<此華咲夜若津姫救出行 第2ターン結果>
第2ターンの開始状況
●メイガスレッド:Battle21物言わぬメイガスの軍勢が、山津波のようにエンドブレイカー達へと押し寄せて来ていた。
『此華咲夜若津姫』へと通じる山裾を、メイガスの駆動する音が満たしていく。
それらのメイガスが全てマスカレイドであることは、装甲の表面に現れた白い仮面の存在からも明白だった。
「メイガスは三塔戒律マギラント限定ではなかったのか?」
宵闇に潜む暗殺者・サーニャ(c02729)はそう疑問しながら星霊アクアを召喚すると、その聖なる水の奔流を解き放っていく。
東方賢者マギラントが造ったメイガスの設計図が、何らかの形でジュウゾウにも渡っていたのだろう。三塔のいずれとも関係が無いことを明らかにするかのように、攻め寄せるメイガスの大群は、三塔のいずれとも異なる真っ赤な装甲に包まれていた。
そして何より、その装甲それ自体が『喋る武器』と同様に判断能力と高い戦闘能力を与えられている。それでも、大半のメイガスは地獄兵と同等の強さに留まっている。
あるいは、それが鋼語りのジュウゾウをもってしても、技術力の限界であったのかも知れない。
「おそらくは、この者達にも、司令塔がいる、か」
メイガスの軍勢は一糸乱れぬ動きを取っている。
サーニャをはじめ、多くのエンドブレイカー達はそう判断すると、統率を乱すべく司令塔役を探していく。
前列で格闘戦を繰り広げているメイガスの1体がそうであることに気付くまで、長い時間はかからなかった。
司令塔役のメイガスが腕を左右に振ってポーズを決めるたび、メイガスの軍勢がそれに応じた動きを取っていたのだ。
「奴を倒せば、私達の勝利だな。……しかし、あの動きには何の意味があるのだ?」
疑問しながら、サーニャは星霊アクアへと津波を起こすように指示を下す。
星霊アクアが水を沸き起こすと、最初の一滴を呼び水として、水は一気に膨れ上がると波となった。
山裾を滑り降ちる水の量は次第に増え、メイガスの群れを呑みこんでいく。
華麗に流木に飛び乗ろうとした司令塔のメイガスを、サーニャは指差すとアクアに命じる。
「奴を逃がすな!」
アクアが瞬時に呼び出した渦巻に呑まれ、水中で腕をばたつかせるメイガス。
そこにアクアが口づけと共に、大量の水を注ぎこんだ。
体内を破壊され、メイガスの動きが停止すると共に、白い仮面が消失する。
司令塔の破壊は、そのままメイガスの群れの崩壊を意味していた。
「だが、他の戦場は苦戦しているか……む?」
サーニャが彼方に見える『此華咲夜若津姫』へと目を向ける。
『此華咲夜若津姫』は、次第にこちらへと近付いて来ていた。
そして、その歩みと共に、厳かに声が響く……。
●『人類の魔女』の復活
「私は、己を取り戻しました」
『此華咲夜若津姫』は、厳かに宣言した。
「私のぼうや達を傷つけんとする者よ、退きなさい!!」
奈落全土を、強烈な風が吹き荒れる。
風はマスカレイド達を打ちのめし、逆にエンドブレイカー達には癒しをもたらす。
それは、人類の魔女『此華咲夜若津姫』の復活の凱歌であった。
『此華咲夜若津姫』の力によって打ちのめされたマスカレイド達は、たちまちエンドブレイカー達によって一蹴された。
戦況が一変したことに戸惑うエンドブレイカー達に、『此華咲夜若津姫』は地響きを立てながらゆっくりと歩み寄ると、そっと手を差し伸べる。
「ぼうや達は……この者達の仲間ですね」
『此華咲夜若津姫』が降ろした手の中には、姫を棘(ソーン)から解放するため、数か月前に先んじて奈落に乗り込んだ8人のエンドブレイカー達の姿があった。
いずれも一命は取り留めているが、おそらくはマスカレイドとの戦いを経たのだろう。傷つき、精魂尽き果てた様子だった。
「あ、皆さん……なんとか、役目は果たせました」
疲れた様子で、マスカレイドキャンセラーのこもれびはんたー・リシリア(c12930)が、疲れ果てた様子でこちらに顔を向ける。
「この者達が、私を棘(ソーン)から解放してくれたのです」
『此華咲夜若津姫』は、リシリア達と再会を喜び合うエンドブレイカー達を、慈母の表情で見つめた。
先程マスカレイド達を蹴散らした様子からも、想像を絶する力を持つことは明らかだが、先程までのような荒々しい様子は感じられず、むしろ限りない愛情が、その視線には満ちている。
「さて、『大地の扉』を開いたからには、私に何か求めることがあるということですね」
「は、はい! マスターデモンを封じるため、『バルムントの鍵』の真の力を引き出して欲しいんです!」
イヴ・ザ・プリマビスタから聞いた話を、三歩下往く・オデット(c33077)は『此華咲夜若津姫』に伝えると、バルムントの鍵を見せた。
