「人狼十騎士」大騎士長ビスマルク
〜ポーランド森林地帯・大騎士長の間〜

 「ググ、ウガガガガ……」
 ヨーロッパ人狼騎士団を統括する、大騎士長の執務室。
 部屋の中央では、鳥の頭部を持つ人型の怪物が、苦しみでのたうち回っていた。

 「う〜ん、そろそろビスマルクは限界かな〜?」
 苦しむ怪物を見つめるのは、クマのパーカーを着た脳髄の異形、無血宰相トビアスである。
 「しょせんキミは紛い物だもんね。そ〜れ、『逆賊の十字架』〜」
 鈍く光る十字架を怪物にかざしながら、異形は少女の声色でひとりごちる。
 「でも駄目だよ、もう少しだけ持たせてね。せめてキミ達人狼騎士が用済みになるまで、さ」