妖狐・武曲
〜茨城県笠間市〜

 妖狐・武曲は、頼もしき友軍の到着を迎え入れた。
 町を見下ろす程の、巨大なムカデの群れ。その足元を埋め尽くすゴーストの群れ。
 あまりの強大さ故か、笠間市の人々は世界結界に阻まれ、軍勢を視認することすらできない。
 その百鬼夜行は紛れも無く、妖狐最強を誇る「七星将」の『尾』であった。
 そして、巨大ムカデを無数に従える七星将の名は……。

 「お待ちしておりました、廉貞(れんちょう)様」
 武曲は、若干の緊張の面持ちで、百鬼夜行の先頭に立つその男――廉貞を迎え入れた。
 廉貞の放つ威圧感は、ただそれだけで、周囲の生物を死滅させるかのようだ。

 廉貞が、重々しく口を開く。
 「大地に鎖する地竜の精髄、圧倒するが汝の矜持。天覇地征は七星将が定めにして……」
 「はい? すみません廉貞様、声が小さくて聞き取れないのですが」

 「……私は佐白山で龍脈を呼び出すので、あなたの『尾』に加えなさい」
 「ありがとうございます。この七星儀、必ずや全うして見せます」