シルバーレインRPG


●シルバーレインRPGルールブック

 著者:安道やすみち&グループSNE  監修:友野詳&上村大
 判型:B5・192ページ+付属カード60枚・全ページフルカラー
 価格:3,000円(本体2.857円+税)
 ISBN:978-4-7577-4307-6

 2008/06/11(水)発売!


 君に、死と隣り合わせの青春を――。
 グループSNEの贈る最新のTRPG、それが『シルバーレインRPG』!
 運命に導かれてゴーストと戦う≪能力者≫達! 唸るアクトワード、仲間との連携攻撃、戦略性・ロールプレイ・高速処理の三位一体を実現した革新的な判定システム、そして回転動力炉が暴走し、詠唱兵器が覚醒する!
 また、PBWのステータス画面をプリントアウトすれば、そのままTRPGがプレイ可能です。

TRPGとは?

●まったく白紙でおいでになった方へ

 テーブルトーク・ロールプレイング・ゲームは、人間の想像力(あるいは創造力)を戦わせるゲームです。
 おっと、戦わせるといっても、勝敗があるわけでもないし、誰かに参りましたといわせるのが目的でもありません。
 お互いが、どれだけ「面白い」物語をつむぎだせるか。それを競わせるのがテーブルトーク・ロールプレイング・ゲームです。
 別の言い方をすれば、みんなで力を合わせて、一つの物語を、ドラマを、疑似体験するのが目的です。
 スポーツの試合が「筋書きのないドラマ」と言われるように、一定のルールにのっとったバトルも行われます。現実には不可能な、生きるか死ぬかのぎりぎりを潜り抜け、知恵をしぼってナゾを解き、あるいは互いにかっこいいシーンを描写しあったり、感動をかきたてあうこともできます。
 ロールプレイングは「役目を果たす」とか「役柄を演技する」といった意味です。それを会話(テーブルトーク)で進行させてゆくゲームなのです。
 ゲームは、ゲームマスター(GM)と呼ばれる進行役が、状況を説明し、他のプレイヤーが、自分の分身として作りあげたキャラクターを動かします。
 日常にはありえない事件に遭遇し、そういったとき、作ったキャラクターはその能力を生かし、性格に応じてどう活動するかを考えて、物語をみんなで考えてゆくのです。
 会話のやりとりを書き写すと、こんな感じになります。

GM:きみたちは、真夜中、廃病院に入りこんだ。足元には、ゴミが散乱してる。気をつけながら進んでゆくと、行く手の、角を曲がって向こうから青白い明かりが洩れている。
プレイヤーA:よし、いた! 突撃だ!
プレイヤーB:こらーっ。いきなり襲いかかる人がありますかっ!
プレイヤーA:こんな廃病院にいるんだ。噂の化け物に決まってるぜ。
プレイヤーC:あはは、夜中にここにいるのが化け物なら、わたしたち、みんなモンスターですよぅ。
プレイヤーA:おお、なるほど。お前が敵かーっ!
プレイヤーB:んわけあるかっ! まずは、こっそり近づいて偵察すればいいんじゃないの?

 といった具合です。まあ、普通はもうちょっと全体に落ち着いた会話になりますが。
 もっと、キャラクターになりきって、演技するタイプの人もたくさんいます。
 しかし、ただ会話だけで、全てを進めてゆくわけではありません。
 たとえば、このやりとりの最後で「こっそり近づく」と言っていますね? じつは角を曲がった向こうには、殺人鬼のモンスターがひそんでいます。
 うまく気づかれずに近づければ不意をつけるかもしれませんが、失敗すればプレイヤーたちが操る主人公たちが、逆に襲われるかもしれません。
 プレイヤーたちは、かっこよく成功したいでしょう。でもGMは、ここで失敗して危機におちいったほうが、お話が盛り上がると考えています。
 ただ会話だけで進めるのだと「できた」「できない」の言い争いになりますね。楽しくありません。
 そこで、主人公たち(プレイヤーがあやつるキャラクターなので、略してPCといいます)が成功したかどうかを、客観的に判断する「ルール」や、判断の基準になる「設定」が決まっています。
 そういったことが書かれているルールブックを参照しながら遊ぶわけです。
 TRPGには色々な種類がありますが、この『シルバーレインRPG』でそういった判定をどうするのかは「シルバーレインの判定システムって?」を読んでみてください。
 また、どういった世界で、どんな主人公たちが、どういう冒険をするのかは「シルバーレインの世界とは?」を読んでみてください。

●PBW版「シルバーレイン」からおいでになったみなさんへ

 みなさんは、PBW版シルバーレインで、教室の『依頼』をこなしてこられたと思います。
 あるいは、ゴーストタウンの探索に赴いてきましたよね?
 TRPGは、それをネットを経由してではなく、何人もの仲間が集まって、一緒に顔をあわせて遊ぶためのものです。
 MSさんのように、オープニングを作り、判定をするGMという役目が必要ですが、お話そのものは、みなさんで作ってゆくことになります。
 新しい楽しみを味わってください!

