えんぶれサマースクール

　皆さん、サマースクールが始まってから今まで、どうだったかしら？
　エンドブレイカー！にどんなコンテンツがあるのかをお勉強して、ステータス画面を使いこなすコツを覚えて、旅団での交流の仕方や、他の人との楽しい交流のコツを掴んで、アトリエや旅人の酒場で上手に行動できるように練習をして、それから、リアルタイムイベントで一緒に冒険をして……。
　８月18日にスタートしてから、今までいろいろな事があったわね。

　そして……このサマースクールも、そろそろ終わり。
　でも、これでお別れというわけではないから、しんみりするのは嫌よね。
　だから最後は楽しく終われるように、みんなで打ち上げパーティをしましょう。

　飲み物は私の方で用意したわ。後はみんなで色々持ち寄ると楽しそうね。
　私はソーセージを持って来ようかしら。
　それから、パーティを盛り上げる余興があってもいいわね。
　あとは、せっかくの機会だから、それぞれ『今後の目標』なんて言ってみちゃう？
　一緒にお勉強した仲間と目標を分かち合うのって、これからの頑張りにもつながりそうだし、みんながどんな事を考えているのか、ちょっと気になるものね。

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　今回は、ここまでの部分がオープニングになっているの。
　これは旅人の酒場では『イベントシナリオ』と呼ばれている種類のシナリオになるわ。
　最後の課題は、このオープニングに対して、あなたがどう行動するかのプレイングを書いてみましょう。

　今日のプレイングも『２００文字以内』で書いて、私、『フローラへのお手紙』で送ってみてね。
　締め切りは明日、９月１日の１３時、午後１時までよ。
　明日は、最後の日だから、今までのまとめなどもするつもり。
　何かリクエストがあったら、教えてね。

　それじゃあ、最後の課題、たくさんの人が参加してくれるのを待っているわね！

　フローラが手配したパーティ会場には、サマースクールの生徒達が続々と集まっていた。
　テーブルの上を飾るのは、しあわせ色の小鳥・ファナ（c09889）が持ってきた花。そして、皆が持ち寄った数々のメニューが並べられていく。
「じゃーん。特大サイズですのよ」
「すごいわ……」
　ハルバードの魔法剣士・カリーナ（c15255）が出したのは大きな大きなケーキ。今までの感謝をこめて、カリーナが抱えてきたそのケーキの巨大さに、フローラは思わず目を丸くした。
「まずはこれよね？」
　そう言って、ハ長調の少女・クラリッサ（c05024）は皆が持つグラスにジュースを注いでいく。乾杯の音頭を取るのはフローラだ。
「皆さん、集まってくれてありがとう。それからサマースクールお疲れさま。今日は楽しみましょうね。乾杯！」
「「「「乾杯！」」」」
　フローラがグラスを掲げると、みんなで一斉にグラスをぶつけ合って乾杯する。グラスを置くと、真っ先に動いたのはソードハープの魔獣戦士・クラウスナー（c14961）。
「ガッツリ食べたい方、骨付き肉はいかがですか〜？」
　自分が持ってきた骨付き肉を、そう皆に勧めるクラウスナー。手の上がった方へ肉を回していく。剣の魔法剣士・ナイアー（c15152）が持ってきた鳥の丸焼きも、皆の目を引いていた。
「フローラさんのソーセージも美味しい」
「それは良かった」
　夕暮れ時の夜空・メルセデス（c15308）の感想に微笑むフローラ。その空になったグラスに、メルセデスはカフェオレを勧める。
「うん、美味しいわ」
　今度はメルセデスが笑う番だ。メルセデスは更に、グラスを空にした者達の方へ向かうと、ひとつふたつ言葉を交わしながらカフェオレを注ぐ。
「おかわりにカフェオレはいかが？」
　喋るのが今日初めてだという人もいたけれど、ならば尚更、会話のきっかけにはちょうどいい。折角の機会だから、皆と仲良くなって帰りたい。そうメルセデスは考えていた。
「これがパーティですかー」
　にこやかに会場を見回しているのは、杖のデモニスタ・ロフェルティハ（c15634）だ。このような場所に来たのは初めてだから、物珍しそうに皆の様子を眺めている。
（「全然違う人達が小鳥みたいに仲良くしていて、まるで菫畑みたいです」）
　少し照れくさいけれど、なんて綺麗な光景だろうか、とロフェルティハは思う。彼が持ってきたクロッカスの花は、空いていた部屋のスペースを彩ってくれた。
「東方の文献で読んだスシというものを作ってきたでござる！」
　どでん！
　テーブルに新たに広げられたのは、大剣の魔獣戦士・ヤンネ（c13754）力作の……。
（「すし……？」）
　ごはんを海苔で巻いて形を整えた、拳くらいの大きさのそれは、世間では『おにぎり』と呼ばれている物だった。
　とはいえ、ヤンネ渾身の料理には違いない。皆はそれをもぐもぐと頬張る。
「すごいわね……」
　どれも豪奢なものばかりで、ソードハープのデモニスタ・サマエル（c11549）も皆の持ち寄ったメニューを、感心した様子で眺めながら、口へ運んでいく。
「わあ、食べ物もりだくさん！」
　すごいです、と目を丸くしつつ、暗殺シューズの星霊術士・シャルロット（c15334）が取り出したのはフルーツがたっぷり詰まった籠だ。カリーナやナイアーが持ってきた様々なケーキと共に、あとで皆のデザートになるだろう。
「俺からはこれだ」
　棍の群竜士・ワドウ（c15220）の前には立派な酒樽が鎮座している。おおっ、とどよめいたのは年長の面々。早速樽をあけ、いける面々が酒を取っていく。

