<シルバーレイン>

 シルバーレインとは、神秘の力を持つ詠唱銀が地上に降り注いだ光の雨の事です。
 小規模のシルバーレインは1990年代から確認されていましたが、広範囲に大量のシルバーレインが降り注ぐようになったのは2006年の8月からの事です。

 詠唱銀とは、光り輝く神秘の金属でありこの世界の不思議の全てを創り出す力を秘めています。
 この詠唱銀は、世界中のどこにでも存在する普遍的な物質でしたが、13世紀に人々が『神秘の力を放逐する』事を決め、詠唱銀を放逐する世界結界を創生したことで、この世界から消え失せていました。

 この詠唱銀が再び地上に降り注いだことで、日本全土では今、様々な怪異が発生しようとしています。
 詠唱銀によって生み出されるゴースト達は、人の生命を脅かし、この世界の秩序を破壊しようとしているのです。

■2006年以前の物語


 かつて、全ての人類は≪能力者≫であった。
 世界は、驚くべき怪奇と神秘に満ちていた。生と死、大地と宇宙、全ては隣り合わせにあり、人類は生き延びる為に、己の内にある超常の力を以って、絶え間ない殺戮の中に在らねばならなかった。
 人類は、己の持つ炎を放ち大地を穿つ程の力と、それを高める「詠唱兵器」を手に、蘇る死者や異世界よりの来訪者を退け、自らの生存圏を防衛していたのだ。

 しかし、遥かな太古より続いた神秘と殺戮の歴史は、13世紀末から14世紀初頭にかけて形成された≪世界結界≫により、終焉を迎える。
 偉大なる世界結界は全ての神秘と伝説を追放し、かくて人類はかつてない平和をその手にする事となった。700年続く≪忘却期≫の始まりである。
 世界結界は、超常の力を否定する人々の「常識」を、その糧とする。
 故に、結界による平和と引き換えに、かつての力と詠唱兵器、そして真実の歴史は世界より失われ、次第に忘却の淵へと飲み込まれていった……。

 そして、現代。≪忘却期≫は今、終わりを告げようとしていた。
 常識を覆す程に急激な文明の発達により、世界結界に綻びが生じたのだ。同時に、現代に残る僅かな≪能力者≫を標的とした連続殺人事件が頻発するに至り、真実の歴史を知る一握りの人々は、世界が今滅亡の淵にある事を知る。
 残された≪能力者≫達を護り、そして早急に育成し、実戦に立ち向かう戦力としなければ、これら神秘の存在に立ち向かう術は無い。
 その命題に基づき、「銀誓館学園」は設立された。
 学園は設立より日が浅く、第一世代はまだ高校2年生に過ぎない。
 しかし彼らこそが、超自然の存在に立ち向かう事ができる、唯一の存在なのだ!

14世紀初頭〜1990年 ≪忘却期≫
 世界結界により、世界から全ての詠唱銀が放逐される。
 あらゆる神秘は失われ、全ての人類は能力者としての力を失う。
 ゴースト等も全て消滅あるいは封印され、世界から姿を消す。
1990年代  忘却期の終わり。日本にて小規模のシルバーレインが観測される。
 ゴーストの出現。人類にも徐々に能力者に覚醒する者が出現するが、その力は弱かった。『能力者連続殺人事件』の頻発。
1996年  鎌倉に『銀誓館学園』開校。
 ゴーストに立ち向かえる能力者の育成はじまる。
2006年8月  日本にて、広範囲に及ぶ過去最大規模のシルバーレインを観測。
 シルバーレインの影響により、ゴーストが大量発生。