【行動決定用スレッド】ライオウ公との会談 ストライダーの霊査士・サコン(a90176)

場所:トツカサ遠征軍   2005年06月24日 21時   発言数:16

 ジリュウがトツカサへの再侵攻に向けた動きを始めたとの報は、瞬く間にセイカグドを駆け巡った。トツカサとジリュウとの国境付近では、連日に渡って多数のジリュウ兵が目撃され、両陣営の緊張は最高潮に達しようとしていた。
 そんな中、マウサツよりトツカサへ派遣されつつある遠征部隊では、サコンから今回の決戦に向けての説明が行われていた。
「国境周辺の各地で目撃されているジリュウ兵は、トツカサの軍勢を各領地に釘付けにする為の陽動です。ジリュウ側の真の狙いは、戦力を集結してトツカサ第3領シラトリの村に展開するシュウセツ将軍以下のトツカサ勢を一気に蹴散らし、そのまま第2領、本領へと雪崩れ込むつもりのようです。シラトリでの緒戦にトツカサ勢が敗れれば、ジリュウ側の目論見が現実の物となる可能性は極めて高いでしょう」
 サコンの言葉に息を呑む護衛士たち。天子様の教えを遵守するが故、守勢を強いられるトツカサ勢は、ジリュウの侵攻に備えて各領地に兵を配していたのだが、ジリュウ勢はそれを逆手にとって各個撃破を目論んでいたのだ。
 ざわめいた護衛士たちが落ち着くのを待って、サコンが話を続ける。
「そこで、護衛士の皆さんにお願いがあります。トツカサの軍勢をシラトリの村へと集結させ、兵力的な格差を埋める様、ライオウ公を始めとするトツカサの重鎮たちを説得してください。幸い、トツカサ側より、ライオウ公を交えての会談の席が催される事となっております」
 そう告げて一旦話を句切り、護衛士たちを見回すサコン。
「勿論、その会談の席でそれ以上の申し出を行って戴いても構いませんが、トツカサ側の事情も考慮して戴く必要があります。本来ならば、じっくりと時間を掛けて行うべき事柄であったかも知れませんが、既にその余裕はありませんので」
 時間に余裕があれば、互いに様々な提案を持ち掛け、検討する事も出来たであろう。だが、最早交渉を行うにはあまりにも時間も材料も足りなかった。
「説得が上手く行き、シラトリ方面にトツカサの戦力を集中させる事が出来れば、ジリュウ側の目論見は水泡に帰し、場合によっては、今回の再侵攻を未然に防ぐ事も可能かと思われます。ですが、説得に失敗したならば、勝利を得る為には、かなり危険な賭けに出なければならなくなるでしょう」
「危険な賭け?」
 節目がちに言葉を続けるサコンに護衛士の1人が聞き返す。
「はい。圧倒的な兵力差を誇る相手と真正面から戦っても勝ち目はありません。予め、トツカサ勢の負けを見越して、味方の被害を最小限に抑える様、防戦に徹する事も1つの選択肢です。しかし、トツカサ第3領からは撤退を余儀なくされる事でしょう。それを良しとせず、勝機を見出したいのならば、私たちが遊軍となってジリュウ勢に奇襲を仕掛けるしかないでしょう」
「奇襲、ね。その程度で敵陣が崩れてくれたら楽なんだけど……」
 サコンの説明に別の護衛士が口を挟む。
「崩れます。敵陣深くまで斬り込み、敵将を討ち取る事が出来れば、ですがね」
 そのサコンの発言に周囲の温度が一気に下がる。確かに、それが成し遂げられたならば敵陣は崩れるだろう。だが――
「……可能なのか?」
 その場にいる誰もが思ったその疑問を護衛士の1人が口にする。
「正直、ある程度の人数が揃わない限りは、敵陣を突破出来ずに全滅する可能性もあります。更に、首尾よく敵将を討ち取れるかどうかも微妙でしょう。ただ、討ち取れないまでも、敵将に手傷を負わせる事が出来れば、敵陣を崩すと言う目的を達成出来る可能性はあります」
 務めて淡々とした口調で語るサコンの言葉の端々からも、それを成し遂げる事が困難だと言う事は垣間見えた。
「一敗地に塗れる事を承知で防戦に徹するか、危険な賭けを承知で敵将を討ち取りに行くか、判断は難しい所でしょう。ただ、先に申しましたように、ライオウ公たちへの説得を始めとする皆さんの行動如何によっては、戦自体を回避する事も出来るかと思われます。護衛士の皆さんのお力添え、どうかよろしくお願い致します」
 護衛士たちに深々と頭を垂れて、サコンが一礼する。
 セイカグド統一に向けて動き出したジリュウ。その強大な力を前にして、どのように行動し、対抗するのか。
 全ては、護衛士たちの双肩に託される事となったのである。

