〜とある街角にて〜
銀髪の女の襲撃を受け、男は路上に倒れ伏した。
女は素早く彼に近付き、後ろ手にかばっていたアタッシュケースに近付く。
しかし、アタッシュケースは既に開いており、中身は空であった。
「出し抜かれたか……元より空だったか、或いは交戦中に、中身だけを行き交うトラックの荷台にでも投げ入れたか……」
そう呟くと女は立ち上がり、雑踏に紛れるように姿を消した。
「……アレは取り逃したが、どこに逃げても無駄だ。古よりの運命の糸があるかぎりな……」