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【幽霊船深海へ!】(全3ターン)

■これまでのお話


 【深海の幽霊船】
 これは、上記のシリーズシナリオのラストで発見された「深海の大渦」に飛び込んだ3人専用のフォーム及びリプレイです(受付は終了しました)

●参加者

禍津蛇・ヴィルヘルム(c00968)
竪琴の魔曲使い・ファム(c02842)
魔鍵の星霊術士・エマ(c21742)

●相談掲示板

 【幽霊船深海へ!】相談所

■第1ターンオープニング

 凄まじい轟音と衝撃が、大渦に飲み込まれた幽霊船を襲う!
 濁流に船体を破壊されながら、幽霊船は大渦の中を垂直に落下してゆく。

 そして、突然の激しい衝撃……!

 ……かろうじて意識を保っていた君達は、大渦を落ち続けた先に巨大な大空洞が存在し、幽霊船が今まさに空洞の水面に落下したのだと把握した。
 しばらくして回復した君達は、大空洞の光景を見渡す。
 空気とドロースピカを湛えたこの空洞に地面はなく、どこまでも続く水面に、流れ着いたゴミや廃墟の集まった「小島のようなもの」が幾つも点在している。
 ここが大渦を抜けた先だというのならば、ここはもしや……。

■第1の選択肢

 さぁ、君達はどうする?
 『7月20日(水)朝8:30』までに、ひとつ選択してください。
 3人バラバラに選択しても、【幽霊船深海へ!】相談所で相談してから決定しても、どちらでも構いませんが、最終的には全員でひとつの行動を取ることになります。

(1)ここが何処かも判らない。しばらくは、ここで様子を見てみよう
(2)周囲の情報を得る事が第一だ。まずは情報収集から始めよう
(3)幽霊船の捜索に誰かが集まってくるかもしれない。安全の為、まずは身を隠そう

●プレイング(全角600文字まで)

 その選択肢を選んだ理由と、詳細なプレイングを書いてください。
 3人の選択がバラバラな場合は、この欄を確認し、最も説得力があった行動を取る事になります。
 (3人がそれぞれ別行動することはありません)

■第1ターンプレイング


禍津蛇・ヴィルヘルム(c00968)
(2)周囲の情報を得る事が第一だ。まずは情報収集から始めよう
敵の領域故に下手に動かず、救援が来るまで身を隠すのが定石か。
しかしそれでは渦に飛び込み、この場に来た意味が無く。
加えて、絶対にこの場が安全だとも、救援が来るという保障も一切無く。
船が落ちた衝撃音でバルバが集まってくる可能性もある為、早々にここから離れねば。
◆行動
目標は3人揃っての生還。
可能であれば獣の王の居場所が分かれば良いのですが…。
目立つ行動は取らず、可能な限り音や気配を殺すよう留意。
まずは状況を把握。
周囲を見渡し、身を隠せそうな島の数や、何かしら建造物や一際大きな島が無いかを確認。
甲板から垂らしたロープを伝い、取り巻く水の深さをチェック。
徒歩が無理で泳ぎが必須ならば、漂着したものの中から浮き代わりになるものを探して使用しましょうか…。
どちらにせよ、船からは一端離れ、近くにある小島に退避。
臆病で、無力で、疑り深いが故に、危険に対するアンテナを常に張り巡らせ。
緊迫した場面では、刹那の逡巡も挟まず、本能にて危険を回避出来るように努める。
バルバを発見した場合、可能ならば気付かれぬようにチェイス使用。
去っていった方角に建造物や一際大きな島があれば、一直線にではなく、やや迂回してそちらへと向う。
◆戦闘
避けられる戦いは極力避け、やむを得ない場合のみ応戦し、速攻を心掛ける。
戦闘では前衛を担当。
基本は居合いで攻撃。
BS状態ならば月光斬で回復を試みる。
体力が7割を切っていれば薔薇の剣戟で攻撃。

