〜旧ガーディ侯庭園から、ラッドシティの路地裏へ〜
「オロロロロ、尾行されていましたか……。ナーンテネ!
ミナサマ、この度はワタクシのショウにお集まり戴き、誠にアリガトウゴザイマス」
少しおどけたような口調で話す、道化師風の巨体。
旧ガーディ侯庭園の南瓜行列にこの異形が混じっていることを、ダンシングシールドランサー・ミュラ(c22292)、紫煙にむせる探偵・ティルナ(c03037)、羽根抱く白銀のシュヴァリエ・ハイド(c01339)、太刀の武芸者・カエデ(c26073)、禁縛闇鎖・クロガネ(c25261)、生還者・バルダス(c00250)、金色の風・ルディア(c24171)が発見し、ティルナが咄嗟に放ったチェイスによって、ここまで追跡する事ができたのだ。
「覚悟せよ、マスカレイド! 貴様の命運、今ここで断つ!」
鬼気迫る表情でティルナが宣言し、仲間達がじりじりと包囲してゆく。
「ウームム、見事な包囲です。でも、すぐにワタシを追跡してきたのは、たったの7人ですか。
せっかくのショウなのに、ちょっぴり寂しいですね。
でもまぁ、セッカクのお客様です。ショウを始める前に、何かご質問はアリマスか?」
「あんたは何もんや? あんたの目的は何や?」
じりじりと間合いを詰めながら、ミュラが巨体に問いただす。
「申し遅れました。ワタクシ、ジェスターと申します。
……それにしても、ラッドシティはイイトコロですね!
あんまりに楽しそうなので、何となく偽ダルクを作る事を思いつき、ばらまいてみました!
革命政府の信用を下げ、経済の流通を妨げ、警察の威信を貶め市民からの反感を増やす。
まさに誰も得しない、地味にみんなが嫌われる、良い悪事だと思いませんか?
目的? そんなものありませんよ。エリクシルだってどーでもいいです」
『エリクシル』という言葉に反応するエンドブレイカー達。
その表情を面白そうに見つめた後、ジェスターは急に興味を失ったかのような表情になった。
「フーム、みなさんイマイチですねぇ。
気むずかしいアーティストと思われるのは不本意なのですが、今日はおイトマ致します。
ちょっぴり置いときますから、それとアソんでいてください。
ではゴホン……『寄ってらっしゃい見てらっしゃい。愉快なカーニバルがやってきたよ!』」
その言葉と同時に、仮面の敷き詰められた棒から、次々とマスカレイドが飛び出してくる!
「逃がすか!」
エンドブレイカー達はジェスターが逃げの態勢に入ったのを察し、現れたマスカレイドを無視し、ジェスターに集中攻撃を加える!
エンドブレイカー達の攻撃は、全て確実に命中した。
しかし、ジェスターは怯む様子を見せないどころか、ダメージを与えた様子すらない!
達人の域に達しつつあるエンドブレイカー達の攻撃を全て受け止めてなお、その軽やかな足取りが止まる気配すら見えないのだ。
やがて、追いすがってきたマスカレイドがエンドブレイカー達をジェスターから引き剥がし、泥沼の乱戦へと突入した。戦いが終わり、マスカレイドの群れを駆逐し尽くした頃には、ジェスターの姿は路地裏のどこにも無いのだった……。