銀誓館学園の諸君、いつも世話になっているな。
私は巡礼士のランドルフ。このたびヨーロッパの巡礼士を統括する「総帥」に就任したので、友好組織である君達に報告に来た次第だ。
銀誓館学園にいる巡礼士とは違い、私は一般人がメダリオンによって力を得ているだけの疑似能力者だ。だが、かつて世界結界を創設した組織の一員として、己の責を果たすべく邁進したい。
どうかこれからも、変わらぬご協力をいただければと思う。
……とその前に、まずは今まさに協力を受けている事について、感謝を述べるのが先だったな。
遂に手がかりを掴むことができた『もうひとつの聖杯』。
これの欠片集めにご協力を戴き、本当にありがたく思う。
あつかましいようだが、今日はもうひとつお願いがあってやって来た。
銀誓館学園にある『聖杯』を、私達ヨーロッパの巡礼士に貸して欲しいのだ。
銀誓館学園が所有する聖杯は、いわば「有明の月」。
これに、もうひとつの聖杯すなわち「三日月」が合わされば……、
或いは、「世界結界の完全な修復」さえ、可能かもしれないのだ。
我々が聖杯を壊すことは有り得ないし、後できちんと返す。どうか検討して貰えないだろうか。
……ん、何か気になることでも？
ああ、聖杯を月に例えた事に、特に意味は無い。今の銀誓館には月出身の方がおられると聞いたので、分かりやすい例えかと思ってな。
何、月から月の満ち欠けは見えない？
フッ、確かにその通りだな。これは不覚の極み……。
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