竪琴の魔曲使い・ファム(c02842)
(2)周囲の情報を得る事が第一だ。まずは情報収集から始めよう
もし敵と遭遇し、逃げる・戦うとなった時に周囲の情報がないとピンチだと思うので、まずは周辺の情報収集や食べられる食料や水がないかを探したいと思います
手始めに、渦に呑みこまれる前のようにオルガンや歌を歌い、船がどのように動かくかを確認します
できれば、ある程度船を望み通りに動かせないか、何か法則を探ってみたいと思います
その後「小島のようなもの」に近づいて食料などがないかを調べます
そのとき、争いを好まない人(?)たちに遭遇した場合、「ハニー」で警戒を解きつつ情報収集をしたいと思います
聞く内容は、ここが何処で、領主のような存在はいるか
その人は、どういう人柄や風貌、統治をおこなっているか
この世界で、いま話題や問題になっていることは何か
を、聞いています。
此方から伝えることは
自分の名
ココとは別の所から、渦に呑みこまれて辿り着き、帰る手段を探している
身を守るため以外、争う気はない
ということを伝えます
我々の服装が目立ってしまうようでしたら、衣服を調達するか、「ドレスアップ」でできるだけ目立たな様な服装を創ってから調査をおこないたいと思います
戦闘を避けられない場合は誘惑魔曲で敵を4マヒにし、敵全員が4マヒになったらマザーズウィスパーで敵を3マヒにしつつ攻撃をおこないます
ダメージがGUTSの半分以上となったら回復アビリティを使用します
ハイパーが使用できる状態なら、積極的にハイパーも使用していきます

魔鍵の星霊術士・エマ(c21742)
(3)幽霊船の捜索に誰かが集まってくるかもしれない。安全の為、まずは身を隠そう
「ここを調査したい気持ちは解るがまずは安全第一さね」
そう言って身を隠す事を提案
まずは状況確認から、泳いで移動しなければならないか地面があり歩いて移動できるかチェック
地面があり歩いて移動出きるなら近場の隠れられる物陰を探す
泳いで行かなければならないのなら、何か浮きになるものを体に身に付ける
どちらの場合もサーチウィズフレンズで星霊達に探すのを手伝って貰う
「10分位して何事も起こらなければその後から調査したり幽霊船に戻るなりしても遅くないと思うが、どうだい?」と「でも」な意見があればそう説得
音やこちらに来る気配があるかどうか注意深く観察
誰か来た場合じっと動かない
音がどこかですれば警戒し音がしてから10分は動かないようにする
気配を感じられない、何も音が聞こえなかったら調査または幽霊船を拠点にする等の提案にのる、又はふる
なんにせよ第一優先は
・全員生還して地上に戻り報告
・確実に安全である事を優先
出来る選択を選ぶ事
無駄な戦闘になることは避け身を潜めたり逃走する選択をする
食料や飲料水は幽霊船探索の際少しばかり持ってきていたのですぐ探す心配はないように予めしてある
念の為幽霊船から離れて移動する時に食料となるもの、飲料水になれる水場があるか目星も付けておく
安全が確認出来て
出来るならドローリップで状況を手短に近くの木板に絵を描きながら1分喋りそれがアクエリオの海岸に流れ着いて誰かに届く事を祈りながら流す

■第1ターンリプレイ

●幽霊船の残骸にて
 地面の無い大空洞に落下した3人は、10分程様子を見たあと、すぐに情報収集に取りかかった。
 見渡す範囲に陸地は無い。乗ってきた幽霊船は落下の衝撃で破壊され、もはや残骸に等しい状態の為、移動手段と拠点の確保という意味でも情報収集が急務であったろう。
「幽霊船が無事なら、歌での操船を試してみたかったのにね」
 竪琴の魔曲使い・ファム(c02842)は、比較的大きい幽霊船の破片に体を預けながら、遠くに見える小島らしき場所を観察していた。
「どうやら、大渦に向かって流れてくるゴミが水流の関係か何かで、一箇所に集まって島のようになったようね。果たして、生物は住んでいるのかしら?」
 ファムはそう言いながら、熱心に、島のようなものを観察し続けた。

