【情報】セイリン王タカムラ公よりの親書 ヒトの霊査士・イズミ(a90160)

場所:隊員相談所   2005年04月24日 23時   発言数:1

 セイリンの国タカムラ公より親書がミナモの国に届いた。
 公の親書はミナモの国を治める者に宛てられた体裁であったが、文はどう読んでも楓華の風に宛てられた内容だった。
 それは、タカムラ公にとってミナモの国は楓華の風に渡した物であるという意識があるからに他ならなかった。
 その誤解を解くのは後に事になるとしても、今は、その親書の内容にある、『ガザン王討伐』について考えなければならないだろう。
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【情報】セイリン王タカムラ公よりの親書

『ミナモの国を治める楓華の風カザクラに親愛を
 我等リョクバの民は貴君等と共に天子様より賜った楓華列島を護り、よく治める事に力を注ぐ事、これを一番に考えるもの也。
 先頃より、ガザン王コレチカ公の配下の者がセイリン内にまで攻め入ったのは、カザクラも知っての通り。
 時に、楓華の風の助力あって撃退の旨はアキゴオリとの境に設けた関所の武士よりも報告があり、楓華の風カザクラと言う誠良き隣人と知り合えた事には、天子様のお覚え宜しいリョクバ州に与えられた恩恵という以外の何物でもなく。
 しかるに、ガザンのその後はアキゴオリとも結託し、ミナモに攻め入るという狼藉振り。これは許されざるべきものであり、リョクバを共に収め、束ねるセイリン国主として真実許されざるべきものと成りつつある昨今。
 かつて、天子様は我々に、それぞれの地にある列強グリモアを1つ、そして土地をよく治めよと言うお言葉を下さり、我等は努力研鑽の日々を健やかに、また確実に生きてきたのにもかかわらず、鬼と結託するなどと言う、破廉恥極まりない愚行を行ったガザン王には、これを天子様の御心を乱す悪逆と見なし、貴殿らにも理解ある揺るぎなき栄光のトツカサ王ライオウ公にもこの旨を承諾され、リョクバ一丸となってこの悪王を誅する時が来た事を宣言する物なり。
 ただ、麿が愚考するにはガザン王配下には鬼と結ぶ事を悩む、誠の武士が残っていると思われる。出来うれば、彼の者達を開放する事も天子様の教えに通じるものであり、ガザンを治めるは、彼等の中で最も武士団を束ねるに相応しい者、即ち新生のガザン王を置くが、民と共に歩む我等リョクバの武士にとって最良となるものと思われる。
 既に、アキゴオリとは轡を並べるべく和議と共にガザン討伐の兵を配する段になっている。
 かような段になり、誠に不躾とは思うのだが、ガザンの悪辣に辛酸を嘗めてきたミナモの国だからこそ、今回の戦の総大将として立つ事を希望したい。若くして名を轟かせる姫将軍セリカ姫健在の今、天子様の法に則り、リョクバに永劫の平和をもたらす為に、共に手を取りガザンを誅しようぞ。
 麿は貴殿等の鬼を退治る部隊という理念、真に期待しておる』

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●親書を受けた時の感想
(イズミとの対話の中で話された感想)

ツバキ「まぁ、それでは、ガザン王に引いて頂くだけで、万事滞りない訳ですね。良い事です」

チオウ「この呼びかけに沿って、戦をするものとしての答えを。……駆け引きですな。事実上、これでガザンは国としては一旦力が弱まる。武士団の再編というのは、厄介事。この戦にアキゴオリも介入するとなれば、セイリン王の呼びかけによる戦での先駆け、殿を勤めた国が事実上のガザンの今後を握ると言っているのと同じです。ミナモは周囲を他国に挟まれた国、どのようにも動かされてしまうという状況下で、アキゴオリにも充分機会がある。最悪の場合、東と南の二方をアキゴオリに押さえられ、西は元からのセイリンが構えているとなれば、ここで多少とも武勲を立てておくことは必要でしょう。一番美味しいのはセイリンの国。初めの呼びかけを、こうも堂々と行われては、後々どんな国勢になっても発言力は保持したままである。戦を起こしても矢面に立つ訳でない。セリカ様の言ではなくとも、確かに天子様かぶれというのは本当のところに思えますな。闘わずして利を取る。しかし、ジリュウよりは幾分真っ当かと。真っ正面からで、裏工作は余り得意ではないと見受けますが……戦の常識としてはこれ位でしょう。いいたいこと、つまりは矢面に立って働けと、これだけ明確に嫌みを入れてくる人物も面白いですな……(流石に文面までにおじゃるはないか……)」

