〜(12)サンフローラン(吸血鬼側)〜

 突如、戦場に闇の帳が下りた。
 全てを包み込む漆黒の闇の中には、おびただしい数のゴーストの視線。
 そして、闇の中央には『彼』がいた。
 戦場を包む広大なる闇は、その全てが彼の体内なのだ。

 「伯爵……!! キサマ、何をしにきたっ……!!」
 原初の吸血鬼、古老ランカスターが、同属である彼に向かって怒りの叫びを上げる。

 『伯爵』と呼ばれた男は、三つ巴の戦いが繰り広げられているサンフローランを見渡し、次に自分への敵意を剥き出しにするランカスターに、ゆっくりと目をやった。その後に、静かに告げる。

 「決まっておろう、収穫を横取りに来たのだ」

 そして、『伯爵』はそれ以上ランカスターに目をやることもなく、確かな足取りで前進を始める。
 彼に付き従う無数のゴースト軍団と共に、闘神の渦を目指して……!