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【虚飾のエピゴーネン】消える怪盗と空間の裂け目

■これまでのお話


 【虚飾のエピゴーネン】虚飾のリフレイン
 これは、上記のシナリオ結果と「Nextエンドブレイカー!」を元にした、空虚なアガルタ・クロノ(c15837)専用フォームです(受付は終了しました)

●Nextエンドブレイカー!

 怪盗を一人誘き寄せチェイス使ってアジトに案内させる

■消える怪盗と空間の裂け目

 展示会に現れた怪盗配下のマスカレイドとの戦いを終えるや否や、空虚なアガルタ・クロノ(c15837)は即座に走り出した。この場では怪盗を倒し切れず逃げられてしまったものの、彼の使った『チェイス』には、まだ反応がある。
 高級住宅街を走り抜け、細い運河を渡り、家々の屋根を飛び越え、彼は逃げる怪盗を追跡する。
「速い……でも、追いついてみせる!」
 全力で己の足に力を篭め、チェイスの反応を頼りに怪盗を追うクロノ。
 だが怪盗まであと少しという所まで近付いたところで、チェイスの示す怪盗の方角が、不意に大きく変わった。
「何だ?」
 怪訝に思いながらも、怪盗の反応が変化を示した地点に向かったクロノは、そこで奇妙な光景を目にすることとなった。
「これは、一体……?」
 余人の立ち入らないような路地の奥。
 人ひとりが通れるほどの大きさに、『空間が裂けている』。
「怪盗は、これを使って移動したのか……」
 原理も、この『空間の裂け目』が何なのかさえも分からないが、怪盗のいる方角が突然変わった原因は、それ以外に見当たらない。おそらく、この『空間の裂け目』は怪盗の今いる居場所に通じているのだろう。
「まさか、『怪盗の主』もこの先に……?」
 そう考えるうちに、次第に『空間の裂け目』は閉じつつあった。
 間もなくチェイスの効果時間も切れる。仲間を呼んでいる時間は無い。
 そう理解し、クロノは己が取るべき行動を決断する……。


■プレイングフォーム

●行動選択肢

 以下から、空虚なアガルタ・クロノ(c15837)が取る行動を選択して下さい。
・(1)『空間の裂け目』に飛び込む
・(2)身の安全を重視して帰る

●プレイング(100文字)

 (1)を選ぶ場合、飛び込んだ後の行動方針を記入して下さい。
 (2)を選んだ場合は記入不要です。

 このフォームは、7月16日(土)朝8時30分に消滅します。
 それまでにプレイングの送信が無かった場合は、「(2)身の安全を重視して帰る」を選択したものとして扱います。

■プレイング

●選ばれた行動選択肢

・(1)『空間の裂け目』に飛び込む

●プレイング

チェイスを頼りに追跡続行,行先を捜索


■敵,拠点発見時
敵に気付かれないよう
怪盗の主,敵の目的・規模,今後の動向等を探る
必要なら拠点に潜入

命の危機,探索終了時撤退
有力な情報を持ち帰る

戻る途次,目立たない所に道標

■リプレイ

「よし……追跡しよう!」
 空虚なアガルタ・クロノ(c15837)は、怪盗の追跡の続行を決意した。
 怪盗にかけてあるチェイスの効果は、敵を見失ってから10分で消えてしまう。ここで追跡を断念すれば、敵の喉元に食らいつくチャンスを失ってしまうのだ。
 そして、彼は、閉じつつある『空間の裂け目』に飛び込んだ。

 光の中に居たのは一瞬だったのだろうか。
 だが、その一瞬の中で、クロノはこれまでに感じたことの無いような、強烈な不快感を味わうこととなっていた。体をバラバラに分解されて再び組み立てられるような気味の悪い感覚。
「ぐっ、気持ち悪……」
 『空間の裂け目』の出口からはき出されたクロノは、その場で膝をつき、胸を押さえた。
 この移動に慣れていれば耐えられたのかもしれないが、それを予想もしていなかったクロノにとって、この不快感は耐え難いものがあった。
 クロノの後ろで、彼が出て来たばかりの空間の裂け目が消えていく。

