<インフィニティゲート探索 〜鏡面の徘徊者>
●前回までのお話
●序章
インフィニティゲートの奥で発見された巨石。
その奥にあるだろう物を求め、冒険者達による探索が続けられている。
この探索の先鞭をきったのは1359名の冒険者。彼らは、遺跡の扉を開けると不思議な明かりに照らされた回廊を駆け下りた。
それを阻止するように群がったのは無限に製造される盾型のギアの大群。
一体一体の力はさほどでは無いが、その数を侮る事はできなかった。
しかし、ナパームアローの一斉射に続く肉弾戦により。冒険者達は数百メートルの距離を文字通り押し込むようにと前進していった。
そしてギアを生み出す遺跡の仕掛けの謎を解き明かし、最初の階層を制圧する事に成功したのだ。
「……ここは突破できたようだ。後は後続に任せよう」
だが、この探索の成功は、更なる冒険への序章に過ぎなかった。
彼らの活躍により確保された扉は、新たな探索者の挑戦を待ち構えるように、淡く光る回廊の奥に佇んでいたのだから。
●蒼き氷の回廊
「廻る盾の回廊の突破おめでとう♪ お疲れ様だったんだよ」
ストライダーの霊査士・ルラル(a90014)は、探索から戻ってきた冒険者達を迎えて、にっこりこと笑ってペコンと頭を下げた。
時間的に厳しい状況だったので心配していたが、冒険者達の素早い対応と連繋により、最初の探索は大成功で、ルラルもうれしそうだった。
「沢山のギアを生み出し続けるなんて、古代の遺跡って凄いよねぇ。でも、こんなに一生懸命護ってるって事は、この奥には、とっても素敵な宝物とかあると思うんだ♪ 楽しみだね」
どうやら、何かおねだりしているらしい。
「それよりも、あの扉の向こうはどうなってるんだ?」
そのルラルの言葉を無視するように、冒険者の一人が問う。
遺跡の扉は開かれてしまったのだ。
扉の向こうから敵が地上に向かって侵攻してくるような事になれば一大事だ。
幸い、今の所は扉を破って地上に出てくる気配は無いが、あまり時間を空ける訳にはいかない。
「もう、せっかちさんなんだから」
ルラルは、ぷぅと少しふくれ面になったが、霊査士のお仕事なので表情を改めてその話をし始めた。
「今わかるのは、みんなが確保してくれた扉から次の扉までの様子だよ。今回の回廊とは、かなり雰囲気が違うから、良く確認して探索してね」
そう言ってルラルが説明した『次の扉までの様子』は以下のような物だった。
(1)次の階層への扉を開くのに障害は無い
(2)扉を開けた先は幅20mほどの下に降りる階段で、ゆるやかにカーブしながら1km程続いて
いる
(3)階段や壁、天井は蒼く光る『溶ける事が無い氷』で作られておりランプなどが無くても充分に
行動できる
(4)壁と天井はドームのような曲線でできており、天井の高さは30m以上ある
(5)階段や壁となっている魔法の氷は、非常に滑りやすく冒険者であっても簡単に滑ってしまう
(魔法の罠として扱います)
(6)氷の階段の下は5m程の高さのトンネルになっており、金属の管から多数の手足が生えた
形状の奇妙な形のギアが多数ひしめいている
(10)階段の裏側の通路は100mごとに壁によって遮られているため、下を通って一気に進む事
はできない。また、壁と壁に挟まれた空間の1つ1つには100体〜200体程度の多足型の
ギアが存在する
(7)氷の階段には要所要所に落とし穴があり、足を滑らせた冒険者が裏側に落ちてしまうように
造られている
(8)多足型のギアの中には、落とし穴を逆に通って表側に出てきている個体もあり、階段を降り
る冒険者達に襲い掛かってきます。
ただし、このギア達も魔法の氷で滑るらしく、体当たりして一緒に滑り落ちるといった攻撃も
行います
※その他、落とし穴の入り口から長い手を伸ばして引きずり込むといった行動も取るようです。
(9)階段の裏側の床や壁は、階段の上側のように磨かれておらず、滑らずに戦闘や移動を行え
るが、敵の数が多いので注意
(10)多足型のギアは、自分よりも後ろにいる敵は無視する(攻撃しない)習性があり、突破した
後に後方から追撃される事は無さそうだ
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「あとね、階段の中には『乗ると滑り台になる段』があるみたい。最初に踏んじゃう人はしょうがないけど、『踏んじゃいけない段』を覚えていくのも大切だよね。
落とし穴におちたら、と〜っても危険だから気をつけなくっちゃ。もちろん、落ちた人を急いで助け出してあげるのも大切なの」
ルラルはそういうと、冒険者達にピョコンと頭を下げ……最後に小さな声で、こう呟いたのでした。
「そういえば、ユリシアおねーちゃんが、これ以上の探索は危険かもしれないって言ってたみたいだけど……。みんなはどう思う?」
と。
とにもかくにも冒険者達は、新たな扉を開く為にインフィニティゲートの奥深くへと向かうのだった。
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