【最終締切】6月25日 20:59まで

(マスターより)
 色々と発表が遅れて申し訳ありません。(汗)
 ライオウ公たちとの会談ですが、基本的に参加者の制限はありません。
 説得によってシラトリ方面に戦力を集中する事に成功すれば、今後の展開や戦況も大きく変化致します。従いまして、具体的な作戦案の提示は今回の会談の結果次第となりますが、基本的には敵陣突破作戦及び、徹底防衛作戦との2通りになるかと思われますので、相談などを始めておかれるといいかも知れません。
 あまり時間はありませんが、護衛士の皆さんのお力添え、よろしくお願い致します。

ドリアッドの舞踏家・エレナ(a06559) 2005年06月25日 16時
クラノスケさんやリュウゲンさん監修の下、ジリュウ領の偵察に出た者が領内で補給物資を輸送するムシャリンを何度か見かけたと話しますわ。私達の予測では、見かけた頻度と方向から判断して、トツカサ第3領に戦力の殆どを集結すると判断しましたが、そちらはどう思うか聞いてみますわ。
袖振り合うも他生の・エン(a00389) 2005年06月25日 17時
『前回マウサツに使者が来た理由とその結果を伝え、トキタダ公が言ってた、トツカサを滅してから〜力の差を見せ付ければ〜と言う発言は、今回で一気にトツカサを攻め滅ぼしてみせると言わんばかりの自信に満ちあふれてました。』みたいな感じでちょっと誇張して伝えます。『そして今その戦力を持っているのはシラトリ・・・第3領と接した国境付近の軍勢だと思います。』と言う感じで、以上のは説得するための一つの材料として発言します。
不屈の闘志を持つ男・マイティ(a15944) 2005年06月25日 18時
「先日の偵察の際に、国境方面に物資と兵士が流れていると市場で聞きました。そしてそれが一箇所に集めらるとも。その上で我々が判断したのはシラトリへ総力侵攻です。我々の判断については再考して頂いても結構ですが、命を懸けて得た情報は信用して頂きたく存じます。非常に一方的な物言いで申し訳ありませんが、これらを踏まえて宜しくご検討頂きたいと思います。」と真摯に訴えます。
挑風・ダスト(a20053) 2005年06月25日 19時
少しでも早く移動するためにチキンスピードを使う。情報やみなの言葉を裏づけできるように軍議用に地図に情報、兵士、ものの流れなどを書き込みながら説明を行う。サコンさんや霊査士のことを説明を求められれば、分析能力が長けているものというぐらいの説明をしておく。「先日ジリュウに潜入してきたおりに得た情報やこちら側がとれるのは基本的防御戦術であること、そして、上級アビリティを駆使すれば第3領からの攻略を考えると思うのじゃ。」

門出の国の夜鶯鳥・マルティーナ(a13778) 2005年06月25日 20時
先日サダツナ様からの書状により、ご会談の場に居合わせた旨をお話しします。「ジリュウとマウサツとの間に不可侵条約を結び、「セイカクド王」の名を名乗るお考えがあったとの事です。その件につきましては、先日本国への使者の派遣をお断りした事で、恐らく御和算になったとは思います。しかしながら、サダツナ様は『然るべき地位と権限』を手にし、また天子様のご意向に背かれる事も仰っておりました。もし、天子様に背かれる行いを、皆様がどのようにお考えになられるのか…… あとは皆様のお心次第です……」上手くお話がまとめられずに申し訳ありません。信用して頂けるか、不安ではありますが…… あと、移動に際して早ムシャリンを飛ばして頂くことは出来ますでしょうか?
氷雪の御前・ルナール(a05781) 2005年06月25日 20時
各地で姿を見せるジリュウ兵は、陽動と市民の不安を煽る為だと考えられます。 敵の真の狙いは、おそらく、陽動により我らの注意を散漫させ、その隙にジリュウとの戦争での最前線となる第3領シラトリの村を潰すことだと考えられます。此処を潰せば、今後の進行が容易になるほか、修繕することにより拠点としても使えるからです。 そこで、第3領に戦力を集中させ、相手の出鼻を挫き、また、戦力を集中することにより自軍の士気を高め今後の戦争が有利に進むのではないか、と進言します。