セリカ「タカムラ公らしいのぉ。戦嫌いの公がここまで言うのは、矢張り鬼の強さをよく知っているからじゃ。貴殿等からも報告は次々に寄せられているが、ここ1年余りの、主にガザンでの鬼の発生と来襲は今までの数とは比べものにならぬのじゃ。鬼は殺さねばならぬ。例え、それが昨日までの隣人、家族であったとしてもな。そうでなくては、この楓華列島が滅んでしまうのじゃ。……何かが変わっていく、そんな気がしておる。後のガザンの事じゃが、ミナモと同じじゃな。有力な武士を名代に立てて、国を治めさせる。これで、リョクバの中での争いごとは消えると踏まれておるのであろうな、タカムラ公は。じゃがな、アキゴオリにも十分に注意せねばならんのじゃがな……何処まで見て居るのか、さっぱり底の知れぬお方じゃ。カスミ姉上を無事に取り戻した、水望大社を奪還したまでは知られていない様子じゃが、余り痛くない腹を探られぬようにする為にも、ガザン王には自ら退いて頂いた方が良いのじゃが、何分公の今までの戦の仕掛け方と、今回の鬼を用いたという明白な悪行は、どのように取り繕っても消せぬからな……最低でも、城内での戦いだけは避けられぬと言う訳じゃ……そのうえ、ガザンを治めることはまかり成らん。傀儡を置く事に慎重にならざるをえんのじゃ……誠、厄介なことこの上ないが、それがリョクバの為なら、動かざるを得まいとおもうのじゃ。恐らく、既にアキゴオリの国とセイリンの国では出兵の準備が行われているであろうからな、こちらも準備に入らねばならぬな……背後から討たれるのは好まぬよ」

カズヤ「……大旨は皆さまが述べられました事にあります。一点だけ。出来ればこの戦、ミナモにとっては今後ガザンからの介入を防ぐ為に、是非にも参加してその名を轟かせる必要があると思われます。この場合には、名よりも実を取る……この場合、国勢という意味では実を取っていない様に思われますが、今後の永劫のミナモの為には、今は名を上げる事こそが実。今後に於いての国体に大きく関わる一大事になるかと。出来れば、戦はしたくありません。疲弊するだけの戦を行い、新たな領土も得られないことが明白なのですから、今回の戦は如何に損害を減らしつつ、ガザン王とその周囲のそれは私も同じ気持ちです。ですので、投降する者は生かし、次代を担う者に託したいと思います。出来れば、我等ミナモとも手を取り合って生きて下さる方が就いてくれる事が望ましいのですが……それと、今回の戦は我々ミナモの武士団が赴きます。皆さんの中でご助力頂ける方がおいででしたら、姫様に随伴という形で参加頂ければと思います」

ケイイチロウ「戦になるのであれば、城の防衛は任せて欲しいですね。出来れば、若い武士には大きな戦も末席でも構わないので経験して貰うのが良いでしょう。けれど、その辺りの判断は姫様やカズヤ様に一任したいと思います。出来れば、ガザンからの今後の侵略を止める為にも、ガザン王コレチカ公だけを廃することが出来ればいいのですが……難しいでしょうね。カズヤ師も、セリカもその点では頭が痛いと思いますよ。我等は護りの戦に長けていますが、攻めの戦は得意とは言えませんから」

