帯刀・圭吾 & 朝比奈・瑞貴
〜四国某所〜

 暗室に断末魔の悲鳴が響く。褐色の肌の青年……帯刀・圭吾が、今、暗室に群がっていたリリスの最後の1匹に、止めの破魔矢を放ったのだ。
 全てのリリスを仕留めた圭吾は、この様子を微笑みながら眺めていた人物に向けて叫ぶ。

 「朝比奈……!!」
 「さすがは僕の巫女だね、圭吾。強いじゃないか」
 朝比奈・瑞貴の明るい物言いには、いささかの驚きも戸惑いも無い。

 「朝比奈、あのリリス達は何だ! お前は一体、この土地で何をしようとしている……!」
 「さぁ、何だと思う? 『巫女』である君に、『女王』である僕の意志が見抜けるとでも?」
 「……朝比奈、お前はまだ女王として覚醒したばかりだ。我々にはお前を教え導く義務が……」
 「圭吾、それ本気で言ってる? 本気で、僕を君達巫女の操り人形にしようと思ってるの?」

 「それは違う! 俺達は……俺は、瑞貴の為に生きる巫女だ! それを疑うならば、今すぐお前の赤手でこの胸を切り裂けばいい!」

 「圭吾。ようやく僕を瑞貴と呼んでくれた……」
 微笑の中に浮かんだ瑞貴の別の表情を、果たして圭吾は気付くことができたか。
 「ならば帯刀・圭吾よ。君に、僕の目的を教えよう。僕の目的は、ここに『僕らの国』を作ることだ。
 リリスも、天輪宗の老人共も、その為の手段に過ぎない」
 「瑞貴……それは本当か……?」

 とまどう圭吾の表情をゆっくりと眺めた後、瑞貴は言い放つ。
 「もし嘘だったら、何なの?」

 しばしの沈黙の後。
 「……確かにお前の言う通りだ、瑞貴。女王であるお前を教え導くなど、俺達の傲慢だった。
 俺達は、土蜘蛛の女王に忠誠を誓う巫女。お前の意志は、俺達の意志だ」

 そして瑞貴は、ゆったりと満足げな笑みを浮かべる。
 「良かった。それじゃ圭吾、さっそくひとつ、お願いを聞いてくれるかな……?」