ジャック・マキシマム
〜新ジャックマキシマムハウス〜

「ドウメキよ。これが『力』だ……」
 圧倒的な『力』を得た百目鬼・面影は、しかし沈思黙考の表情を隠さない。
 その表情のまま、彼はジャックに向き直り言葉を発する。

「確かにこの『力』は素晴らしいものです。しかし、あなたの力は一度に一人しか与えられません。残念ですが、僕一人の力では、父やあなたをも倒した銀誓館学園に勝てるとは思えません……」
「なるほど、確かにそうかも知れん。しかし、誰がひとりと言った」
 ジャックがそう言うと同時に、背後のエレベーターがポーンと音を立てて停止し、その扉が開かれた。エレベーターの中から現れたのは、まるで燃える炎のような、ひとりの女性。

「颯爽さん……」
「遅かったな、ビシコよ」
「……なぁ、ジャック。天竜とかの時にも、アタシは普通に役に立ったんじゃないのか? 『力』はともかく、アタシを使わなかったのは単なる出し惜しみだろ」
「なるほど、颯爽さんに僕の昭和ゴーストを特訓して貰うという事ですか……」
「できるか、ドウメキ?」
「『できるか?』というご質問なら、颯爽さんがいようがいまいが、元より関係ありません……勿論、やってみせますよ。恐らく僕の事など覚えてもいなかった父ですが、僕は父の為に戦います」