ジャック・マキシマム
〜新ジャックマキシマムハウス〜

 照明を落とした新ジャックマキシマムハウスに、11人のジャックと、颯爽・菱子の本体が集まった。
「全ての策は潰えたぞジャック!」
「黙れジャック、貴様ほどの者がいながら何だこの有様は!」
「おのれジャック言わせておけば! そもそも貴様が……」

「うるさーーーーーーーーーーーーい!」
 唐突な菱子のアニメ声に静まりかえる11人のジャック。
「チッ、無駄な特技を使っちまった……。ジャック、いや、ジャック達。ここまでさんざん負け続け、残る配下はアタシ一人だ。勝ち目が無いのは明白なんだから、こんな至近距離に居を構えずに、ここは引いて再起を図れば……」

「いや、それは無理だぞビシコよ。これだけやれば、もうすぐここも奴等の怪しげな予知能力の対象となるだろう」
「ビシコよ、かくなる上は、お前が手に入れた『アレ』の出番だ」
「本来ならばティンカーベルを手に入れるか破壊した上で使いたかったが、やむを得ぬ」
「アレって……。ああ、あの変な蜘蛛の置物? あんなものが何の役に……」

「ビシコよ。あれは『瑠璃硝子の蜘蛛』……メガリスと呼ばれるものだ」
「メガリス……?」
「そうだ。貴様には我が王朝の最期の臣従として、ナイトメアの王にだけ許された『力』を見せてやろう。すなわち、我が『完全幻想』をな!」