えんぶれサマースクール

　私達のように『エンディング』を見る事ができる人のことを、エンドブレイカーと呼ぶの。
　エンドブレイカーは、不幸なエンディングを見かけたら、それを何とかしようとするわ。
　反対に幸せなエンディングを見かけたら、その日はなんだかちょっぴり幸せな気分になれるわね。時には、ちょっとだけそのエンディングに関わって「おこぼれ」にあずかることもあるのよ。パーティの会場に紛れ込んで美味しいご馳走を食べたり、宝くじに当たることが分かった人とお近づきになっておいて、酒場で一杯奢って貰う……なんてね。

　エンディングが見れること以外は、普通の人と何も変わらないわ。
　年齢や普段の職業もバラバラ。ああ、不幸なエンディングを叩き潰す為には、戦闘能力が必要になる事も多いから、日頃からジョブについたり、武器を持ったりして、鍛錬している人が多いわね。
　でも、エンドブレイカーだから特別に強いといったことは無いの。たとえば普通の城塞騎士の中には、私よりも強い人が大勢いるもの。
　私達が持つ特別な力は、あくまでもエンディングを見る事ができる、という事だけよ。

　それから、エンドブレイカーについて語る時に外せないのが『マスカレイド』の存在ね。
　エンドブレイカーの世界では、謎の見えない力『棘（ソーン）』に憑依されてしまうと、マスカレイドという、仮面をつけた異形の魔物になってしまうの。
　マスカレイドになった人は、自分が持つ悪意や本能を増大化させてしまい、凶行に走り、人々を苦しめるようになってしまうの。
　マスカレイドの仮面を見る事ができるのは、私達エンドブレイカーだけ！
　私達にしか、マスカレイドの悪事は見破ることができないのよ。

　そして、このマスカレイドは、私達エンドブレイカーにしか倒せないわ。
　正確には、誰だってマスカレイドを倒すことはできるのよ。でも、普通の人がマスカレイドを倒しても、マスカレイドは『棘（ソーン）』に戻ってしまうだけで、本当の意味では倒すことができず、いつかはまたマスカレイドとして悪事を働くようになってしまうの。
　でも、私達がマスカレイドを倒せば、マスカレイドの『棘（ソーン）が循環し続ける』というエンディングすら破壊することができるから、マスカレイドは棘（ソーン）に戻ることができなくなって、そのまま消滅してしまうの！

　マスカレイドを真の意味で倒すことは、エンドブレイカーにしか出来ない事だから、マスカレイドと対決するエンドブレイカーは多いわ。
　でも、たとえマスカレイドじゃなかったとしても、人々を苦しめている存在があれば立ち向かうし、困っている人のために頑張りたいって思うものよ。
　悲劇のエンディングを見つけてしまったら、何もせずに黙っていることなんてできない……そんな人だからこそ、エンドブレイカーの力を持っているんだもの。