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マスカレイドの例

 「仮面の魔物マスカレイド? そんなものが実在するなら良い研究材料になるだろうがな」
〜怪物学の権威「死氷卿・スケルツァ」〜

 ここでは、エンドブレイカーの前に現れるマスカレイドの元となる存在と、その例を紹介します。


■人間のマスカレイド

 人間がマスカレイドと化した存在です。
 特にマスカレイド化しやすいのは、強い悪意を持つ悪徳領主や犯罪者達ですが、失恋した少女や友達と喧嘩した子供、高潔であるが故に多くの恨みを買っている騎士なども、マスカレイド化する場合があります。『棘(ソーン)』は、人間が日常抱くちょっとした悪意さえも貪るだけでは飽き足らず、他人からの謂れ無き中傷を利用して、善良な心をも篭絡しようとするのです。

■人間のマスカレイドの例

■四腕の殺人鬼・ボナード

 盗賊ボナードがマスカレイドと化したのは、商人を狙った強盗殺人の罪で賞金をかけられた後のことであった。

 マスカレイドとなった彼は、異形化によって四本に増えた腕に凶器を握り締めると、自分を狙って来た賞金稼ぎ達や城塞騎士を、次々と返り討ちにした。
 そして彼はスラムに潜伏すると、スラムの悪党達を、次々と配下のマスカレイドへと変え、さらなる殺戮を繰り広げていったのだ。
 立ち向かおうとした者達は皆殺しにされ、ボナードはスラムの悪夢として君臨した。
 そうして殺戮欲を満たすことで、ボナードの力はさらに増して行ったのである。

■ダーティロード・カーツマン

 古今、自分の立場を利用して私腹を肥やす者は後を絶たない。
 とある街を治めていた領主、カーツマンもまた、そうした者の一人だった。
 悪徳領主として人々から憎悪を受けていた彼がマスカレイドと化すことは、不思議ではなかったのかも知れない。

 マスカレイドと化したカーツマンは突如として重税を課し、住民達は日々の生活にも困窮するようになった。街が次第に寂れる中、住民達の一部は税を緩和してくれるようカーツマンの館に直訴に赴いたが、彼らが帰って来る事は二度となかったのだ。
 彼の肉体に生じた異形化は、「肉体の金属化」である。
 戦闘開始と同時に武装した騎士の如き姿に変化したカーツマンは、本来を遥かに超えた力で相対する者を斬り裂くのだ。

■親と喧嘩した少女・サロア

 サロアは、将来を巡る父との口論を思い出していた。父は家を継げという。自分にも画家になる夢があるというのに……。
「父さんなんて、いなければいいのに」
 呟いた直後、サロアの顔から感情がすとん、と抜け落ちる。
「……そうだわ、殺しちゃえばいいのよ」
 その顔は、マスカレイドの仮面に覆われようとしていた。

 彼女は、悪意が小さいにも関わらずマスカレイド化しつつある例だ。もし、完全なマスカレイド化の前に彼女を説得し、良心を呼び覚ます者がいれば、倒されても生き残ることができるだろう。
 異形化によって背から奇妙な翼を生やし、影の剣を呼び出す力を得ているが、こうした特徴は別の事件でも確認されている。
 異形化にも、何らかの法則があるのかも知れない。


■動物、植物のマスカレイド

 この世界に普通に存在する動物や植物がマスカレイド化した存在です。
 獣の本能はマスカレイド化によって強烈に増幅、悪質化しており、他の生物全てにとっての敵へと変貌しています。
 野生動物はもちろん、都市国家内では牛や馬といった家畜や、犬や鳥のようなペットのマスカレイドも多く出現します。

■動物・植物のマスカレイドの例

■ネズミのマスカレイド

 このマスカレイドは、ある都市国家のドブ川にすんでいた普通のネズミがマスカレイドと化した存在である。
 その肉体はマスカレイド化によって大型犬ほどにまで巨大化しているが、敏捷さは元のネズミと比べてもさらに増している。
 加えて、炎を操る魔力までも体得しているのだ。
 マスカレイド化による異形化が、肉体面に留まらない例と言えるだろう。

 マスカレイドラットの食欲は目の前に現れたあらゆるものを食い荒らさずにはいられない程に悪質化を遂げており、複数のマスカレイドラットに一斉に襲いかかられれば、人間といえども、骨さえ残らず食い尽くされてしまう。
 特に、まだ柔らかい子供の肉は、彼らの好物の一つだという。