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 これらの意見を踏まえて、楓華の風カザクラ内ではミナモの武士団が参戦する戦への彼等カザクラの参加の是非を問わなければならなくなった。
 期限は4月27日。(23:59)
 戦は28日。
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●戦馬鹿
「……義姉上。結果は兎も角、俺はこの戦、楓華列島に生きる者としてガザン王コレチカ公に一太刀なりと浴びせてやりたい。鬼を煽動するのは勿論だが……一応、あれでもカスミってのは女だ。女を服を着替えさせもせずに軟禁し続ける様な外道にかける温情はねぇ」
 評決を取る為に向かうイズミを呼び止めて、チオウは拳を固めた。
「……」
「無論、俺の命は義姉上に預けている。義姉上が、駄目と言われるなら戦には征かぬ」
 握り締めた拳を震わせるストライダーを見上げて、紫の髪の霊査士は苦笑する。
「チオウ様を縛れる法は、カザクラにはありません。同盟の冒険者ではなく、ただ協力して頂いている貴方の自由意志を束縛出来る者は、この部隊には誰も居ないのです。ですが……」
「……」
「周囲の目はそれを許さないでしょう。それは貴方に対してであり、同時に私達に対してでもある。ですから、私から征けとは言えません。皆さんの評決を待ってから、動かれても損はしないと思いますよ? 何故なら、此度の戦では鬼は動きません。霊査の結果、今回の戦は人間同士の只の争いに過ぎません……」
 ですがと、チオウに背を向けて歩き出したイズミは続ける。
「鬼が出なくとも、そこに鬼を使役し、再び愚行を行わんと欲する凶王ある限りは、私達が幾ら預かると言ってもカスミ様の無事を確約出来ないでしょう。私達にも切っても切れない戦、それは隊の皆さんもよくご存じと思いますよ」
「……有り難い」
 イズミの言に含まれた意味を自分なりに理解して、薄く笑って狂戦士は斬馬刀を肩に担ぐ様に背を伸ばした。
 恐らくは、楓華の風の評決がどうなろうとも、かの狂戦士を止められる者は居ないだろう。
 それだけの殺気があった。

28日ガザン王討伐戦争に関連するお知らせ ヒトの霊査士・イズミ(a90160)

場所:隊員相談所   2005年04月27日 01時   発言数:1



 ガザン王討伐戦争は、大きく分けて3つの段階に分かれます。これらの判定には重傷、死亡に冠する判定も含まれますので、今回のガザン王討伐戦争に参加される皆さんにはその旨を充分にご理解の上、参戦下さい。

 各段階ごとに、それぞれの部隊の進行具合が表示されます。
(例示)
セイリン:10
アキゴオリ:8
ミナモ:8
カザクラ:10
 これは、数字の大きいものがそれだけ前線に味方を送り込めたことを示します。この数字が第2段階を終えた時により多い程、第3段階のガザン王討伐の為の聖域突入人数が多く取れたことを示します。


●第1段階:王城包囲網戦
 ガザンの国本領にあるガザン城を攻めるものです。
 セイリンの国のタカムラ公は、ガザンの武士は200名程の陣構えを予測されています。
 これ以外に一般兵士も居ますが、ミナモの武士団、アキゴオリの武士団、セイリンの武士団からなるの武士団と兵士という圧倒的な物量でこれを撃破します。
 この段階で我々楓華の風の取れる選択は以下のものです。

(1)鬼を操ったガザン王に従わない様に降伏勧告
長所:城の外にいる一般兵、武士の中でも今回のガザン王による鬼を操るという策を良しとしない人物を動かすことが出来るかも知れません。

短所:呼びかけを行う間、敵であるガザンの兵士も殺していてはこの呼びかけは成功しにくくなるでしょうから、当然攻撃の手を鈍らせる必要が出て来ます。

(2)聖域への突入部隊として移動
長所:聖域への突入部隊として、予め選抜されてアビリティを温存したまま王城まで移動します。
短所:移動するだけで、その他の行動の一切を行うことは厳禁とされるでしょう。