　最初に余興を、と言い出したのはナイアーだった。最初に下手な自分が一曲歌えば、後の者がやりやすいだろうという壮大な狙いと共に美声（？）を響かせた彼の後、アイスレイピアの星霊術士・サーキス（c09196）が前に出る。
「では、皆さんもご一緒に」
　サーキスはスピカを呼ぶと、その鳴き声をコーラスに、かつて旅先で教わった歌を披露する。
「ほら、サマエルさんも」
「え、わたしは……」
　槍のスカイランナー・ラティファ（c15235）はサマエルを誘いながら、それに加わっていく。
　皆で笑って過ごしたいし、最後は笑顔で終わりたい。だから、みんなで一緒に盛り上がれるように頑張りたいと、そう考えていたラティファは、他の面々にも手招きする。
「サマエルにはボアヘッド退治で世話になったな」
　あの機転は見事だったと声をかけるナイアー。一曲終わったところでナイアーはサマエルにも声をかける。冒険の思い出話は楽しいものだ。
「海神海峡でも色々ありましたわね。……そういえば、先生の水着姿は見損ねてしまいましたの」
「そう？　じゃあ今度機会があれば、水辺に出かけてみる？」
　残念でしたわと呟くカリーナに、フローラは言った。次は来年以降になってしまうかもしれないけれど、それはそれで楽しそうだ。
「いや〜、盛り上がってるね〜」
　そこにやって来たのは、タンドリーチキンを抱えてきた、棍の城塞騎士・エディオルト（c14982）だった。遅れてやってきた彼は、賑わう会場を眺めると、ビール片手に歓談の輪に加わる。
「おっ？」
　響いてきたのはヤンネが披露する太鼓の音色。リズミカルなそれに、思わず体が動き出しそうな程だ。
「そうそう、これ」
　皆の意識がそちらへ向いている間に、エディオルトは小さなブーケをフローラへ差し出した。
「私に？」
「うん。サマースクールの間の感謝をこめてね」
　ウインクするエディオルトの好意を、有難く受け取るフローラ。
「僕からも、これ！」
　爪のスカイランナー・フォン（c15174）も、お世話になったお礼に花を用意していたひとりだ。今まで頑張っていたフローラへの感謝と共に、花束を渡すと「そうだ！」と皆を振り返って、
「先生も言ってたけど、みんなはどんな目標を立ててるの？」
　思わず顔を見合わせる一同。フローラが皆を見守る中、それを最初に口にしたのはフォン自身だ。まず自分が言えば、みんなもいろいろ話してくれて、盛り上がってたくさんお喋りができるんじゃないかと考えながら。
「僕はね、いつか僕の旅団を作るんだ！」
　フォンにとっては、旅団ショップがあるのも魅力の１つだ。どんな旅団にするか、旅団ショップで何をするか、考えているとわくわくする。きっと素敵な旅団にしてみせるよ、とフォンは言う。
「旅団か……」
　ワドウは思わず呟きを漏らす。奇遇にも、自分と同じ事を考えていた者が他にいたとは、親近感を覚えてしまう。
「みんなは？」
「俺は、武勲を挙げて名を轟かせる！」
　勢いよく立ち上がったのは、顔を真っ赤にしたナイアー。普段の彼の様子からは、ちょっと意外なその大胆さは、おそらく酔いから来ているのだろう。
「そうでござるなぁ。拙者も今後はエンドブレイカーとして、より一層活躍できるようになりたいでござる」
　このサマースクールを通じて、様々な事を学んだし、経験も深まった。これを生かしていきたいとヤンネも語る。
「一人でも多くの人にハッピーエンドを……が私の目標ですわ」
　同様に、そう語るカリーナは、ちょっと照れ恥ずかしそうだ。
「私は、今後も冒険を続けて、いろんな物語を見聞きしたいですね」
　そう目を細めるのはサーキスだ。
　戦神海峡の冒険では、彼にとって念願だった七英雄の伝説に触れる事もできた。今後もこんな風に様々な体験をしていきたいと、そうサーキスは思う。
「そうですね。私はもっと新しい事に挑戦して、世界を広げたいなって思ってます」
　シャルロットは笑みをこぼした。その為の糧は、ここで手に入れた。それから素敵なお友達だって出来たから、と皆を見回せば、そのはにかんだような笑みが皆の間にも伝染する。
「うと……」
　難しいですね、と考えて唸ったのはファナだ。
（「一人前のエンドブレイカーになることも、ですが……」）
　それよりも、みんなで一緒に勉強するのが、たくさんの人とお喋りするのが楽しかったから、だから。
「決まりましたなの。みんなと笑顔で楽しく、が私の目標です！」
「ふふ、いい目標ね」
　それぞれが抱く目標は、とても素晴らしいものばかり。みんなの目標を聞いて、フローラはエンドブレイカーになりたての頃でも思い出したのか、ほほえましそうに笑って、
「大変な事もあるかもしれないけど、みんななら、きっと大丈夫よ。頑張ってね」
　そう皆へのエールを送った。

