ジャック・マキシマム
〜新ジャックマキシマムハウス〜

 無言で佇むジャックを前に、病垂・愁一は口を開く。
「ジャックさんはエグイですねェ。アレックスさんのおかげで、銀誓館学園の校内で千人単位の負傷者が発生しました。学校という閉鎖空間で撒き散らされた大量の血痕は、世界結界といえどもそう簡単に隠蔽しきれるものではありまセン。だから、銀誓館学園という空間には大きな『非常識』が残り、その非常識が『怪談』の素地となる……」
 ジャックの沈黙をいいことに、愁一は更に続ける。
「いやはや、もっともあなたに心酔していたアレックスさんを、私の為の捨てゴマにするなんて……本当に、ジャックさんはエグイですねェ」

「あくまで、失敗した場合の保険だった」
「わかってますよジャックさん。でもそのお陰で、僕もどうにか戦えるだけの戦力を揃える事ができそうです。あとはあなたの『力』を借りるだけ。さぁ、よろしくお願いしますよ……」