(3)突入部隊の援護
長所:敵の攻撃を一手に引き受けて闘える様に、ミナモの武士団員からの支持を得ることが出来ます。

短所:目的達成の為に活性化アビリティの多くを使用します。(残りは自身等の命の意地の為)

●第2段階:王城突入戦
 ガザンの城の大手門、裏手門、その他城壁を越えて城内(聖域)内部をグリモアに続く道を駆ける戦です。敵の実力者達を集めている可能性がありますので、激戦区となる可能性があります。
 この段階で投降を呼びかけることは、前後を敵味方に囲まれているので難易度は跳ね上がります。折角投降しようとしても、ガザン兵士同士で殺し合うと言うことに成りかねませんので、第1段階の成否によって、第2段階での行動は行動内容のもたらす意味合いが変化する段階と言えます。
 ですので、第2段階では主に皆さんが向かう場所の選択になります。

(1)大手門突破部隊
長所:アキゴオリ、セイリン、ミナモの部隊との連携の取りやすい位置にあります。アビリティの消耗は少なく済むでしょう。

短所:敵の数も多く配置されていますので、時間は長く掛かるかも知れません。また、動き次第では他の部隊が先行するようになるかも知れません。

(2)裏手門突破部隊
長所:敵部隊の数が限られて、突破に時間は掛からないでしょう。

短所:味方部隊の展開出来る数も限られますので、アビリティの消耗があるでしょう。

(3)城壁突破部隊
長所:敵の側面を突くことで、目的地に最速で到着出来るかも知れません。

短所:一度発見されると、己の身を護ることに専念しなければいけないでしょう。その場合、アビリティの消耗は最も過酷な物になります。


●第3段階:ガザン城聖域内部
 第2段階までで重傷にならなかった者、アビリティを温存出来た者が最後の戦いに挑みます。ガザン王コレチカ公、ガザン王の右腕といわれるシウンもこの場所に配されていると思われます。
 アキゴオリ、セイリン、ミナモの武士団と比較しても楓華の風隊員のLVは上位に当たりますが、それでも戦場での駆け引きを考えるとアキゴオリの武士団には要注意です。先に功を立てられた場合、今後のミナモの立場に揺るぎが生まれる可能性はあります。


それぞれの段階への参加時間は以下の通りです。

●第1段階
28日00:00〜18:59

●第2段階
28日20:00〜22:59

●第3段階
28日23:30〜23:59

 最後の戦いは敵の、特にガザン王についての討伐戦闘ですので、彼を生かして捉えようとしても、横から他の部隊によって狩られると言うこともあることは、充分に考えに置いて下さい。
 最後の戦いは時間も短く、非常に厳しいと思われますが、それだけの胆力を皆さんが持っていることを期待しております。

【戦】28日ガザン王コレチカ討伐戦<第2段階> ヒトの霊査士・イズミ(a90160)

場所:隊員詰め所   2005年04月28日 20時   発言数:70

●ガザン謀王コレチカ戦役
 開戦と共に、本陣から飛び出るようにして先陣を切ったのはアキゴオリの国から参じた3兄弟の率いる部隊だった。
 並々ならぬ気迫と共に、ガザンの兵士達の防衛陣にぶつかって行ったアキゴオリの兵士達との間に開かれた戦端は、しかし時を置かずして混乱に度合いを色濃くして行く。
 その中で、奇妙な鳥の姿をした武士と、巨大なトカゲのような姿をした何かがコレチカ王の悪行を説いて周り、ガザンの兵士達に覇気が失われた箇所があった。
 また、この戦の最中に切り結ぶ訳でもなく、コレチカ公の策により鬼を操るという噂の絶えなかったガザンの兵士達の中に、不協和音が奏で出され、徐々に押され気味になっていった。
 幼い少女が誤った道に進んだ王を諫めずに、何が忠臣かと説いて回ったとも、国の為という題目に踊らされているのだという指摘が飛んだ場面もあったという。
 そして、彼等ガザン兵士達の中で、ドリアッド様を戦場で見た、ドリアッド様から王の為に命を落とさないで欲しいと願われたという噂が、まことしやかに囁かれていった。