天翔ける楓華の兎娘・ラミ(a27111) 2005年06月25日 20時
ライオウ公を始めとするトツカサの重鎮の皆さんの言い分を(特に兵を動かせない理由など)をよく聞いた上で、少数の敵には冒険者の方が適任であることなどを理由に、それらを解決するべく「私たちで解決できることは、何でも積極的にお手伝いします」と協力を申し出てみます。会談には、極力裏表のない誠実・素直な態度で臨むつもりです。言えないことは変に誤魔化さずに、「…それは事情があって今は言えないんです。本当にごめんなさい」と真摯に謝るつもりです。
墓掘屋・オセ(a12670) 2005年06月25日 20時
過去の戦史を紐解いても、ジリュウの定石は陽動である事は明白。まして先の小競り合いで兵站の整わないジリュウが真っ向から攻めてくる可能性は低いであろう事を進言。 それを伝え次第、移動路に関する具申等は他の人に任せ、急ぎ体勢を整えられるよう、シラトリの村に向かわせて貰おう。

泡沫神子・セイル(a11395) 2005年06月25日 20時
「連日発見されたジリュウの武士の件でございますが、怪しいと思われませんか?戦争をしかけようというのに国境付近で連日発見されるなど陽動としか思えません。先の戦で一番シラトリに兵が多くいるはず…、兵を各地に派遣するとなるとシラトリからということになりますよね?ある程度減ったらシラトリに攻撃を仕掛け攻め落とすつもりかと思われます。先のシラトリでの合戦の私達の功績を買って下さっているのならばどうか兵をシラトリへ派遣して下さい!」と真摯な態度でお願いします。
竹林の大熊猫・シス(a14630) 2005年06月25日 20時
「敵にいるトキタダ公は、自身と同様の者が生まれるのを嫌うでしょうから、トツカサの兵を徹底的に倒してからグリモアを所有しようと考えるでしょうなぁ〜ん。 そしてそれはジリュウも同じことなぁ〜ん。 しかし、まともに戦えば自軍もただではすまないので、得意の謀略を用い兵を分散させ、強襲、順を追ってトツカサのグリモアを手中に収める。と、こんな筋書きと思われますなぁ〜ん。」 と、言ってみるなぁ〜ん。 
侍魂・トト(a09356) 2005年06月25日 20時
「今までの情報収集の結果から、前回のシラトリでの合戦…ジリュウは本気ではなかった様だ。前回の侵攻が失敗したと見せれば、今回も同じ攻めをするとは我々も考えにくい。そこを突き、今度は全力で同じシラトリに攻め込む…。それが奴等の狙いではないだろうか…」っと言ってみる。ライオウ公に直接話す場合は、一応敬語に変換する…(苦笑)
銀糸の檻・グリツィーニエ(a14809) 2005年06月25日 21時
トツカサの方に申し上げるのは恐れ多く、私の考えですが、と前置きし。「本領を落とせば残る武士団が強敵となります。第二領は攻略に手間取れば本領、第三領双方からの援軍により挟み撃ちにあう危険があります。やはりシラトリに再度攻め入る公算が高いのでは」と、あくまで一意見として申し上げます。

星屑の海を彷徨う者・コト(a26394) 2005年06月25日 21時
「各地に分散しているジリュウの兵達はトツサカの国の目を引く為の陽動員だと思いませぬか?あの策高きサダツナ公が無意味な行動を示すとは思いません。トツサカの兵力を分散させ警備が手薄になった所に襲撃を仕掛けるのであればシラトリが一番可能性が高いかと思いますわ。理由は皆様が仰っているようにジリュウとの最前線、今後の進行の足がかりになるはずですもの」(重鎮に方に失礼がないように注意)
希望の流星・ルディン(a14167) 2005年06月25日 21時
シラトリの合戦で、トキタダの部隊の役目は、シュウセツ将軍を討つことでした。 シラトリとシュウセツ将軍は、敵に、無視できないほどの評価をされています。 今回の敵の策は、陽動で、シラトリの戦力を削ることにあると思います。 …どうか、シラトリに戦力の集中をお願いします。(当然、真剣な態度で臨みます
ストライダーの霊査士・サコン(a90176) 2005年06月25日 21時
此処までと致しますね。