「分かりました。では、少しの間、鍵を預かりましょう」
オデットが『此華咲夜若津姫』の手に鍵を渡す。
『此華咲夜若津姫』が力を籠めると、鍵は彼女に相応しいサイズへと巨大化した。
「終わったら、あなたにお返ししますね」
そのまま鍵を握り、力を注ぎ込み始めながら、『此華咲夜若津姫』は世界の現状をエンドブレイカー達に確認した。
数年に渡る戦いの内容を聞き、『此華咲夜若津姫』は幾度も感嘆するような表情を見せる。
やがて話を聞き終えると、『此華咲夜若津姫』は言った。
「『大空を覆うもの』がまだ敵であるのなら、私が外に出ると厄介なことになってしまうでしょう。私を見つけることなど、『大空を覆うもの』にとっては容易なこと……私と大空を覆うものが戦えば、霊峰アマツが跡形もなくなるような大戦になりかねません」
デモンの一件に加えて、大空を覆うものと同時に戦うのは流石に無理があるだろうと、エンドブレイカー達も同意を示す。
「でも、魔女なら『エンドテイカー』の力があるんじゃないか? それなら……」
『大空を覆うもの』を異空間に取り込み、被害をなくすこともできるのではないか。
そう指摘するエンドブレイカー達だが、『此華咲夜若津姫』は、困ったように言った後、酷い傷跡の残る自らの腹部を見せる。
「これは、私がみずから己の胎を切除した跡です。
子宮を持たぬ魔女は、『エンドテイカー』の力を失います」
それが、『此華咲夜若津姫』が魔女の中でも変わり物と言われる所以だったらしい。
「エンドテイカーの庇護下にある生物は、少々の危機なら幾度でも『やり直す』事ができます。
子供達を自由にさせる代わり、母である魔女は何度でも、その過ちを正すことができます。
それが魔女の使命であると、イヴも他の魔女も言いました。
ですが、私はそれを望みませんでした。
うまく説明できないのですが、例え実の母であろうとも、『誰かに運命を握られる事』に危惧を感じたからです。戦い勝ち取ることを忘れた生物は、いずれ誰かの醜い奴隷となってしまう……そう考えたのです。
エンドテイカーの庇護を失った人類は、自分達だけで死に者狂いに生きようとした結果、高度な『文明』や、星霊術をはじめとした様々な『戦闘力』を得てくれました。感謝してもしきれません」
確かに、基本的な生存に安心や保証があれば、そもそも都市国家を築くような事も無かったであろうと思われる。
エンドブレイカーの力もその延長線上のようにも思えるが、どうなのだろうか。
エンドブレイカー達にそう話した後、此華咲夜若津姫は何やらひとり思案顔になる。
「……『大空を覆うもの』相手であれば、せめて飛び道具は欲しいところですね」
「『戦神斧』ならありますが」
「アクスブーメランやエッジアバランチには、確かに可能性がありますね。しかし敵は創世の大気ですので、気体に対する対策と同時に、圧倒的な威力も欲しいのです……」
突然、エンドブレイカー達と同レベルの戦術考察をはじめる此華咲夜若津姫。
エンドテイカーの力を否定したことといい、『此華咲夜若津姫』は相当な戦闘寄りの思考のようであった。
「何か力になってあげたいのですが……あら?」
『此華咲夜若津姫』は、しげしげとエンドブレイカー達を見つめた。
「あなた方の中に、かたちにならない力が眠っているのが見えますね。これは……エリクシルによるものでしょうか」
「ああ、もしかして、あの時の……?」
路地裏の運び屋・ヨイチ(c31823)が、盟約の地の冒険で願ったという『新たな力』。
全世界のエンドブレイカーが内なる力の上昇を感じたが、何も起きずにいたものだ。
「このまま放っておくと、あなた方の力量を僅かに増すだけで終わってしまいそうですね……」
しばし考えて、『此華咲夜若津姫』は告げる。
「私が助力すれば、その力に方向性を与え、あなた方の職に応じた『新たな力』を創造することができるでしょう。
どのようなアビリティが良いか、私に聞かせて下さい。
ぼうや達の手で、新たなるアビリティを創造するのです!」
あなたの戦闘結果(FLASH版/HTML版)
戦場(リンク) | 参加者 | 結果 | 棘(ソーン) |
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メイガスレッド | 945 | 19勝2敗 勝利! | 700⇒0 |
闘刃の戦総鬼 | 767 | 7勝17敗 敗北 | 758⇒266 |
長老フィリップ | 836 | 6勝19敗 敗北 | 770⇒263 |
ブレイクゲージ残量(第2ターン終了時点) |
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48747−266−263=48218 |