〜『円卓』〜
「まったく、生命とは厄介なものだな」
「ムシュ、まったく同感ですな。ここまで立て続けにチャンスを失うとは、さすがに予想外……」
「やはり、何とかしてトビアスが必要だな。『生と死を分かつもの』が顕現したままの現状は危うい」
「我々だけでディアボロスランサーを探すのはほぼ不可能ですからな。
しかし神戸の『影の城』を落とすのもまた、ほぼ不可能で……ムシュ!?」
「どうした、ルルモード?」
「ワタシが何人か倒されました! 誰かがこの『円卓』に向かっているでムシュ。
しかも、配下の抗体ゴーストが、その誰かに次々と取り込まれて……」
「されどやはり、汝を取り込むのは不可能であったようだ、ルルモード卿よ!」
「ムシュ、やはり原初の吸血鬼! しかもその燃え立つ精気と大声は……」
「秘されし大罪のひとり、『情熱』のブリュンヒルデだな?」
「ほう! 私と汝等は初対面の筈だが、良く分かったな。犬共を操り、私達を『獲物』として追い回し続けただけあって、流石に詳しいようだ。感心感心!」
「それで、何の用だ? ここに乗り込んだところで、我々は倒せんぞ」
「ムシュ!? ヒョッとしてワタシが目当てですかな?」
「確かに汝は欲しいな! だが違う。
私達『原初の吸血鬼』に、抗体ゴーストを寄越すのだ!」
「用件が単純すぎますぞ! 銀誓館学園にリベンジでもするつもりですかな?」
「そうだ! アドルフとリチャードは私の傘下に入り、今は先の戦争で離散した原初802名の大半を集めさせている。こいつらに抗体ゴーストを配布し強化するのだ。さぁ、早くしろ!」
「ムシュー、交渉も何もあったもんではありませんな。アドルフに代わって欲しいですぞ」
「だが、要求を飲もう。その代わり、我々の条件をひとつ飲むのだ」
「ワレワレが何を言わんとするか、実は聡明なアナタなら分かりますな?」
「神戸にある『影の城』を攻め落とし、トビアスとやらを開放すれば良いのだな。承知した!」
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