<スレッドリプレイ・急転>

 囚われた仲間達を助ける為に、アタシ達も動き出しました。
 しかし、敵もアタシ達の動きを察知していました。
 襲ってくる数多くのアンデッド達。アタシ達はそれらをなぎ倒して、前へと進みました。

急転リプレイ ヒトの霊査士・フィオナ(a90255)

場所:司令部   2006年03月17日 21時   発言数:1

●強行
「一気に行きますよ」
 翡翠の脱兎女・リヒトン(a01000) の爆裂矢が、辺りを赤く染め、
「そこっ!」
 花詠み・ティーナ(a11145) の雷光が、鮮烈に上空の影を撃ち墜とす。
 先の二つの任務の結果を受けたミュントス軍本隊は、特務部隊の存在に完全に気付いている。案の定、湖までの道程は、これまでの移動とは一変していた。
 一言で言うならば、道程すら既に戦場であった。
「く――ぁ……」
 敵冒険者の放った術に続き、モンスターアンデッドの集中攻撃を受け、壊れた剣・イド(a13607)が吹き飛ばされる。
「しまった!?」
「――ぁっ……!」
 再三、後衛の盾となり立ち塞がっていた独裁者の庭園・ジニー(a34782) の一瞬の隙をついた一撃が、百樹夜行・スズ(a23391) に深く突き刺さった。
「しっかりするんだよぉ」
 縫合専科・カズレヤ(a35819) の支援が降る。
「気をつけて下さい……!」
 忸怩たる想いを押し殺し、部隊の前衛に立ち。
 舞うような動きでグドンアンデッドの一体を仕留めた朱弦月の紡師・オラトリオ(a00719)が叫ぶ。
「決して、甘く見られる相手ではありません――」

●足止め
 ……最初の敵襲は、移動を開始してから一日経たずに訪れた。
 アンデッドがその力を発揮する夜、ミュントス軍冒険者二名に率いられた部隊が現れたのだ。
 それも、襲っては退くという――牽制の形を取って。
 或いは、それは遠方に出ていたという主力部隊の一部なのかも知れない。端的に言えば、彼等は「戦い慣れて」いた。狩猟者作戦の時にも勝る厚い戦力は、数を生かした強襲を繰り返してくるのだ。
「……本当です、ねっ!」
 目的は足止めだろうが、分かっていてもどうにもならない。
 側面から部隊の中程に襲い掛かってきたグドンアンデッドの首を一撃で落とし、皓月灯夜・ハル(a20670) 。
 特務部隊の戦力は、激戦による重傷や、別働隊の消息不明によりかなりのダウンを余儀なくされている。
 それでも揃った彼等は強力だった。その胸の内に秘める特別な闘志の力とも相俟って、その一撃一撃には迷いが無い。
「行きますよ……!」
 魂砕き・カナード(a19612) の黒炎が敵影を包み、
「おおおおおお……!」
 護天を従えたにっかつロマン・マイアー(a07741) が、気合と共に敵の波を押し返す。
「もう少し……ってトコか……!」
 星方武侠・ミルミリオン(a26728) の回し蹴りが敵を切り裂き、
「それ以上は、寄らせませんッ!」
 傾奇者・ボサツ(a15733)と、背負われたフィオナを背に気を吐いた氷花の祈り・ソエル(a15586) の光の雨が強く敵を撃つ。
「……そう何度も同じ手は食いませんよっ!」
 後衛から、グドンアンデッドをブラインドにして三度後退を開始した敵を睨み付けたのは堕落天使・アイシャ(a05965) だった。
 言葉と共に彼女が放った慈悲の槍は、グドンアンデッドを掠め、後方に位置していた球状のモンスターアンデッドを貫いた。
「ち――」
 ミュントス軍冒険者の舌打ちが響く。
 総力を挙げた攻撃により、壁となるグドンアンデッドはその数を減じている。
 故に、モンスターアンデッドの一体がよろめいた現在は、千載一遇の好機になっていた。
「一気に追い詰めるのだ!」
 フィオナを背に担ぐボサツは、積極的に戦う事が出来ない。しかし、彼はその状況と、性格、知性により、その事実にいち早く気付いていた。
(「これ以上、相手にしている暇は……」)
 襲撃を受けても、部隊の強行は止まっていない。
 止まっては居ないが、たとえ一秒でも湖への到着を阻むと言うのであれば。目前の障害を看過出来る筈は無い。
「く――」
 威力を増した得物を閃かせ、奮闘を続けていた侍魂・トト(a09356) の腹部が、真っ赤に染まる。
「テメエ等何ぞに――」
 トトが身を挺して作り出した隙に、巨大剣を振り上げた巨体が、地面を蹴る。
「――用は無ぇっ!」
 ずどむ
 鮮烈な爆音は、勝負を決める音色。
 一気に間合いを詰めた暴風の・オーソン(a00242) の重い一撃は、弱ったモンスターアンデッドを完全に粉砕していた。
「は――」
 短髪を額に張り付かせ、野性的な双眸をギラリと光らせた彼の視線の先には、逃げに入る敵冒険者の姿があった。

●to be……
 長期戦の末、隊員達は、敵冒険者一名とモンスターアンデッド四体、グドンアンデッド百体前後を撃破する事に成功していた。
「思ったより、かなりかかったな。被害も、大きい……」
 杪冬・ポーラリス(a11761) は、唇を噛んだ。
 失われた時間は戻らない。
 それでも、一行は最小限のロスで又一つ障害を乗り越えたと言えるだろう。かの敵軍を撃破し、囚われた仲間達を無事に救い出すその時までは……彼等に安堵の二文字は無いモノとしても。



 重傷者

 壊れた剣・イド(a13607)
 百樹夜行・スズ(a23391)
 侍魂・トト(a09356)
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