「じゃ、最後に何か一曲といこうか」
「そうだ！　よければ一緒に歌いませんか？」
　楽しかったパーティも、いつかは終わりが来る。クラリッサがそういった時、シャルロットが閃いた。
　最後に、門出を祝うような歌を一緒に歌えば、きっと記念にもなるだろう。
「それなら、こんな歌はどう？」
　クラリッサは陽気なメロディと歌詞で知られる、その曲を選んだ。そう、きっと、しんみりした曲は似合わないだろうから。
　声を合わせて、みんなで歌う。
　でも、そのメロディも、やがては終わりが来るのだ。
「今日の記念に、寄せ書きとかしちゃいましょうか」
　カリーナは大きな布とペンを取り出して、今やすっかり空になったテーブルに広げた。こそれに、順番に今日の想いや今までの思い出、今後の目標などを書き込んで、ひとり、またひとりと、パーティ会場をあとにする。
「フローラさん、本当にありがとうございました」
「私の方こそ、ありがとう……よ」
　最後に、最大級の感謝をこめて花束を渡したサーキスに、最後が近付いて感極まったのか、フローラは少し、瞳をうるませた。
「これは『終わり』じゃない。『始まり』だ」
　なぜならここが、自分達にとって、エンドブレイカーとしての出発点。
　旅立ちは別れじゃない。いつかはまた、再会する日が来るはずだ。
　そう、ワドウは言う。
「さて、どんな冒険が待っているんだろうな」
「楽しみですね」
「ええ。……それじゃあ」

　またね！

　そう言って、エンドブレイカー達は、それぞれの道を歩き始めた。

【おしまい】