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●戦果と結末 カザクラの総意として伝えたモンスター討伐への同行はドリアッドの武士団に満場一致で承諾を得ることが出来た。 武器を携えて向かう者、目通りがあるために武器を置いてきた者でも、己の力で何かをと、戦場に向かう者達でキナイは揺れていた。 モンスターは10体。 いきなりの数に驚くドリアッド達の戦い方は、それでも楓華列島の覇者としての威厳に満ちたものであった。 先達が剣を閃かせて先頭を行き、若い武士に戦場で実地の訓練を行っているようにも思える中、カザクラ隊員達は補佐に回り、ドリアッドの武士団が戦いやすいようにと心がけて、彼等の影となり、時には共に並んで戦うことを選択したのだ。 そして、その決断はドリアッド達のモンスター討伐圧勝という形で終わりを迎えた。 「加勢も必要なかった程……」 圧倒的とは言えないのだが、研ぎ澄まされた刃が閃く様は優雅という以上に似合う言葉を持たないまでの華麗な剣さばきで、同時に同盟ではつい先頃に習得が可能となったアビリティに関しても、千年以上の時を持つ時代の中で磨かれてきたドリアッド達が用いれば、モンスターから一切の反撃を封じて完勝することも可能なのだと思い知らされたのであった。
●勅命を受けて 7月11日、正午。 再び楓華の国の都に戻った楓華の風の隊員達は、直々に労いの言葉をと天子様の待つ殿に通された。 《討伐への助力、大儀であった。我らもそれに報いるように、そなた達に堤じたい事があったのじゃが……まだ、足りぬ事がよく分かってしまったのじゃ……》 寂しげに語るドリアッドの声は、御簾越しにも震えているように聞こえてくる。 《他国との戦に負けたと……再び同じ相手には勝利したが、一度は大敗を喫したのだと伝えられておる。それを伝え聞くまでならば、遠き地にあるそなた達の“希望”と共に歩むことは吝かではなかったのじゃが……》 一呼吸置いて、天子様は続ける。 《我に、家臣を押さえるだけに足る証を見せて欲しい。隣3国、トオミフジ州に蔓延る邪悪、見事解決して貰えるならば、家臣を押さえることも可能であろう。人の命の灯火が消える様は、いつ見ても悲しく切ないもの……じゃが、今我らが下手に動けば、鬼共が一斉に動くのじゃ……それだけは、避けねばならぬ……》 そしてと、深く息を吐き出す音が御簾の向こう側で聞こえる。 《トオミフジ3国、見事に平らげて見せて欲しいのじゃ。それを持って、我らが楓華列島、そなた達遠き、古き友との再度の友情を誓いたい……》
天子自ら、トオミフジ州における困難の排除を同盟入りの条件として出された楓華の風カザクラ隊員達。 進むか、否か。 全ては彼等の双肩に託された。 |