 戦も終盤になり、ガザン城を囲む様に護るガザンの兵士達は当初の半数が瓦解し、またその中での半数は自ら刃を置いて戦場を去ったとも言われている。
 城壁と、大手門、裏手門にはそれぞれが選りすぐりの武士を配し、万が一に備えるガザン兵士達を見て、セイリンの国より派遣されていた武士団の一行がその速度を緩めたようになる。
 同時にそれは、アキゴオリの国とミナモの国が先陣を任された形になり、激しくぶつかり合う中で先を制したのは、武士を差配し、先行する部隊を護る壁となる存在を準備していたミナモの国の武士団だった。


●第2段階:王城突入戦
 ガザンの城の大手門、裏手門、その他城壁を越えて城内(聖域)内部をグリモアに続く道を駆ける戦です。敵の実力者達を集めている可能性がありますので、激戦区となる可能性があります。
 この段階で投降を呼びかけることは、前後を敵味方に囲まれているので難易度は跳ね上がります。折角投降しようとしても、ガザン兵士同士で殺し合うと言うことに成りかねませんので、第1段階の成否によって、第2段階での行動は行動内容のもたらす意味合いが変化する段階と言えます。
 ですので、第2段階では主に皆さんが向かう場所の選択になります。



■部隊進行度■
セイリン:01
アキゴオリ:5
ミナモ:10(内カザクラ:9)


(1)大手門突破部隊
長所:アキゴオリ、セイリン、ミナモの部隊との連携の取りやすい位置にあります。アビリティの消耗は少なく済むでしょう。

短所:敵の数も多く配置されていますので、時間は長く掛かるかも知れません。また、動き次第では他の部隊が先行するようになるかも知れません。

(2)裏手門突破部隊
長所:敵部隊の数が限られて、突破に時間は掛からないでしょう。

短所:味方部隊の展開出来る数も限られますので、アビリティの消耗があるでしょう。

(3)城壁突破部隊
長所:敵の側面を突くことで、目的地に最速で到着出来るかも知れません。

短所:一度発見されると、己の身を護ることに専念しなければいけないでしょう。その場合、アビリティの消耗は最も過酷な物になります。


◆注意◆
 それぞれの段階への参加時間は以下の通りです。
 現段階では第1作戦でどれを選択されていても、本作戦には参加出来ます。
 ただし、次回第3段階では第1作戦で「突入部隊に参加」以外を選択された方が参加した場合には、難易度は跳ね上がりますので(アビリティが枯渇に近い状態の方も居ますので)その旨注意下さい。



●第2段階
28日20:00〜22:59

 1. 大手門突破部隊
   (31)
 2. 裏手門突破部隊
   (26)
 3. 城壁突破部隊
   (8)

【戦】28日ガザン王コレチカ討伐戦<第3段階・裏>  ヒトの霊査士・イズミ(a90160)

場所:隊員詰め所   2005年04月28日 23時   発言数:41

●命を救う為に

 水音のする壁の向こう側に、ミナモの武士団とアキゴオリの武士団が閉じ込められるのを見たのは、遅れて突入した大手門側と側面の城壁を登った部隊だった。
「重騎士! 武道家は居ないか!?」
 誰もが、時間との勝負、敵を引きつける戦いを繰り広げて疲労困憊の今、残されたアビリティはそれぞれ1つあればよいものだ。
「取り敢えず、ここに穴を!」

 中から、音がしなくなって既に時間は流れている。
 助けられるのか、どうかは定かではない。


●最後の戦・裏
 グリモアのある聖域最奥部、その手前での戦です。
 本スレッドには、内部に突入出来なかった人だけのプレイングをお願いします。

 敵は壁と内部の水。
 更には追撃してくる敵兵です。
 皆さんのアビリティの減少はそれぞれ各自1個を残す者とだけ捉えて下さい。プレイング時間は若干延長して、00:50分までとします。文字数は200文字程度でお願いします。