【行動決定用スレッド】シラトリ攻防戦 ストライダーの霊査士・サコン(a90176)

場所:トツカサ遠征軍   2005年06月26日 10時   発言数:50

「……よかろう。貴公等の進言、信用に値する。我が軍はシラトリの地に集結し、ジリュウとの決戦に挑むと、トツカサの全将兵に号令せよ!」
 マウサツの護衛士たちによる懸命の説得が功を奏し、ライオウ公の号令の下、トツカサは全軍を挙げてシラトリの村へと布陣する事を決定した。
 このライオウ公の決断により、シラトリの村近郊に配されたトツカサとジリュウとの兵力は、ほぼ互角となり、戦は未然に回避されるかに見えた。
 だが――
「このまま戦闘は回避されるかと思っていたのですが、そうは甘く行かないようですね。恐らく、ジリュウ勢は再侵攻を開始します。ジリュウ側の主将は、前回のシラトリの合戦と同じく大将軍カツシゲです。戦いは厳しい物となるでしょう」
 シラトリの陣幕の一つに集まっていた護衛士たちにサコンがそう断言する。ジリュウ側も必勝を期して兵力を集めた手前、一度も戦わずして兵を引く事は出来なかったのだ。
「ですが――」
 そう告げて、護衛士たちにゆっくりと視線を向けるサコン。
「防御に徹してジリュウ勢の攻勢を凌ぐ事が出来たならば、ジリュウ勢は兵力の損耗を嫌って、今回の再侵攻を断念し、軍を引く事でしょう」
 サコンの言葉に護衛士たちの間から、歓声にも似たどよめきが走る。両陣営の兵力差が埋まった事で、護衛士たちが採るべき作戦も大きく様変わりしていたのだ。
 護衛士たちを取り巻く情況は、間違い無く好転していると言ってよかった。
「もちろん、危険を承知で当初より提案していた敵陣突破作戦を敢行し、敵将を討ち取るべく動いて戴く事も出来ます。各作戦の説明ですが――」


1.徹底防衛作戦
 敵の攻勢を凌ぐべく、防御を重視して戦って戴きます。この選択肢を選ぶ方が多い程、味方陣営の損耗を軽減し、敵部隊の攻勢を凌ぐ事が出来るでしょう。

2.敵陣突破作戦
 敵陣深くに斬り込んで、敵将を討ち取るべく戦って戴きます。参加者が少ない場合、全滅の恐れもありますが、戦況を一気に変える事も可能でしょう。

3.その他
 敵の特殊部隊への対応など、上記以外の行動を行います。具体的な内容をお書きください。


「――と、以上が大まかな作戦案となります。どの作戦を採るのかは、全て護衛士の皆さんの判断にお任せします。お力添えの程、どうかよろしくお願い致します」
 深々と頭を垂れて、戦場へと向う護衛士たちを見送るサコンの表情は硬い。
 こうして、セイカグド史上類を見ない大軍同士の激突が今、始まろうとしていた。

【最終締切】6月26日 23:59まで

(マスターより)
 今回の作戦ですが、同日に行われているリアルタイムイベントに直接参加している方の御参加は不可と致しますので、ご注意ください。それ以外には特に参加制限は設けておりませんので、出来る限り多くの方のご参加をお待ちしています。
 これまでに得た情報などを踏まえた上で、締切までに行動内容を十分に吟味した上、最善と思われる行動を選択してください。
 尚、余り字数が多過ぎますと五十嵐の処理能力に支障を来たしますので、行動宣言は200文字程度に治めて戴けますと幸いです。あくまで目安、ですが。
 それでは皆さんのお力添えよろしくお願い致します。
 

 1. 徹底防衛作戦
   (20)
 2. 敵陣突破作戦
   (20)
 3. その他
   (6)

【結果】シラトリの攻防戦 ストライダーの霊査士・サコン(a90176)

