<オウカの『よくわかる神の怒り』>

 ハァイ、第4作戦旅団長、霊査士のオウカよ。
 6月3日に行なわれる『神との戦い』では、ランドアース大陸を海の藻屑にかえようと侵攻してくる『魔風ウェルダン』『魔霧ミディアム』『空中要塞レア』そして、大神ザウスその人と戦う事になるわ。

 私達を造った神が本当に実在して、しかも私達の敵に回った……。
 あまりの事に何がなんだか分からない人がいるかもしれないけど、でもね!

 やっぱり、今回もいつもと同じ、ひとつの戦いなの。
 つまり、私達にも相手にも、戦わなければならない理由があるってこと。

 そして残念ながら、今回に関しては、私達より大神ザウスの方が、ずっと真摯に、この世界の事を考えていると思えるの。それに、誰も知らなかったけど、私達は過去、ザウスによって滅亡の危機を救われてさえいるの。

 それでも、私達は戦わなければいけない。
 その為に、まずは大神ザウスの考えを知ってちょうだい。
 なるべく頑張って、分かりやすく説明するからね!


●大神ザウスとは?

 大神ザウスとは、伝説に残っている通りの存在だった。
 つまり、正真正銘本物の「神」であり、「世界と私達の創造主」であり、「神々の王」だってこと。
 ザウスは、私達全員の祖先である「古代ヒト」を造った。神様に言わせると、ヒトは少し知恵に欠けた種族ではあったけど、辛抱強く慈しんでくれていたそう。

 でも、一部の古代ヒト族がその傲慢さから力を求め、神々よりも強い「ドラゴン」に変異してしまった。
 そんなドラゴンに対して、ザウスはただ1人、この世界と自らの造った生物達を守る為に戦ったの。
 他の神様がみんな、戦いを避けて逃げてしまった中で、たった1人で戦ってくれたなんて、ちょっと感動よね。そして、この大神ザウスの力によって、凶悪なドラゴン達はこの世界から放逐されたという伝説が残っているわ。

 この世界に住む私達は『この世界が生み出された時』と『ドラゴンから世界を護ってもらった時』の2回、大神ザウスに命をもらったようなものね。
 同盟諸国にも、ザウス大祭という大きなお祭りがあったけど、それも当然のことだと思うわ。
 神々の王であり、この世界の守護者。
 それが、大神ザウスという神よ。

●なぜトロウル達を守護していた?

 現代において、ザウスはよりによって、ついこないだまで最強の戦闘種族と言われていた、野蛮なトロウル達を守護していた。それは一体何故か。

 どうも大神ザウスは、ドラゴンをこの世界から放逐する為に殆どの力を使ってしまったようなの。
 だから、ザウスは新しい生物に「知恵」を与えることを諦めてしまった。だって、万全の力の時につくったヒト族でさえ、不十分な知恵しか持っていなかったんだからね。

 で、ザウス神は別アプローチを考えたようなの。
 ザウスの目的はひとつ。『ランドアースの人々が、再び古代ヒト族のような過ちを犯し、ドラゴンの力を手に入れてしまわないようにすること』。何しろ、次に誰かがドラゴンの力を手に入れたら、この世界はおしまいだからね〜。

 そこで造り出したのが、生きることに率直な列強種族トロウル。
 列強種族トロウルは、私達から見れば、粗暴で乱暴で暴虐な種族に見えるけれど、神様にとっては『余計な事を考えない為に、凶悪なドラゴンの力に惑わされる事が無い、優れた民』だったそうよ。
 だからザウスは、列強種族トロウルを保護して、ランドアースを支配させようと考えていたみたい。

●神との邂逅

 私達は、「剛力の聖域潜入部隊」という特殊部隊を編成して、トロウル達の領土の最深部にいる、大神ザウスに面会してきたわ。

 そもそもの発端は、日輪の戦刃ボルテリオンの護衛士達がトロウル領に潜入した時、「トロウルの中に戦争状態の継続を望む『強硬派』の他に、『穏健派』っていう、これ以上の戦いを望まない派閥がある」って知った事。
 この情報を元にして、ボルテリオン護衛士達は、穏健派のリーダーである神官、バレジンとの接触を取る事に成功したの。そこで、バレジンから大神ザウスと直接面会するように勧められ……そして、大神ザウスの『剛力の聖域潜入部隊』が結成されたわけ。

 ⇒⇒⇒≪日輪の戦刃ボルテリオン≫接触
 ⇒⇒⇒≪日輪の戦刃ボルテリオン≫結成、剛力の聖域潜入部隊!

