君達の『ビャウォヴィエジャの森』での戦いは、素晴らしいものだった。
ただ途中で、他の吸血鬼組織が、作戦の邪魔をしていたようだね。
そう、僕達吸血鬼も、君達人類と同様に、ひとつの組織に統一されている訳ではないんだ。
僕達は「他種族との共存」を、僕達以外の組織は「来訪者としての誇り」を選び取った。
……僕達と彼等の考え方は大きく違い、そしてそれは、埋める事のできない深い溝だったんだ。
僕達は、それに気付くのが遅すぎた。いつか彼等も、その考えでは人狼騎士との不毛な争いが終わらないことに気付き、共に歩んでくれると思っていた。
それを信じて待っていた為に、結果として僕達の参入が遅くなってしまった事をお詫びする。
これから僕達は、古き盟友と袂を分かち、銀誓館学園の一員として生きてゆきたいと思う。
クルースニクの皆とも仲良くしていきたいので、是非、よろしくお願いするよ。
もちろん、何の手土産も持たずに来たわけではないよ。
友好の証として、僕らが所有する最後のメガリス『お喋りからす』を贈らせて貰う。これがあれば、世界中の言語を話せるようになる。代償は少々愉快だが、そう気にする程の事も無い。
そうそう、僕達が六甲アイランドに建設した「影の城」だが、そのまま生活していると世界結界に悪影響が出るそうなので、名残惜しいが引き払い、閉鎖することにしたよ。
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