ステータス画面

友野詳独り語り 真夏のエンドブレイカー!

<友野詳独り語り 真夏のエンドブレイカー! 先行レポート(パラブラとかもあるよ)>


 エンドブレイカーのみなさん、今日もダメなエンディングをブッ壊しちゃってますか?!
 はじめましての人には、はじめまして。シルバーレインプロジェクトでおなじみのみなさんには、まいどありがとうございます。
 グループSNEシルバーレイン班の、友野詳です。
 エンドブレイカーの開発スタッフではない友のですが、この夏、ひょんなことから、二度ばかり、イベントでエンドブレイカー!TRPG版のゲームマスターをつとめてきました。
 ものすげぇ楽しかった!
 あんまり楽しかったので、シルバーレインプロジェクトから、こちらに出張してきて、どのくらいエンドブレイカー!のTRPGが楽しいか、語りたくなりました。
 というわけで、友野詳独り語りエンドブレイカー篇。ちょっと他のTRPGの話もしますが、しばらくおつきあいください。

 2010年の7月、友野は三回、『エンドブレイカー!』のゲームマスターをしてきました。

 まずは、17日から19日の連休。
 友野は、お招きを受け、三泊四日で九州TRPGの旅に行ってきたのです。

 きっかけは、これまでにも多くのゲストを招いて開催されてきた、大分のゲームコンベンション「イフコン」さんからのお誘いでした。今回で、一段落になるということで、区切りのゲストとして友野を、ということだったのです。いやあ、ありがたいお言葉ですねえ。
 九州は、訪ねるだけでも久しぶりですが、コンベンションでお邪魔するのは初めて。
 なるべくなら、たくさんの方とプレイしたい、という友野の欲張りなお願いに応えていただいて、イフコンさんは前日祭を追加、そして、ご縁があって、熊本のASOコンさんという別のコンベンションにもお邪魔することになったのでした。

 17日の土曜日朝、心配していた天気の崩れもなく、新幹線を新下関で下車。
 そこで、主催の方にお出迎えをいただきます。
 前日祭の会場は、門司のほうということで、車で関門海峡を渡ります。
 門司は、大正時代の建物が残されており、たいそう街並みの面白いところでした。レトロ地区という観光区域もありますし、映画のロケにも色々と使われているそうです。
 そういえば、私の書いたリプレイ『源平鬼御魂』の冒頭は壇ノ浦。ここから、ほど近いのだなぁ……などと思っているうちに、赤煉瓦で作られた、風情のある建物に到着。やはり明治だかに建てられたビール工場を利用した施設だそうです。
 まずは、参加者のみなさんと一緒に、1階のレストランに寄り、バイキング形式で昼食をいただいて、いろいろとお話。佐賀などの近県から来てくださった方もおられて、ありがたい限りです。門司在住のゲームライター、坂東真紅郎先生とも、久しぶりにお話できて、嬉しかったですね。

 食後、いよいよセッション開始。
 ただし、門司では『エンドブレイカー!』ではありません。
 ここでは、当日に発売されたばかりの変身ヒーローRPGパラサイトブラッド(詳しくはこちらのパラブラブログで)をプレイ! 舞台は現代。悪魔寄生体と呼ばれる生命体を肉体に宿し、超人的な能力を発揮する、悪魔憑きとなって、悪と戦います。
 使用シナリオは、翌18日に東京で開催されたコンベンション(こちらにレポートが)と同じものをもらってきておいたので、それを使わせてもらいました。最初の、いわゆる「公式コン(そのレポートはSEN公式サイトのこちら)」より一足早く、ということになります。
 ルールブックに紹介されている咲坂市が舞台で、ドミニオンの陰謀というかなんというか、なものとDUSTの面々に戦ってもらいましょう……というオーソドックスなものなんですが、再利用の可能性もあるので、詳細はひみつ。
 プレイヤーさんは、TRPGそのものが初めてに近い方から、前作『デモンパラサイト』のGM経験のある方まで、さまざまでしたが、どなたにも楽しんでいただけたようです。
 ふりなおすか、ふりなおすまいか、成功率とファンブル率が同時に高まってゆくダイスふりの面白さ。衝動の副作用で一喜一憂し、ヒーロースタンスで決めの一撃。バランスがとりなおされた特殊能力も、経験者の方が大喜びでした。
 なにせ『パラサイトブラッド』は、キャッチフレーズが、ダークヒーローからハイパー変身ヒーローRPGになりましたからね、クリティカルをいっぱい出して、いい気になればいいのよ、というGM涙目状態(笑)。
 ただいま絶賛発売中ですので、ぜひ楽しんでください。

