に居てください』『…はいっ』
水の星霊リヴァイアサンが空を舞う。今年もやってきた、特別なリヴァイアサン大祭の日。普段は着ないようなドレスを身にまとったニョロと、正装したイリアは共にパーティーに参加した。
みんなと笑顔を交わして、リヴァイアサン大祭を祝い、パーティーをたっぷり楽しむ。
そして一緒に会場を出たその帰り道……家に向かうのだと思っていたニョロを、イリアは違う方向へと案内した。
「イリアさん? えっと、どこへ?」
「着いてからのお楽しみ、ですよ」
不思議そうな顔をするニョロに、イリアはクスッと笑ってみせる。
ニョロがイリアに導かれ着いた場所、そこは結婚式用の立派な館だった。
「わ……」
降り続ける白い雪の中、浮かび上がるような美しい館。イリアはニョロをその中へと連れて行く。
(「こんな場所に来ると、少しだけ2人の未来を想像しちゃうかも、なんて」)
ニョロがそんなふうに思っていると、ふいにイリアがいつも以上に真面目な顔をした。
「ニョロさん」
イリアとニョロは、真っ直ぐに向かい合う。
「これからも貴女をずっと守ります。傍に居てください」
静かな空間に響く、イリアの声。
それはもちろん、ニョロにもしっかりと聞こえたはずだった。そして、ちゃんと理解も出来ている……はずなのに。
(「それって、それってどういうこと?」)
イリアの言葉の中にある意味。それは……?
ぐるぐると考えてしまって、次にするべきことの答えがニョロの頭の中には見つからない。
そんなニョロの様子に気付いたイリアは、ニョロの前にそっと片膝をつき跪いた。
そして、優しくニョロの左手を取って、その薬指に指輪をはめる。
「……!」
はめられた指輪を見て、ニョロは今度こそちゃんと理解した。
そう、理解出来ないはずがない。
傍に居てほしいというイリアの言葉、自分の薬指にキラキラと輝く指輪……その意味を。
(「これって、プロポーズ……!」)
胸いっぱいに驚きと、喜びと、幸せな温かい気持ちが広がっていく。
次に自分にすること、それがしっかりと見つかってニョロはイリアを見た。
「……はいっ」
コツンと額をくっつけあって、いっぱいいっぱい笑い合って。
あたりに、2人の声が響いて満ちて、とても幸せで。
「私も貴方をずっと守ります。傍に居てください」
お互いへの大切で愛しい想い。
互いに手を繋いで、ニョロもイリアにそう伝えたのだった。