「ねぇ、坊や。あなたを殺してもいいかしら……?」
夜の校舎――明かりの落ちた美術室に、巨大な蛇と
共に現れた女が、艶美に哂う。女の体の上では無数の
蛇が艶かしく蠢き、外からの光に浮かび上がる白い裸身
を覆っている。人のモノではない黄色の双眸の奥では、
熱い情欲の炎が揺れていた。
「ひっ……」
たまたま忘れ物を取りに来た少年は、
恐怖の余り悲鳴を上げる事もできずあとずさった。
「あなたを殺すと、もっとキモチヨクなるかしら……。
あなたは、私をキモチヨクしてくれるのかしら……」
熱に浮かされたように呟きながら、蛇と共に迫る女。
次の瞬間、巨大な蛇の大きな口と女の白い手が少年を捉え、
柔らかい腹を噛み砕き、喉を切り裂いた。
自身の死を理解できない内に死んでゆく少年。
その死を見ながら、女は熱い吐息を漏らす。
「足りないわ……もっと……もっと……」
手についた血を、血よりも赤い舌でねっとりと舐め取り、
女――リリスは快楽に震える。
恍惚に濡れる眼差しは、次なる獲物を探していた。
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