悪路王
〜悪路王の特殊空間〜

「篠よ、何用だ……?」
「まだ空に『二つの三日月』は浮かんで無いが、今日は王に聞きたい事があって来た」
 そして時任・篠(朧夜の藍氷華・b58875)は説明を始める。『異形』によってビャウォヴィエジャの森の世界結界が破られ、万色の稲妻と共に「抗体兵器」を持つゴーストが生まれた事。破られた世界結界は聖杯で修復可能な事を補足しながらも、篠は問いかける。
「ひょっとして、あのゴースト達は……?」

「然り。彼奴達こそが、『二つの三日月』に与する者也。長き戦いの始まりを覚悟せよ」
「いや、俺達はいいんだけど、王達はゴーストなんだから、もし稲妻に乗っ取られたら……」

「心配には及びませんよ」
 悪路王の妻、鈴鹿御前が答える。
「あの稲妻に支配されるのは、ゴーストの本能を違えぬ者のみ。人魔共存を唱える我々や、視肉を嗜むマヨイガの住人達ならば、影響は受けません。とはいっても、現代にマヨイガが残っているとも思えませんが……」

 そして、悪路王軍は再び眠りについた。
 篠は、以前よりも明らかに強大な力を取り戻した悪路王軍を目の当たりにし、彼らの「眠り」に少し興味を引かれながらも、特殊空間を後にするのだった。