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何も無い場所だった。 荒涼という言葉に相応しい場所だった。 本当に何も無いという訳ではない。 石塊と地を這う様に生えた草と、水の無い土地特有の木々が時折群れ生えてはいるが、それは岩砂漠の落莫たる風景を淋しさをより際立たせる効果しか持たない。 緩やかにうねり、時に深く落ち窪みながら連綿と続く岩砂漠には、岩砂漠という形容に相応しく、平たく広大な岩から垂直に切り出した様な断面を見せる巨岩が、巨人が戯れに置いた石めいて点在していた。 荒れ果てた土地にも関わらず、朝、昼、夕と太陽の位置によって、乳白色を帯び灰色に姿を変え、赤味く燃え立ち、心和ませる橙と黄に染まる様は、不思議に美しかった。 美しく、また飢えと渇きと死に満ちた岩砂漠の果てには、見渡す限りの絶壁で区切られていた。 正確にはそれは峻厳たる山々が途切れて断崖となっている場所なのだが、彼方から望む切り立った崖は山々と岩砂漠を分ける壁として、部隊員達を拒絶している様にも思えた。
●現地情報詳細 窪地や段を成す丘があり、連なる巨岩と時折広く開けた大地が現れる。 見通しは基本的に良好だが、色の変化が乏しいため、窪地や岩、土地の隆起の陰等に隠れられると発見が困難になる場合がある(窪地や隆起の見分けが付かない為)。 植物や動物がまったく無い、もしくはいない訳ではない。
●拠点情報 凭れ合う2つの巨岩の隙間に出来た、湿った窪地を拠点として確保。 入口の外は身の丈の2倍以上ある岩に囲まれて、小さな広場を成している。 |