 セッション後、大分県の中津へ移動して、お食事会。
 美味しい鱧しゃぶなどいただきまして、その日はぐっすりと休みます。

 そして翌日は、イフコン本番。
 このコンベンションは、午前中に、独特のイベントがあります。
 参加者全員で「人狼」のバリエーションルール「人狼は眠らない」をプレイするんですね。そうやって、ゲームの気分を盛り上げ、互いの顔や名前を覚えてからセッションに挑むわけで、これはとてもいい工夫だと思います。
 ご存知の方も多かろうと思いますが、俗に「人狼」と略して呼ばれるゲームがあります。
 設定は中世の村。毎夜あらわれる人狼によって、村人が一人ずつ食われてゆきます。プレイヤーは、この村の住人となって、村人として生き延びるか、人狼として人間を食い尽くすかを目指します。人狼は、村人のふりをして、何食わぬ顔で、村にまぎれこんでいます。 正体は、カードをこっそり引いて決め、秘密にしておきます。知っているのは、本人と、全体の進行を担当する司会役のみ。
 プレイヤーは、互いに話し合い、相談して、毎日、誰かを村から追放します(吊るす、ともいいますな)。うまく人狼を殺せればいいんですが、まあ圧倒的に普通の村人のほうが多いですから……と。
 誰か一人の正体を知ることが可能な予見者など、さまざまな特殊役も設けられています。
 さて、この「人狼は眠らない」では、まずは村人の記名投票で、人狼と疑わしい相手を三人にまでしぼります。 で、その三人が前に出て命乞いを行い、最終的には挙手で、誰を吊るすか決めるわけです。
 まあ、その、なんというか、こういう状況だと疑われやすいです、私。
 で、何度も何度も、前に呼び出されることに。ネタ話でウケをとって命乞いを……ん? もしかして、ネタトークを聞かんがために、私を指名してる……っ?!
 じつは村人でした、私。容疑者枠のひとつを私が占め続ける事態になったのは、あれはゲーム的には敗北につながった気がします(汗)。そして最後に、私がぱっくんと人狼に食われ、あえなく村は滅びたのでありました。
 ちなみに、特殊役には、状況をがらりとひっくり返すようなものも追加されていて、イベントにあわせた工夫がなされています。また、殺されると、死後の世界で、鶏の唐揚げとかロールケーキとか、主催者さんの手作りフルーツミツマメとかをご馳走になれるのも秀逸。「いっそ早く吊るして」と思えて、中途で脱落しても苦にならないのです。

 さて、午後からは『エンドブレイカー!』……ではなく。
 今日は、友野が監修をつとめているアラビアン・ダーク・ファンタジーTRPGゲヘナ〜アナスタシスのセッションでした。SNEコンベンション2010でプレイしたシナリオで、おそらくはJGCでも使いますので、詳細はナイショということで。 SNEコンの時にはなかった戦闘ギミックを一つ、追加してみたのですが、これがなかなかうまくいって、楽しく遊んでもらえたと思います。

 コンベンションの後、参加者のみなさんと懇親会で食事とお酒を楽しませていただき。
 その後、車にて、真夜中の山を越えて、一路熊本へ――。
 途中で止めてもらって、外へ出てみると、いっそ車中より涼しいくらい。
 そして、星が美しい。
 ……妖怪とか出ないかしらん、と思ったのですが、出たのは、妙にひょこひょこ歩く、赤い首輪の犬だけでした。
 ……人家のない山中でしたけどね。

 さて、3日目。
 今日は、熊本はASOコンさんでのセッションです。
 今回こそ『エンドブレイカー!』。卓のプレイヤーさんは、全員、システム初心者!
 ……あたりまえですけどね。
 プレイ時間を長めにとっていただいてたのと、『エンドブレイカー!』のキャラ作成は簡単なので(もちろん、PBW版とまったく同じ)、さくっと作っていただいて、プレイをはじめます。
 美女城塞騎士や、美少女デモニスタたち、五人のエンドブレイカーがそろいます。
 ご存知の方も多いと思いますが『エンドブレイカー!』は、グループSNEとトミーウォーカーが、タッグを組んで製作した、ファンタジーTRPG&PBW、ルールは完全互換。人のエンディング(近い未来の激変)が見える人々が、バッドエンドをハッピーエンドにするために頑張る物語です。

 今日も今日とて、エンドブレイカーたちは、ある人の瞳をのぞいたとき、その人が無残に殺されるエンディングを見てしまいます。
 犯人をつきとめ、事件を止めねば!
 ということで、セッションがはじまります。
 これまた、ルールブックに掲載されるサンプルシナリオなので、詳細は書けないのですが。

 『エンドブレイカー!』には、ダブルトリガーというシステムがあります。ふだんは、六面サイコロを二つふって判定を行うのですが、その時に1の目が出ると、1の目が出たサイコロを取り除いて、サイコロ二つに増やして、ふり足せる、というものです。こうして、サイコロの数を増やしてゆくのが、システムの醍醐味。
 なのですが、最終的に十個を越えたのは(ふり続ける間に1が8回以上出た)のは、テストプレイを通じても、はじめて見ました。
 しかも1セッションに2回。
 しかもしかも同じプレイヤーさん。
 この『エンドブレイカー!』も、『パラサイトブラッド』と並んで(そしてテイストは全く別の)ダイスをふることそのものが楽しい! ゲームになっています。
 遊んでくださったプレイヤーさんも、喜んでいただけたようでした。ルールブックが発売されたら、また遊んでくださいね。