●グループSNEファンの方へ

 もし、あなたがグループSNEが関わっている、という興味からこのサイトにおいでになったのなら……。
 TRPGという言葉が初耳、ということは少ないですよね?
 グループSNEに所属する(あるいは元所属していた)作家の、小説やTCGなどを読んで興味を持ってくださったなら、その作家や作品につながるTRPGもあると思います。よろしければ、それを手に取ってみてくださいね。

シルバーレインの世界

●かつて世界は……

 かつて世界は、驚くべき怪奇と神秘に満ちていました。
 大気中に存在した超物質《詠唱銀》によってあらゆる魔術や奇跡は具現化され、人類も皆例外なく、そうした超常の異能を己がものとしていました。人類は、自らの力を高める《詠唱兵器》を手に、蘇る死者や異世界よりの来訪者を退け、自らの生存圏を防衛し続けなければならなかったのです。
 この熾烈な殺戮の歴史は、生命の黎明より、実に14世紀初頭に超常の力が放逐されるまで続いていました。
(現代に伝わる14世紀初頭以前の歴史は、全て、超常の力にまつわる記録が改変されたものです)
 なぜ、地球から超常の力が失われたのか。
 それは、あまりもの長い戦いに疲れ果てた人類のあみだした、強大な《世界結界》の力によるものでした。
「この世には、超常の力などないのだ……」
 という「常識」を作りあげ、それを全ての人間が信じることを存在の根源とした結界によって、超常の力の源となる詠唱銀を、世界の外側へと追放したのです。そして、七百年に及ぶ「忘却期」の平穏が訪れました。

●シルバーレイン

 しかし、「常識」を覆す程に急激な文明の発達によって、世界結界に綻びが生じてしまいます。これにより、この世から追放されたはずの詠唱銀が、常人には見ることすらかなわぬ、いえ、能力者たちの多くでさえも気づかぬうちに、銀色に輝く雨となって、この世にふりそそいだのです。この雨こそが、タイトルにもなっている《シルバーレイン》です。
 詠唱銀の雨は、いまもふりそそいでいます。特に、日本列島は最も多くのシルバーレイン降雨量を記録しています。ただし、シルバーレインがふったとしても、それに気がつけるのは、ごく一部の人々だけです。

●『能力者連続殺人事件』と銀誓館学園の設立

 詠唱銀の帰還によって、七百年前にいなくなったはずの超常存在が、ふたたび活動をはじめました。
 一方は人間を害する存在。人間の憎悪や恨みといった残留思念から生まれる怪物、《ゴースト》です。
 そしてもう一方は、人間を守るものたち。魔法や超能力などに目覚めた人間、《能力者》です。
 また、人間でもゴーストでもない超常の存在も、詠唱銀とともにこの世界に介入をはじめました。異世界からやってきて、一度は世界結界によって追放された、吸血鬼や人狼といった《来訪者》たちです。

 かくして、力に目覚めぬ一般人たちが認識さえできぬところで、ふたたび戦いがはじまりました。
 しかし、いにしえの時代に比べて、現代の戦いでは、能力者たちが圧倒的に不利でした。目覚めたばかりの能力者たちは、互いの存在や己の力の意味を知ることもなく、孤立していたからです。
 しかも、世界結界の重要な担い手である、強い「常識」の力を持った年長者たちが能力者に覚醒した場合、彼らは「見えざる狂気」という状態に陥って、はなはだしい場合は、人間を害する側にまわることさえありました。

 目覚めた力を受け入れて使いこなせたのは、「常識」にとらわれない柔軟な心を持った、少年少女だけだったのです。
 しかし、そんな少年少女たちは、独りきりのところをゴーストに襲われ殺されていきました。世界は今、人知れず滅亡の淵にあったのです。
 早急に彼らを集め保護すると同時に、超常の脅威に立ち向かう戦力としなくてはならない。その目的の為に設立されたのが、鎌倉にある小中高一貫の学校《銀誓館学園》です。時若き銀誓館学園の学生たちだけが、世界の脅威から人々を守る、唯一の存在なのです!

●ゲームの概要

 人知れず超常の力が戻ってきた「現代」こそが、このシルーバレインの背景です。そして、物語の主人公(すなわち、あなたが演じるキャラクター)となるのは、銀誓館学園に通う、能力者の少年少女です。魔法使いや超能力者、超人的な運動能力を持つ戦士、忍者やスーパーミュージシャン、超マンガ家など、様々な種類の能力者が、銀誓館学園には存在しています。
 この銀誓館学園は、一般人の少年少女も数多く通っています。また能力者たちも、ふだんは常人をはるかに越えるその能力を《イグニッションカード》に封じて、ごくふつうの学園生活を送っています。教師たちも、ほとんどは「世界の真実」を知りません。
 能力者たちは、普段は学園で青春を謳歌していますが、いざゴーストの暗躍が感知されたならば、世界を守る為に、これと戦います。ときには、ゴーストよりも遥かに危険な、来訪者たちの陰謀にも立ち向かわねばなりません。戦いの前には『イグニッション!』の掛け声と共に、カードの中に封じていた能力者としての力を解放し、同時に自らの詠唱兵器を一瞬にして装備します。
 この、能力者たちの戦いのドラマこそが、このゲームで、みなさんが作りだす「物語」となります。

