〜兵庫県 神戸市〜

 「アル君、メガリスゲットおめでと〜!!」
 破裂音のした方向には、クラッカーを持った少女達。
 そういえば、この位置が人狼に知れている筈が無い。苦笑して、少年はガンナイフを懐にしまう。

 「いや〜めでたいなぁ〜! ほら、サっきゅんも手伝って!」
 そう言いながら、『アル君おめでとう!』と書かれた横断幕をてきぱきと広げ、何やら祝賀会場のようなものを用意する少女達。「サっきゅん」と呼ばれた仮面の女性も、会場設営に加わる。

 続いて、大量のシャンメリーを持ち込み、全員に配っていくあゆみ。
 「ノンアルコールやから、気にせんと飲んでな。ぱ〜っとやろ!」
 乾杯コールに続いて沢山のお菓子も持ち込まれ、突然のお祭り騒ぎが始まった。
 サっきゅんも、促されてシャンメリーをこくこくと飲んでいる。言葉を持たぬ彼女だが、彼女も大事な仲間なのだ。その感情を計り知る事は難しいが、蛇の尻尾は楽しげに揺れている。

 「アル君アル君、この後は三ノ宮のカラオケ屋に予約入れてるから!」
 「学校休めんかった子らもそっから合流するから、絶対参加やで!」
 口々に話しかけ、笑いかけてくる少女達。

 黒衣の少年は静かに微笑み、言葉を返す。
 「カラオケも良いが、晩餐会は『城』で行うものだよ」
 そして、言葉を続ける。
 「六甲アイランドに赴き、今こそ君達に披露しよう。メガリスを破壊して生まれる、我等の『城』を」