行き交う人々の瞳から、圧倒的な絶望の『エンディング』が見える……!
これは、未来に起こりうる定められた光景なのか……!?
これは、未来に起こりうる定められた光景なのか……!?
開花を遂げた棘(ソーン)に包まれし砂月楼閣シャルムーン。
勇者シャルムーンへの救いを求める人々の声は、聞き届けられることはなかった。
彼女こそが、この都市に巣食うマスカレイドの首魁であるが故に。
「棘(ソーン)」の最奥より舞い降りる、巨大なる『エリクシルの妖精』。
赤く輝く『万能宝石エリクシル』を受け取り、勇者シャルムーンは言う。
わたくしの望みは、わたくし自らを『魔女』とすること!
さぁエリクシルの妖精よ、願いを成就なさい
そして、新たなる創造主の誕生を祝福なさい!」
しかし、あらゆる願いを叶えるエリクシルの妖精は、意外な応えを返す。
『魔女』の『資格』を有するは、
『大地母神』の『骸』を『貪り』しもののみ。
『無知』故に『禁』を『冒し』ものよ、
『混沌と化して永遠に大地を這いずり続けよ!』
シャルムーンは、ただの一声を挙げる暇しか許されなかった。
瞬く間に、シャルムーンの肉体と、足下の都市国家が崩れ去る。
その場に残されたのは、不気味で無謬にして無惨なる産声を上げる、かつての都市国家よりも巨大な、混沌の肉塊であった──。