今回は実際にプレイングを書いてもらってみたけれど、感想はどうだった?
講座やコラムを見ているだけよりも、実際にプレイングを書いてみた方が、プレイングの書き方について、なんとなく掴めたんじゃないかしら。
でも、プレイングを書いただけじゃ、イマイチぴんと来ない人も多いと思うわ。
そこで今回は、皆さんの書いたプレイングを元に、ちょっとしたリプレイを用意してみたの。
自分のプレイングが、どのようなリプレイになったのか、確認してみてね。
それから、リプレイは『2つ』用意してあるの。
2つのリプレイを見比べてみると、更に新たな発見があると思うから、ぜひ両方読んでみてね。
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●リプレイ1
「そうはさせないわ。レギオスブレイド!」
だが、大人しく包囲されるつもりは無い。太刀のデモニスタ・エイカ(c14993)は虚無から召喚した邪剣の群れを、手近なボアヘッド達に放つ。
「こちらは任せてください。さあ、思う存分かき回してきなさい、バルカン!」
反対側から迫るボアヘッドには、暗殺シューズの星霊術士・シャルロット(c15334)が召喚したバルカンの炎が撃ち込まれていく。
ボアヘッドの足止めをする事はできないが、彼らの足並みが乱れたのは、こちらにとっては好都合。
「床を壊して脱出しましょう。カリーナさん!」
「ええ!」
とっさに呼びかけたハルバードのデモニスタ・ハルティス(c14465)に、ちょうど同じ事を閃いていたハルバードの魔法剣士・カリーナ(c15255)は、ハルバードを構えながら頷き返した。
抜け出せないのなら、いっそ床を壊してしまえばいい。
そのくらいの気合と共に、疾風の如き速さで突き出されるハルバード。壊す、とまではいかないが、床に突き刺さったそれを支えにすれば、抜け出すのは難しくない。
「さ、掴まって」
「ありがと!」
カリーナが差し伸べた手に掴まり、崩していたバランスを整えると、一気に脱出するハ長調の少女・クラリッサ(c05024)。そのまますかさず大鎌を頭上で振り回すと、衝撃波と共に振り下ろす。
「抜けたでござる!」
大剣の魔獣戦士・ヤンネ(c13754)は、咄嗟に最も近くにいたボアヘッドめがけて大剣を大きく振り回すと、すぐ傍にいた3体をまとめて薙ぎ払った。
「おふたりも……」
「大丈夫、私は戦うのに支障無いから。ボアヘッドを倒してからで十分よ」
脱出をと振り返ったハルティスに、そうエイカは首を振る。敵を先に倒してしまった方が手っ取り早いと、数を減らすべくレギオスブレイドを再び召喚する。
だが、床にはまったままの姿は、ボアヘッド達には格好の標的に見えたようだ。彼らは一斉に遠距離攻撃を続けていたエイカと、シャルロットを狙う!
「っ……!」
シャルロットは、だがまだ決して深い傷では無いと、スピカでの回復よりもバルカンによる攻撃を優先する。
「そちらばかり見ていて、いいのでござるか?」
そのボアヘッドの背中に、ヤンネの大剣がクリーンヒット!
「そっちじゃないってことは……」
小さく呟いたクラリッサは、近付ききれずにいるボアヘッド達をさりげなくある方向へ誘導する。両足でしっかりバランスを取って、いきまず、踏み込みすぎず、そーっと……。
しかし、そんな配慮など全くしていなかったボアヘッド達は、力強く次の一歩を踏み出した瞬間。
ずぼっ!
