<アビリティ講座〜明日の依頼成功の為に〜>

■Lesson7:クリスタルインセクト


ヒトの霊査士・リゼル 「アビリティは、冒険者だけが使える強力な力です。アビリティを使いこなす事で、敵を倒し依頼を成功に導く事ができるでしょう。
 逆に、アビリティを使いこなす事ができなければ、敵に倒されたり依頼に失敗したりするかもしれません。
 このコーナーでは、使いこなすのが難しいアビリティを選んで毎月1つづつ説明を加えていきます。
 第7回の今月は、様々な形態に変化するクリスタルインセクトです」

<クリスタルインセクト(紋章術士上級 体)>
 ひとつまみの塩に自らの生気を分け与えることで、「クリスタルインセクト」1体を生み出します。身長1.5m程度の「水晶に脚の生えた形状」をしており、3つの「形態」に変化します。
 あなたがクリスタルインセクトに向けて意識を集中していると「偵察形態」、集中していない時は「雑音形態」、クリスタルインセクトがダメージを受けた時、戦闘中に召喚した時は「攻撃形態」に変化します。
 「偵察形態」は、あなたと視覚を共有し、命令通りに動きます。「雑音形態」はその場を動かず、雑音を出し周囲の対象を混乱させます。「攻撃形態」は、死ぬか効果時間が切れるまで、戦い続けます。

射程 :近接
効果 :クリスタルインセクト1体召喚
持続時間 :1戦闘中
制限 :-

■特徴

・偵察形態
 使用者がクリスタルインセクトに向けて意識を集中している間、クリスタルインセクトは偵察形態になります。偵察形態のクリスタルインセクトは使用者の視覚を共有し、命令通りに動きます。
 使用者はクリスタルインセクトに意識を集中している間も、会話やメモを取るなどの行動が行えます。ただ、使用者の視界はクリスタルインセクトの視界のままなので、移動など視力を必要とする行動は難しいです。集中した状態で移動する場合はおぶってもらう、ノソリンに乗るなど他人の力を貸してもらうのが良いでしょう。

・雑音形態
 使用者がクリスタルインセクトに向けて意識を集中していない間、クリスタルインセクトは雑音形態となります。
 雑音形態のクリスタルインセクトはその場から移動せずに、雑音を出し周囲の対象を混乱させます。
 この雑音の射程は10m全周であり、敵や味方を区別せず射程範囲内の全員に効果があります。
 使用者がクリスタルインセクトへ意識を集中しなおすと、偵察形態へと変化します。

・攻撃形態
 クリスタルインセクトがダメージを受けるか、戦闘中にクリスタルインセクトを召喚した場合は攻撃形態となります。
 攻撃形態になると、クリスタルインセクトは死ぬか効果時間が切れるまで戦い続けます。
 使用者がクリスタルインセクトへ意識を向けても、偵察形態や雑音形態へ変化させる事はできません。

■図でわかる、クリスタルインセクトの形態の変化




■注意点

●召喚の持続時間は1戦闘中
 最初の説明にあるように、クリスタルインセクトの接続時間は1戦闘中です。
 戦闘が終了するか、または10分が経過するとクリスタルインセクトは消滅してしまいます。
 長時間置いておくという使い方はできないので『逃走の休憩中、追っ手が来ないかどうかちょっと確認したい』とか、『出口が2つあり、どちらから敵が出てくるかわからないが、戦力は分散させたくない』といった場合に使うのが良いでしょう。
 どうしても長時間クリスタルインセクトを置いておきたいのなら、10分経って効果が切れる度に、設置場所へ赴いてクリスタルインセクトを召喚すると良いかもしれませんね。

●隠密性の低さ
 クリスタルインセクトは身長が1.5mあります。しかも姿が姿ですので、目立ちます。
『洞窟のアジト内へクリスタルインセクトを先行させ、偵察させる』などという使い方をする場合、クリスタルインセクトを囮として併用するなど、仮に見つかっても大丈夫な策を練るか、見つからないようにできるか、などを考えて使った方が良いでしょう。

●形態の変化
 偵察状態や雑音形態の時にダメージを受けた場合、クリスタルインセクトは攻撃形態になってしまうのは上の図の通りです。以下で失敗例を交えて、クリスタルインセクトの形態の変化に関する注意点をあげていきます。

【失敗例1】迷子のやんちゃ犬
 グドンの住む山にて迷子になった依頼人のペットである犬を探す、という依頼を受けた冒険者達。
 山についた冒険者達は、それぞれクリスタルインセクトを使って広範囲に犬を捜索する。
 そして、ついに1匹のクリスタルインセクトがペットらしき首輪をした犬を発見した。
 同時に犬もクリスタルインセクトに気付く。だが犬は、クリスタルインセクトを敵だと思い、噛み付いてしまう。
 クリスタルインセクトの外見が、青色の偵察形態から赤色の攻撃形態へと変化する。
 と同時に、視界を共有する事ができなくなり、使用者の目には仲間達の顔が飛び込んでくる。
 状況を理解した冒険者達は慌てて現場に急行する。  そして、なんとかクリスタルインセクトを倒すのだった。

 一度クリスタルインセクトが攻撃形態になってしまったら、攻撃を止めさせるには、時間が切れるのを待つか、倒してしまう他にはありません。
 クリスタルインセクトが攻撃形態になっても大丈夫な場面か、検討してみましょう。

【失敗例2】私の彼は大盗賊
 盗賊のボスになってしまった恋人を更正させて欲しいという依頼を受けた冒険者達。
 クリスタルインセクトを盗賊のアジトに先行させ、次回の襲撃について会議中のボスの部屋を発見する。
「よし、場所はわかった!」
 使用者は意識を自らに戻し、仲間達を先導する。

 その頃、ボスの部屋では雑音が響き渡りはじめた。
「な、なんだ?!」
 ざわめく盗賊達。使用者が意識をクリスタルインセクトから逸らした為、雑音形態に変化したのだ。
 雑音を聞いた盗賊達は、抵抗できるわけもなく、混乱しはじめる。
「か、怪物だっ!! なんでこんなとこに!?」
「やめろ、俺だッ、わからねえのか!!?」
 同士打ちをはじめる盗賊達。その中には依頼人の恋人であるボスの姿も含まれていた―――

 雑音形態は敵味方構わずに雑音を聴かせます。クリスタルインセクトの周囲に傷つけてはいけない対象がいるのなら、他の方法を模索するのも手かもしれません。

●偵察形態時の視界
 クリスタルインセクトの偵察形態時、使用者はクリスタルインセクトの視界が見えています。
 なので、夜にクリスタルインセクトを使った場合、真っ暗で何もわからない、なんてこともあるかもしれません。
 ちなみに使用者がエルフならば、クリスタルインセクトの視界にもエルフの夜目の効果があります。

 ひとりが複数のクリスタルインセクトを召喚していたとしても、同時に複数のクリスタルインセクトと視界を共有する事はできません。
 見ることのできる視界は常に1つなのです。
 定点カメラを切り替えて見ているのと同じで、意識という名のチャンネルを切り替えてそれぞれのクリスタルインセクトの視界を見るという感じになります。
 このとき、意識を向けていないクリスタルインセクト達は雑音形態に変化します。
 複数のクリスタルインセクトを展開しても全部の視界を同時には見る事はできませんし、持続時間は約10分、長くは持たないので十分に注意して使用しましょう。