山神・伊織は、学校への「秘密の抜け道」を、大急ぎで駆け抜けていた。
前日も修行にあけくれていたとはいえ、新学期そうそうに遅刻するのは避けたかったからである。
「……!」
しかし、伊織は走るのを急に中止し、本能的に身構えた。
伊織の前方に現れた、外国人の集団……。
こちらに向けて放たれる殺気は、あきらかに常人のそれではない。
伊織が相手の出方を伺っていると、男達は懐より古びたメダリオンを掲げ、口を開く。
「その詠唱銀、渡して貰おう。……リベレイション!」
次の瞬間、一陣の旋風が巻き起こったかと思うと……。
男達は、どこからともなく出現した甲冑と突撃槍を身にまとっていた。その現象はまるで……。
「『リベレイション』? まさか、銀誓館学園と同じ技術をもつ組織が……?」
とっさに伊織もイグニッションし、攻撃を仕掛けてきた男達への応戦を始める。
しかし、多勢に無勢……。
伊織は謎の男達によって打ち倒され、懐の詠唱銀を奪われてしまったのだった。
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