 そして剛力の聖域オグヴに潜入した私達は、聖域最深部で大神ザウスと対面したわ。
 そこで大神ザウスが語ったのは、神話の時代、世界に起こった出来事だったの。

 まぁぶっちゃけ、さっき説明したような事ね。
 かつて古代ヒト族は、神に与えられたグリモアによって力を得た。けれど、古代ヒト族の中から、さらに力を求める者達が現われたわ。
 彼等が力を追い求めるうちに辿り着いた究極の姿……それが、『真なるドラゴン』。
 大神ザウスをはじめとした神々は、激しい戦いの末に真なるドラゴンをこの世界の外に追放したわ。けれど、その戦いによって世界は荒廃し、大神ザウスを除く神々はこの世界を去ってしまった。

 そして大神ザウスは語ったわ。
 「同盟諸国の冒険者がこのまま力を得て行けば、かつて世界を滅ぼしたドラゴンと化す」こと。
 そして、その時はもう間近に迫っていること……。
大神ザウス イラスト:木野田永志

 でも、大神ザウスはひとつの解決方法を示してくれた。
 それは、『自分に忠誠を誓い、従うこと』。
 それだけが、ドラゴン化による滅びを回避する唯一の手段だと勧告して来たの。

 けれど、潜入部隊の団員は全員忠誠を誓う事を拒否したわ。
 今までの経緯もあるし、自分達はそんな事にならないって信念もあったしね。
 だって、私達は私達なりに、胸を張って生きてきたんだもの!
 未来が決まっているって言われても、納得できないっての!

 でも、数千年に渡るランドアースの歴史……戦争を憎みながらも、人間同士が力を求めての争いを止められなかった姿を見て来た大神ザウスには、私達の意志や信念も、効果を持たなかった。

 団員達の説得に失敗した大神ザウスは、同盟諸国の冒険者がドラゴンになる前に大陸を破壊することを宣言。空中要塞レアへと転移してしまったの。
 創世神としてこの大地を愛してきたザウスに、大陸ひとつを犠牲にしても滅ぼさざるを得ないと判断させるだけの力。
 ドラゴンの力とは、そこまでのものなのかしら……。

 ⇒⇒⇒創世神 大神ザウス



●迫る神の兵団

 ザウスが姿を消したのを前後して、ドゥーリルの灯台が警報を発し始めたわ。
 そしてバーレルの護衛士達がチキンレッグ領東方の海上に、かつてサンダース号2号の冒険者達を破った量産型ウェルダンが大量に近付きつつあるのを発見したの。

 バーレルの護衛士達は北方セイレーンの協力を得てドゥーリルの灯台を修復、ザウスのいる空中要塞レアに攻め込めるようになったのよ。

 ⇒⇒⇒≪百門の大商都バーレル≫<ドゥーリルの灯台>異変
 ⇒⇒⇒≪百門の大商都バーレル≫北方セイレーン王国への協力要請

 空中要塞レアに乗り込んだザウスは、ギアの軍団を率いてランドアースを滅ぼすために攻め込て来ようとしているわ。
 大神ザウスを止めなければ、このランドアース大陸は破壊されてしまう。そうなれば、この大陸の生きとし生けるもの全ては滅んでしまう……。
 それだけは、なんとしても防がなければいけないわ。
 みんなの力を、貸してちょうだい。



●細かいQ&A

 最後に、「きっとみんなこの辺が疑問かな?」ってところを、なんとなく霊視(嘘)して答えてみるね。

Q:どうして、トロウルはソルレオンに勝てなかったの?
A:大神ザウスは、トロウルこそ『この世界の支配者として相応しい』と考えていたわ。
 でも、正義を愛するソルレオンという種族も、憎からず思っていたみたい。
 だから、列強種族ソルレオンを滅ぼそうという強い意志は持っていなかったみたい。
 実際、トロウルが攻め込んできたのは西方ドリアッド領で、ソルレオン王国ではなかったわよね。
 結局、ソルレオン王国が『同盟諸国の援軍』を得て、トロウル王国を滅ぼすだけの戦力を持ってしまった為に、ザウスの雷によってソルレオンは滅びてしまったけれど、大神ザウスは、その結果を悲しんだのじゃないかしら?

Q:それじゃ、北方セイレーン王国を滅ぼさなかった理由は?
A:北方セイレーン王国が、トロウルに滅ぼされなかったのも同じ理由のようね。
 長い年月の間、神を敬う心を持ち続けた北方セイレーン王国を滅ぼす事は、神様でも気が進まなかったんだと思うわ。