【戦】28日ガザン王コレチカ討伐戦<第3段階・完結> ヒトの霊査士・イズミ(a90160)

場所:戦場   2005年05月01日 00時   発言数:1

●掛け替えのないものの為に
「なにっつ!?」
 リリスが最後に残っていたアビリティで武器を強化し、振り下ろした壁からは水が流れ出た。だが、その奥にはまだ新しい壁が一枚。
 何層になっているのかは知れないが、一撃での破壊を恐れての服層構造になっているらしく、水が引いても瓦礫を退けてやらないと巧く次の壁を狙えそうにない。
「こっちは任せて、そんな扉破っちゃいなさい!」
 エイシェルに叩き出されるようにされた重騎士達、武道家達が仲間達によって囲まれる。
 誰もが、彼等の剣に、拳に水の檻となった内部に閉じ込められているミナモの国の仲間を、一時的にとは言え、共に闘いを挑むアキゴオリの兵士達の命を託して、押し寄せてくる敵兵に対峙していた。
「このような事に加担する者は……斬ります。覚悟して来なさい」
 テセラの頭上に輝く光に吸い寄せられるように、動いた敵兵目がけてエスルフィアが生み出した攻撃が飛ぶ。
「チィッ、ホント往生際が悪いわね…」
「ええっ!」
 パオラと共に、最後の一撃に全てを賭けて壁を破壊しようとしたエヴィルマの横に巨漢が二人、並んで立つ。
「ここまで舞台を支度されたらな」
「……剣の重さは命の重さは……」
 ワイドリィとコロッサス。
 構えた武器を握り締める腕の筋肉が唸り、駆ける一歩が地響きにも似て壁に迫る。
「うちもいるなぁ〜んよ!」
 楓華列島では避けて通れない、ヒトノソリンの異形で敵兵をかいくぐってきたシャーナが、疲れも頂点に達しながらも振るう一撃が二人の間を抜け、足元から壁に迫る。

「いっけぇぇぇっつ!」

 誰かが叫んだ。
 自分だったのか、それとも、隣にいた仲間だったのか、それは定かではない。
 だが、確かに彼等の心は、意識はその時一つだった。
 壁に叩き込まれて行く重撃が、水を万端にため込んで、中からも押さえられたように硬くなっていた壁を粉砕し、更には吹き飛ばす様にして障害を除去して行く。
「大丈夫ですか?」
 スレイドが、中にいた者達全員に癒しの力を行使する。
 間に合えと願う隊員達の前で、咳き込んで身をよじる武士達の姿があった。