■ローパーマスカレイド

 森の中を抜ける道を急いでいた少女は、ふと見えた不思議な光に足を止めた。
「何かしら、あれ……?」
 光を見つめるうち、少女の視線は虚ろなものとなっていく。そしてその足は、自然と光の方へ歩き出していた。
 いつの間にか忍び寄った触手が首に巻き付いたのに気付いた瞬間、彼女の人生は終わっていた。

 このマスカレイドは、食肉植物の怪物ローパーがマスカレイド化した存在である。
 異形化で得た「誘惑する光」の力によって人や獣を自分の元まで誘い込み、強靭な触手で全身の骨をへし折って殺害した後、植物の「養分を求める」本能に従って、その屍を喰らい尽くすのだ。

■バルバ、ピュアリィのマスカレイド

 半人半獣の怪物であるバルバ、人間の女性のような外見的特徴を持つピュアリィといった怪物も、マスカレイド化において、例外ではありません。
 マスカレイド化したバルバやピュアリィは、生来の能力に加えて、マスカレイド化による異形の力をも使いこなし、強力な敵として、エンドブレイカーの前に立ちはだかるでしょう。

■バルバ・ピュアリィのマスカレイドの例

■クワガタ人マスカレイド

「なんだ、クワガタ人か」
 熟練の冒険者であるコンラッドは、斧を取り出しながら呟いた。
 彼にとって、クワガタ人など恐れる相手では無かった。
 自慢の斧なら、あの程度の相手は一撃で葬れる……そう思ったのが、彼の命取りとなった。
 異形化により、金属へと変化した甲殻でコンラッドの斧を耐え切ったクワガタ人マスカレイドは、鋭い刃と化した頭部のクワで、一撃の元にコンラッドを葬り去ったのである。

 「直立した人間大のクワガタ」の様な姿のバルバの一種、
『クワガタ人』から変化したマスカレイド。
 その甲殻は金属に変質しており、刃と化した頭部のクワで獲物の頭部を刈り取ることを得意とする。

■ラミアマスカレイド

 このマスカレイドは「蛇の下半身を持つ女性」の姿のピュアリィ、ラミアから変化した存在だ。

 ラミアが本来持つ美貌と魅了の魔力をそのままに、異形化によって鋭い刃と化した右腕を持つ。
 彼女は魅了の力に誘われて来た者達を、右腕で刺し貫く。
 すると刃から分泌される毒は、貫かれた者達に想像を絶する苦痛を与えるのだ。
 その苦悶する様を眺めることによって、彼女は悪意を満たされ、体内の『棘(ソーン)』を増加させるのである。
 無論、楽しんだ後の犠牲者を、彼女が放っておくことは無い。
 殺されるか、配下のマスカレイドにされるか。
 いずれにしても犠牲者に未来は無い。


■ゴーレム、アンデッドのマスカレイド

 いにしえの星霊術によって、かりそめの命を与えられたゴーレム。
 動く死体であるアンデッド。
 そして、本来であれば動くはずも無い品々。
 これら、生命を持たない存在にも『棘(ソーン)』は取り付き、マスカレイドに変えてしまいます。
 あなたが『振るう者に不幸な死をもたらす魔剣』や『呪いの首飾り』の噂を聞いたなら、その噂は、
マスカレイドの手がかりにつながるかも知れません。

■ゴーレム、アンデッドのマスカレイドの例

■スライムマスカレイド「グリーンルーム」

 いにしえの星霊術によって、かりそめの命を与えられたゴーレムの中でも、不定形型ゴーレムであるスライムは、その液状の体を活かしてどこにでも潜む厄介な存在だ。
 だが、それがマスカレイドとなったなら、話は厄介どころでは済まなくなる。

 「グリーンルーム」は、与えられた『溶かす』という本能を肥大化させ、異常なまでの溶解力でダンジョンにいた他の全ての生命はもちろんのこと、住んでいたダンジョンの壁や床すらも消化して、巨大化していく。
 時間さえあれば、ダンジョン全てを取り込み消化するようなこともありうるのかも知れない。

■大鎌ゾンビマスカレイド

 アンデッドの一種である、腐敗した肉体を持つ動く死体、ゾンビのマスカレイド。
 その携えた大鎌は、マスカレイド化によって得た「体内の血液を大鎌に変える」能力によって作り出したものだ。

 生者を襲い、その命を奪い去ろうとするゾンビの本能に従って、大鎌を振るって人々を殺戮するこのマスカレイドは、既に死んでいるが故に疲労も知らず、飽くなき執念で本能を満たし続けるのである。

 

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