 コンベンション後は、今日も飲み会。
 馬刺しはじめ、熊本の料理も、大分に負けず劣らず美味しゅうございました。

 さて、コンベンションの話に戻りますが。
 もちろん、友野の卓以外にも、さまざまなゲームがプレイされていました。
 ソード・ワールド2.0やゲヘナ〜アナスタシス、といったSNEのゲームもそうですし、ほかにもD&DやトーキョーNOVAなどのTRPGはもちろん、ドイツゲームの卓や、自作のTRPG風ボードゲーム卓、往年の名作TRPG風ボードゲーム卓などもありまして、いやあ、できることならそれらの卓で遊んでもみたかったですねえ。
 プレイ時間や会場の都合なども、それぞれのコンベンションごとにあるのと思うのですが、さまざまなゲームを、ボーダーレスに楽しんでいただきたいなあと思います。

 あ、そうそう。セッションの後には、それぞれ一時間前後のトークショーもありました。
 新作情報や開発裏話、シナリオの発想法などについて、質問コーナーなどももうけていただき、あっちこっち脱線しながら語らせていただきました。
 楽しんでいただけたかと思えます。

 こうして瞬く間の三日間がすぎて、連休も明けた4日目の朝。
 熊本でとってくださったホテルが、ちょうどお城のまん前でしたので、せっかくだからと、熊本城を見学してきました。
 近頃復元されたという、城につながる半地下の通路などは、ダンジョン者の血をたぎらせます。いやあ、城はいいですねえ。
 市電の走る熊本は、緑も多い、美しい町でした。

 そして、一路、大阪へ――。
 戻る前に。
 福岡で友人の作家さんやイラストレーターさんとプライベートランチを約束していたら、なぜかカラオケボックスでTRPGしてました(爆)。
 好きなんですねえ、私(苦笑)。
 というわけで、ヤトアキラ先生(シルバーレインRPG新サプリメント幽世奇談でも、章扉イラストを担当していただきました、お世話になってまーす)や、そのお友達のイラマス候補生のみなさん、小説家の花田一三六先生と、昨日と同じシナリオをプレイ。
 これが、まったく違う展開になるから、TRPGは面白いです。TRPGは初めて、という方もいらっしゃたんですが、とにかく、ダイスをふっているのが楽しい『エンドブレイカー!』なので、戦闘も楽しんでいただけました。
 使い放題のアビリティが、ダイス目次第で炸裂したり、しょんぼりしたり。初期は、サイコロをふる前に考えるのは、どちらのアビリティを使うかくらいなので、初心者でも簡単。
 探索のくだりも、自由なアイディアの行動を、シンプルな判定ルールで、スムーズに処理できます。
 ぜひまた遊びたい! と言っていただいたのですが、私はそうそう大阪から九州にうかがうわけにもいかず。ヤトさんや花田さんも、簡単にマスターできるから! そうやって遊んでね、と言い残してきた次第。

 それから十日ちょっと後。
 七月末には、大阪で『エンドブレイカー!』のゲームマスターをつとめてきました。
 よくお世話になっている、イエローサブマリンなんば店さんで、パラサイトブラッド発売記念&エンドブレイカー! 先行コンベンションが開かれたのです。
 本来は、デザイナーである江川晃くんが行くはずだったのですが、ルールブックの作業の追い込みでどうしても動けず、私が代理をつとめたわけです。もう一人、『エンドブレイカー!』のTRPGリプレイを執筆した清水一樹(しみず・いっき)も一緒。というか、私はサポートで彼がメインなのですが。
 イベント全体については、その清水によるレポートが、グループSNEのサイトで公開されておりますので、そちらをご参照ください。
 うちの卓は、PBW版を既に遊んでくださってる三人の方と、はじめて『エンドブレイカー!』に触れるお二人の五人テーブル。
 ちょっと天然な群竜士や、戦闘では真っ先に脱落(サイの目に恵まれませんでしたねえ……)するものの、聞き込みでは必ず自動成功(サイの目に恵まれましたねえ)するチンピラ貴族や、個性豊かなPCが自然に生まれてきて、同じシナリオを三度遊んでも、まッたく飽きない、楽しいセッションでした。
 ふだん、私は、ソード・ワールド2.0やゲヘナAn、パラサイトブラッドなどを遊ぶ時、「GMはサイコロをふらないほうがいい」というタイプなのですが、この『エンドブレイカー!』は別。もちろん、サイコロをふらずに処理できるザコ敵のルールもあるのです。しかし、サイコロをふるのが「すごく楽しい!」もんですから、それは物足りないのですよ!
 一振りに運命がかかる感覚、1をふるたびにサイコロが増える気持ちよさ。ゲームマスターとプレイヤーが「勝負!」している感覚が味わえます。

 こうして、七月は三度ばかりも『エンドブレイカー!』を、そして他のTRPGを遊んできましたけれど、いつもみんなのプレイ後の笑顔が、たまらなく嬉しいのです。
 兄弟というか姉妹というかのシルバーレインとエンドブレイカー! これからも、互いに競い合ったり助けあったりして、どんどん盛り上がっていきます。
 みなさんも、もっとこの二つのゲームを、そしてあらゆるゲームを楽しんでやってくださいね。これからも、どうぞよろしく!
戻るTommy WalkerASH