場所:トツカサ遠征軍   2005年07月01日 23時   発言数:1

 戦場に於いて、『もし』と言う言葉を使ってもいいのならば、もしこの戦いに参加していた護衛士たちが全力で防備を固めたならばジリュウ側の攻勢を凌げた可能性はあったかも知れない。逆に、もし突破部隊により多くの戦力を集める事が出来ていたならば――
 いや、無意味な仮定ばかりしていても仕方あるまい。過ぎ去った過去は取り戻す事は出来ないのだから。

 兵力だけを比べるならば、マウサツからの援軍を加えたトツカサ勢とジリュウ勢との間にそれ程の差異はなかった。だが、兵士一人一人の実力差は、シラトリの合戦時と比べても如実な差として現れていた。
 1つの大きな戦を経験した事で、ジリュウの武士――冒険者たちは着実に成長を遂げていたのである。だが、トツカサ側の武士たちには然程の上積みも無く、それが今回の戦の趨勢を大きく左右する事となった。
 以前ならば凌ぎ切れた筈のジリュウ勢の攻勢を、トツカサの前衛部隊が支え切る事が出来なかったのだ。守勢に回っていたマウサツの護衛士たちも奮闘をみせるが、ジリュウ勢の勢いを受け止めるだけで手一杯となり、トツカサ勢は次第に後退を余儀なくされる。
 此処で戦場に1つの転機が訪れる。ジリュウ側の大将軍カツシゲを討ち取るべく、マウサツ側の特攻部隊が猛然とジリュウ勢の後背から突撃を開始したのである。一瞬、統率が乱れ浮き足立ったジリュウ勢の間隙を突いて、猛反撃に打って出るトツカサ勢。
 このまま劣勢を脱するかに見えたトツカサ側であったが、反撃も一時的な物であった。トツカサの本陣に、トキタダ公が指揮する別働隊が猛然と襲撃を仕掛けて来たのである。
 元々の配下の仮面兵団にジリュウ側の精兵たちも加えた総勢50名余りの別働隊による猛攻は、トツカサの陣を深く貫き、シュウセツ直属のトツカサ本陣にまで到達した。だが、予め別働隊に対して備えていた護衛士たちの活躍などもあり、トツカサ勢は辛くもトキタダ公の襲撃を凌ぎ切る。
 これに対し、マウサツの繰り出した特攻部隊の総数は20名足らず。目的を成し遂げる為には余りにも寡兵過ぎた。個人個人の力量では護衛士たちが勝っていたものの、数に勝るジリュウ勢の頑強な抵抗の前に体力、アビリティ共に消耗し、カツシゲの本陣を目前にして、満身創痍となった護衛士たちは退却を余儀なくされてしまう。
 万一の事態に備えてアビリティを温存していた者たちの機転などもあり、ジリュウ勢の執拗な追撃を交わし、特攻部隊に参加した護衛士たちに一人の犠牲者も出なかった事は、まさに僥倖であったと言っても過言ではあるまい。
 起死回生とも言えるジリュウ本陣への特攻が失敗に終わり、逆にトツカサ本陣への襲撃を許した事で、トツカサの宿将シュウセツ将軍は終に苦渋の決断をする。シラトリの陣及びトツカサ第3領を放棄すると、トツカサ全軍に伝えたのである。
 退却するマウサツの特攻部隊への追撃を仕掛けていた事でジリュウ勢の対応が立ち遅れた事は、撤退を開始したトツカサ勢にとって貴重な時間を提供する事となる。
 無論、ジリュウ勢による追撃も行われたが、シュウセツ将軍と共に殿に立った護衛士たちの奮闘もあり、少なからずの犠牲を払いつつもトツカサ勢は第3領からの撤退を完了させたのであった。
 結果として、トツカサ軍が壊走ではなく撤退出来た事は、不幸中の幸いであったと言っていいだろう。

 こうして、シラトリの攻防戦でトツカサ側は出陣した兵力の2割近くとシラトリの村を含む第3領を失い、ジリュウ勢に敗れる事となった。
 この敗戦により、領地と兵を失ったトツカサは更に苦境に立たされる事となるだろう。逆にジリュウ勢は更に気勢を増し、残るトツカサ領への侵攻を続けるだろう事は明白。今回の敗戦の責を取ってシュウセツ将軍が将軍職を辞するとの噂も乱れ飛び、トツカサを取り巻く情勢は混迷の度を増そうとしていた。
 着実にセイカグド統一に向けての手を進めるジリュウに対して、マウサツとトツカサに残された手筋は果たしてあるのだろうか?

【END】