「やったねっ!」
自分達がはまったのと同じように、腐っていた床を踏み抜いて、あわてふためいた様相となる。
そこへ、
「一掃してしまいましょう」
ハルティスのレギオス乱舞がボアヘッド達をとらえ、次々と倒していく。
仲間達のそんな姿に、残るボアヘッドが顔色を変えるが、もう遅い。
「さあ、逆転勝利の大団円と参りましょう!」
カリーナの残像剣が更に1体、2体とボアヘッドにトドメをさす。更にはシャルロットのバルカンがボアヘッドの暴走を誘い、ボアヘッド達は一気に大混乱だ。
その隙を見逃す、エンドブレイカー達では無い。
彼らは一気に攻めかかると、ボアヘッド達を次々と片付けていった。
「ふう……」
一息つきながら、ようやく脱出するエイカ。
「でも、まだどこかにボアヘッドがいるかもしれないわ。一回りするまで、慎重に探索しないとね」
用心深くボアヘッドを警戒するエイカの言葉に、一同は頷くと、更なる探索を進めていった。
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●リプレイ2
「……来なければよかった……」
あまりの状況に、ソードハープのデモニスタ・サマエル(c11549)は、思わずため息をついてしまった。
(「包囲されるのだけは避けなければいけません。まずは片側の敵に攻撃を集中させるべきでしょう」)
そう考えたアイスレイピアの星霊術士・サーキス(c09196)は、星霊バルカンを召喚しながら、皆に呼びかける。
「まずはあちらの敵を狙って、脱出しましょう」
「はい」
頷いて、同じくバルカンを召喚する、しあわせ色の小鳥・ファナ(c09889)。
ファナはいっそ、床下に潜ってしまうのはどうかと考えたのだが、すぐに大変そうですねとため息をついた。
(「……腐ってるくせに意外と頑丈です、なの……!」)
んしょんしょと足を動かそうとするが床はびくともしない。腐っていて崩れたというのに、その周囲はしっかりしていて、壊れる気配は微塵も無い。嫌な床である。これを壊すなら普通に脱出した方が早そうだ。
「ブオオオオッ!」
「ブオ!? ブオオオッ!?」
「ブオーッ!」
ボアヘッド達はといえば、バルカンの怒りの波動によって同士討ちを始めていた。敵が混乱している間に、と剣の魔法剣士・ナイアー(c15152)は、近くにいた爪のスカイランナー・フォン(c15174)の脱出を手助けする。
「ありがと! じゃあ……」
ナイアーの脱出を手伝うと、残りの仲間の手助けは彼に任せ、フォン自身はボアヘッド達に向き直った。その頃にはボアヘッドも体勢を立て直していたからだ。
「ねえ、遊ぼうよイノシシ君。それともまっすぐ前にしか進めないのかな?」
馬鹿にするような声に、ボアヘッドはフォンを睨むと一斉に襲い掛かる。
「大丈夫ですか?」
「平気だよ! ありがと!」
連続攻撃を受けたフォンを、サーキスが召喚した星霊スピカがペロペロなめる。傷が軽くなるのを感じながら更なる攻撃を受けるフォン。
その間に助け合いながら、残りの面々が床から脱出すると、
「仕方ないわね。こういうタイミングで使うつもりじゃなかったけど……」
サマエルは、持っていた食料を一気にばらまいた。
少しでも彼らの気を逸らす事が出来れば、と考えての事だったが、その狙い通りにボアヘッド達は一瞬、突然ばら撒かれた食料の方を見てしまう。
「今です!」
サーキスの号令と同時に、全員が次々とダッシュする。彼らは、さっき取ったルートを引き返すようにして、自分達が入って来た扉の前へ戻る。
「部屋の端にいれば、囲まれる心配はいらないです、なの」
扉を背にしたファナは一息ついて、ヒーリングサークルを描いてフォンを癒す。
「今度は俺達が反撃する番だ!」
追いかけてきたボアヘッドに、ナイアーはなぎ払いからの兜割りをおみまいする。傷が癒えたフォンは、これで心置きなく攻撃できると、赤く染まった爪で敵を左右に引き裂く。
強烈な打撃に、ボアヘッド達が倒れると、怒りをあらわにして更に迫ってくる残りのボアヘッド。だが、2匹のバルカンが放つ火炎と怒りの波動に翻弄されていく。
「あとは1体ずつ、確実にトドメをさすだけだ」
「もう一息です、頑張りましょう」
ナイアーが電光でボアヘッドを狙い撃ちながら言えば、サーキスが頷いてバルカンを送り込む。
いまや戦況は完全に覆った。その勢いのまま、彼らは最後の一体まで、ボアヘッドを倒しきる。
「終わったわね……」
ホールを出て、一息つくサマエル。
とんでもない事になってしまったが、目的は達成できたのだ。戦いを終えて、エンドブレイカー達は廃屋から引き上げるのだった。
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……どうだったかしら?
同じシーンに対してプレイングを書いたのに、2つのリプレイは結構違う内容になったわね。
自分のプレイングが、どのようなリプレイになったのか。
自分が参加していないリプレイは、どのようなプレイングだったからこうなったのか。
……なんていう事を考えながら読んでみると、今後のプレイングの参考にもなると思うわ。
今回の経験を元にして、本番の冒険にも挑戦してみてね。