●邪王コレチカ散る
「もはや問答無用!ガザン王コレチカ!貴様の野望は今この時、我ら、そして、我が斬漢刀によって潰えるのだ!!!」
 ルシールが吼える。
 吼えて駆ける彼を、追える武士はガザンには居ない。
「!」
 アリアがすかさずルシールの武具にかける聖なる力が、光がこぼれ落ちるように輝く巨大剣へとルシールのそれを変じさせる。
「遠慮は要らねーやな、コイツ等人の姿してても鬼だもんよ」
 笑うヘルガの唇が、彼女の紅い舌で舐め上げられる。
「加勢など、させるものか!」
 トゥースが己のみに黒焔を纏い、コレチカに殺到しようとする敵兵目がけて腕を突き出した。
「最後の一発まで、喰らって逝きな!」
 トゥースにあわせて、ニードルスピアの嵐がヘルガから解き放たれる。
「所詮三流でしたか」
 静かに言いはなったナナミはつがえた矢を狙った獲物、武士に目がけて一切の躊躇もなく放つ。
「もはや貴方の居場所は楓華には無く、民は貴方を石もて追い鬼は貴方を八つ裂きにせんとその牙を研いでいる事でしょう。なれば王として否、武士として此処に屍を晒しなさい」
 何もない筈の弓に生まれたアビリティの矢を、コレチカ公目がけて放つナナミの脇を、ライルが血風を纏って駆け抜ける。
「時を置けば、閉じ込められた方々を見殺すことに繋がる…故に…コレチカ……貴様を斬る」
 叫ぶ訳でなく、ただ宣告する静かなライルの言葉が戦場で果たしてコレチカに耳に届いたのかは知れないが、かの凶王の瞳は確かに彼等を映していた。
「その目、なれば何も言うことはありませんね」
 人を見下した目。
 王という、会う機会の滅多にないはずの存在にヒリュウは幾度と無く会ってきたが、中でも最悪の部類に属する瞳は彼の心を戦場だというのに冷静にさせるに充分だった。
「楓華の風カザクラが一人、ヒリュウ・カミナギ、いざ参る!」
 振脚が大地を揺らし、踏み込んだ一歩が既にヒリュウの間合いになる。
 長い刃も届かない腕の側にまで、潜り込まれたシウンは流石に焦りの色を見せたが、腐っても武士団を束ねる者。ストライダーの武道家の一撃を飛んで殺し、壁に激突するだけで無事を得た様子だった。
「朝敵コレチカ公…非道に手を染めた報い受けるといい…ね」
 ナナミと共に鮫牙の矢による攻撃を降らせたアスカが次に狙うのは、ルシールを追撃する武士達だ。
「逃がさない、よ……」
 撤退の構えを見せたコレチカに、ホーミングアローの矢を打ち込んだアスカが俯いた姿勢で呟いた。
「……コロソウ」
「貴公はやりすぎた…報いを受けてもらおう…」
 ルシールに次いで飛び込んでいったライも、既に手加減をする余裕はない。
 同時に、彼等と闘う敵もその形相は悪鬼に見間違う程の憤怒の表情で、狭い空間には怨念と怨嗟の渦巻く空気の渦がまるで肉眼に映るような気配さえこもっている様な気がしてきた。
「眠らないなら、永遠に眠ってみるか!?」
 ウィルが眠りの歌にも倒れない敵兵目がけて仲間の後ろから放つニードルスピアが、トゥース、ヘルガ達の放った一撃に相まって敵兵の数を減らして行く。
「痛いわねぇん……だからって、何時までも良いようにはさせないのよ!」
 ポチョムキンが仲間達の怪我を瞬く間に塞いでしまう。その回復の技は、楓華列島のどの武士よりも素早く、また同時に回復して立つ武士達の回復の具合も誰よりも優れているように思えるものだった。
「今度はそっちの息の音を終わらせてあげるわよぉん」
 胸が早鐘を打ったようになっている。その興奮の中でも、しかしポチョムキンは冷静にアリアの力が不足したまま前衛にと駆ける仲間の武器に光りを降臨させる。
「回復などさせんよ」
 イズミの目に映った敵の医術士を、戦の中で切り捨てるのを忍びながらも、彼は己を修羅と化して駆ける。
「喰らえ、コレチカッ!」
 咆吼のままに剣を振るうルシールの頭上から、壁を蹴って飛来したライの刃が閃いた。
「コレチカ公は討ち取った! 俺達の勝利だ!」
 ざわめきが走る。
 ライは飛び込んだ勢いを殺すように、床を身の丈程も滑り、そして手にしていた小さな固まりを高々と掲げて再度叫ぶ。
「俺達の勝利だ!」
 ざわめきが落胆に、そして消沈に変わるガザンの武士達を見下ろしながら、カザクラ隊員達は一つの戦がここに集結したことを知った。

 4月28日。
 ガザンの国、国王コレチカ公死亡。
 その御首級を取ったのは、ミナモの国のセリカ姫率いる部隊の随伴として参戦した一部隊、楓華の風カザクラの忍びだったと、リョクバの国にとどろき渡るのだった。