 だが、そうして不快感に耐えていたクロノを、唐突にハープの音色が包んだ。
「私達以外で『門』をくぐったのは、あなたが初めてですよ」
「お前は……!!」
 急激な眠気に瞼が閉じようとするのに耐えながら、クロノはハープを奏でる存在を見返す。
 そこには先刻、展示会の会場で取り逃がした、全身を深紅の衣に包んだ怪盗の姿があった。

 転移した怪盗が、その場に留まっている可能性を予期しなかったクロノを見下ろし、怪盗が問う。
「何を驚いているのです? 転移直後に、『門』が閉まるまで待機していた事が不思議とでも?」
 『門』とは先程の空間の裂け目のことなのだろう。
 つまり、あの『空間の裂け目』は怪盗一味の持つ『場所を移動する魔術効果』だったのだ。
(「あれだけ怪盗の事件が起こっても、その拠点が全く見当もつかなかったのは、このせいだったのか……」)
 そして怪盗が待機していたのは、自分の様に飛び込む者が出た時に、その秘密が露見するのを防ぐため……そう考えながら、クロノは事態を打開せんと、怪盗と周囲の様子をうかがう。
 深紅の怪盗とクロノとは、現在、どこかの倉庫のような場所の内部にいるらしかった。
 眼前の怪盗の他に人影は見当たらないが、発見されてしまった以上、潜入調査など成り立つまい。
「さあ、何か言うことはありますか? 無いのであれば……しばらく眠っていただきましょう」
 怪盗の指先が、小さなハープを爪弾く。
 それに対して、クロノも太刀を構えて相対するが、彼我の実力差は歴然であった。

(「あの裂け目は消えている。脱出する為には、この倉庫から外に出なければならない。倉庫の出口は……。くそっ、怪盗の反対側か!」)
 この事態を命の危機と判断したクロノは、撤退の為の戦略を思考する。
(「勝機は一瞬、一撃で敵を怯ませて扉から逃げる……!」)
 太刀を閃かせて間合いを計ると、電刃飛翔斬りを仕掛けながら体を入れ替えた。
 あとは、扉まで脱兎の如く逃げ出すのみ。
 怪盗達が『空間の裂け目』を利用してアクエリオ市内を自由に移動している……という情報は、エンドブレイカーにとって重要なものとなるだろう。
 彼は、生きてその情報を持ち帰る事だけを考え、怪盗のかける言葉も聞かず逃げ出した。
 その判断は一面で正しかったが、しかし、その正しさ故に、クロノは怪盗が何故追撃をして来なかったのか、その理由を知る事はできなかった。
 クロノが脱出した倉庫は、なんの変哲も無い資材置き場の一角であった。
 彼が『門』に飛び込んだ路地裏からは一時間はかかりそうな距離があり、その距離を一瞬で移動したという事実に、クロノは改めて自分の得た情報の価値を確認する。

「怪盗の新情報、早く、皆に伝えないとね」
 そして、クロノはエンドブレイカー達が集まっているだろう酒場へと戻るべく、倉庫街の坂を下って行った……。

●怪盗達の視線
 倉庫街から逃走する空虚なアガルタ・クロノ(c15837)を上方から見つめる、2つの影。
 上位の存在と思われる『片翼の怪盗』が、先に口を開いた。
「不確かな現象に突貫する勇気は、褒めても良い……のかな。でもあの『逃げの一手』はどうしたものだろう。彼らにティータイムを嗜む習慣は無いのかな?」
「エンドブレイカー達に注目されたのは流石の慧眼でしたが、彼らがこうも交渉不能では、如何ともしがたいですな」
「ふむ、前回も招待の約束を違えてくれたからね。少しは彼らの手助けもできるかと思っていたが、
これ以上面倒を見る必要は無いだろう。僕も、せっかくの茶葉を何度も無駄にしたくは無い」
「では水神祭は例のプランで。『獣王』様の動きには注意が必要ですが、『黒鳥』様には既に別の者が接触を図っております」
「アクエリオの星、か……。あまり興味はないが、それでいこう。よろしく頼むよ」
 深紅の怪盗にそう告げて、片翼の怪盗は去りゆくクロノに背を向けた。

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