●詳しくは……

 より詳しい内容は、原作であるPBW版『シルバーレイン』のサイトをご覧ください。
 プレイヤーの行動によって現在進行形で変化する壮大な物語に、あなたも今すぐ参加することができます。

 
  →原作:PBW版『シルバーレイン』

 また、エンターブレインより刊行の「シルバーレインガイドブック」と「シルバーレインRPGルールブック」でも、より詳しい情報を得ることができます。

  →ラインナップ

ゲームシステム
 シルバーレインTRPGは、一風変わった判定システムを使っています。
 多くのTRPGは、ダイス(サイコロ)を使います。いくつかふったのを合計して大きな目を出したほうがいいとか、小さい目を出すと成功、といった具合です。
 TRPGの中には、トランプを使ったり、オリジナルのカードとサイコロを併用するものもありました。
 このシルバーレインRPGでは、このゲームのためにデザインされた、オリジナルのカードだけを使います。このカードは、ロールカードと言われます。
 あなたのキャラクターが、普通じゃできないよね、ということにチャレンジする時に、このシステムを使って、行為判定を行うのです。

●判定方法

 プレイヤーは、手札として決まった枚数のロールカードを持っています。
 ロールカードは、このゲームで主人公となる〈能力者〉たちが持つ三つの〔能力値〕に対応しています。

 《気魄》(きはく)
体力や根性、気合など
《術式》(じゅつしき)
頭の回転の早さや機敏さなど
《神秘》(しんぴ)
カンのよさや運の強さなど

 何かものごとを試みるときは、プレイヤーが、自分のキャラクターのどの能力値を使って判定するかをGMに申告します。
 GMはそれに対して「目標値」を決めます。決まった目標値によっては、使う能力値で判定するか変更してかまいません。
 目標値が決まったら、誰が判定するのかを宣言します。その場面の主役です。そのキャラクターと、キャラを操っているプレイヤーを、メイン判定者と呼びます。
 メイン判定者は、手もとのロールカードから、判定に使う能力値と一致したカードを2枚まで出せます。
 能力値には、それぞれ対応した〔判定値〕があります(能力値の10の位です。ゲーム中には、ほぼこの判定値しか使いません)。
 ロールカードの左上には、カードパワーという1〜3の数字が記されています。使ったカードに記されたカードパワーと、判定値を合計します。これを達成値といい、目標値以上なら、その行為は成功したことになります。

例)
 廃墟を探索中のPCたちは、角を曲がった先から、怪しい光が洩れているのを見つけます。こっそり廊下の角まで行って、その先をのぞきこみたい……と考えたプレイヤーは《術式》での判定を提案します。
 廃墟の足元には、壊れやすいものも散乱しています。しかもまわりは暗く、かなり難しい行為です。こっそり動くには機転と動きの正確さが重要なので《術式》での判定はふさわしいものです。
 GMは、目標値を7と決めます。
 最も《術式》が高い、敏捷なキャラクターがメイン判定者になりました。彼女の《術式》判定値は4です。カードパワー1と2のロールカードを手札から捨てて、4+1+2で合計7になります。目標値以上なので、静かに近づいて、角の先をのぞきこむことができました。

●アシスト

 自分だけじゃ、カードが足りない。
 そんな時は、仲間の力を借りましょう。仲間も「手伝った」「助言した」ことにして、ロールカードのカードパワーを加算できます。これを〔アシスト〕というのです。
 メイン判定者は2枚まで出せますが、アシストは一枚だけです。
 仲間全体で2人までアシストに参加できます。それ以上のプレイヤーがアシストしたがった時は、メイン判定者から時計回りに優先権があります。

●チェック

 判定とは別に、受動的な行為が成功したかどうか決めるのに使います。指定された種類のカードを出せれば成功です。代表的なものに「幸運度チェック」があります。

●アクトワード

 ロールカードには三種類の単語と、台詞が一つ書かれています。これを〔アクトワード〕と呼びます。
 判定やアシスト、チェックを行った時に、キャラクターがどんな風に行動したかを、このアクトワードを利用して描写すると、〔運命の糸〕というポイントを得ることができます。
 うまい演出を思いつけなかった時は、ただ台詞を読みあげるだけでかまいません。

●運命の糸

 このポイントを、判定前に消費して、ロールカードを引いてくることができます。1点消費するごとに一枚追加できます。最大で、3点まで使えます。
 判定に必要なロールカードがないときは惜しまず使いましょう。

●エフェクト

 ロールカードの下部には「エフェクト」と呼ばれる特殊な効果が記されています。これは判定の制限枚数とは別に使い、さまざまな効果を得ることができます。

●リードカード

 プレイヤーにロールカードがあるように、GMはリードカードを使って、さまざまなことを決められます。

 以上が、おおまかな判定システムです。この、シルバーレインTRPG独特のカードを使ったシステムには、まだ名前がついていません。もし、いい名前を思いついたら、推薦してくださいね。