〜広島県の山中〜
とある山中に、数十人の若者達が集合していた。
不良然とした格好の彼らは、全員が奇怪な武装……紛れも無く、詠唱兵器を身に付けていた。
「リーダー、紀伊半島沖の海上で『大いなる災い』が復活したよ!」
電話での連絡を受けたタンクトップ姿の女性が、集団の中心にいるサングラスの男に声を掛ける。
その報告を受け、リーダーと呼ばれた男の周囲の者達に動揺が走る。
「ちくしょう、間に合わなんだか……」
「くそっ、アタイ達が囮のトラックに引っかからなければ」
「ごめんよう、オレの、オレの報告が遅かったばっかりに〜」
「徳島の。お前の責任じゃねぇ」
サングラスの男は、泣き言を喚いたリーゼントの男の肩を叩き、言葉を続ける。
「『大いなる災い』は復活し、奴の目指す土地は判明している。奴の強さが俺達の調べた伝承の通りなら……関東平野の人間は皆殺しにされる。許す訳にはいかねぇ」
サングラス越しにも感じる、彼の純粋な怒り。このシンプルな怒り、彼の明確な意思こそが、抗争を繰り返していた彼等をひとつにまとめあげた原動力なのだ。
「まだ勝機はある。誰だか知らねぇが、封印石を運んでいた奴らのおかげで、大いなる災いは海上で蘇った。大いなる災いの目的地から考えて、人里に出現するのはまだしばらく先だ」
そして、サングラスの男は周囲に告げる。
「既にお前ら四国、中国地方の総長は、俺の元に集ってくれた。だが、相手は大いなる災いだ、明らかに兵力が足りねぇ」
「今から5日で、全国の総長共を纏め上げる! 今こそ、俺たちゴーストチェイサーの正念場だ!」
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