 一方、魔鍵の星霊術士・エマ(c21742)は、星霊達と一緒に、食料と飲料水の探索を行っていた。ルナから貰った非常食などもあり今日明日に飢えて死ぬような事は無かったが、どんなに節約しても1週間も持たずに無くなってしまうだろう。つまり、新たな食料の確保は、この世界で生き抜く為に不可欠であるのだ。
 が、その成果は芳しくなかった。
 幽霊船に食料の蓄えは無かったようで、手に入ったのは船長室の残骸から見つかった幾許かの嗜好品と、漕ぎ手のシーバルバの食料だったであろう腐りかけの魚肉団子くらいだった。
「どうやら、どこかで食料を見つける必要がありそうさね」
 エマが、そう結論づけた所で、甲板の残骸の調査に向かっていた禍津蛇・ヴィルヘルム(c00968)が帰ってきた。

「ロープと、空の樽を見つけました。まずは、ロープを使って水深を調べてみたのですが……」
 ヴィルヘルムは、樽を浮き輪代わりにして移動しながら、甲板の残骸から見つけてきたロープと樽とを2人に見せた。
 樽は人数分の3つ見つけているので、ここから移動するのに重宝することだろう。
「水深は計測不能……でした。最小でも水深30mと見積もれるでしょう。どうやら、水底の事は考えなくて良さそうです」
 この水深ならば、シーバルバの村は水の底にあって水底で生活している……という事は無さそうだ。

「それじゃ、早速、小島のようなところに移動しましょうか。水流に乗れば、それほど時間も掛からないでしょう」
 ヴィルヘルムの見つけた樽に捕まって、ファムはそう2人に呼びかけた。どうやら彼女は、ゴミの島に向かう水流を見つけていたらしい。
「そうさね。食料を見つけなければやっていけないだろうしね」
「異議無しです」
 ファムの呼びかけに、エマとヴィルヘルムが同意し、小島のような物へ向けて移動が開始された。

●小島へ向けて
「水流に乗っていれば、たとえ島にバルバがいても、怪しまれはしないでしょう。姿勢は低く、島から見て樽の影になるようにして移動していきましょう」
 予想される危険に対して的確な指示を出すヴィルヘルムに従い、樽に隠れながら、油断無く周囲を警戒して小島に近づいていった。

「小島に食料があれば良いのだけどね」
「誰かが住んでいるのならば、食料もありますよきっと」
「まぁ、住んでいるのはバルバに間違い無いけどね」
 そんな会話をしながら、小島に向けて流されていく3人。
 小島の大きさは、周囲数百メートルというところで、ゴミが集まった浮島という風情だ。

「水が汚れてきたね」
「あと、腐った臭いもする」
「腐るものがあるって事は、誰かが生活している可能性は高いさね」
 と、その時ファムが気付いた。

「見て! あれは、チッタニアンだよ」
 ゴミためのような小島から、粗末な身なりのシーチッタニアンが小さな船を出して漕ぎ出そうとしているようだ。腕からヒレが生えている。
「どうやらあれが、この島の住人のようさね」
 エマが冷静に分析するが、ヴィルヘルムは焦った声をあげた。
「まずいです。彼の目的は、この樽です」
 流れてくる樽をみつけて、何か価値のあるものが中に入ってるかもと調べに来たのかもしれない。

 そのヴィルヘルムの懸念は、正鵠を射ていたようだ。
「あたらしいゴミを見つけたでち〜。何か良いゴミならよいでち〜。良いゴミだったらうれしいでち〜♪」
 歌うように船を漕いで近づいてくるシーチッタニアン。
 このままでは、見つかるのは時間の問題だ。
(「樽をこのままにして、急いで離れましょう。小島にシーバルバがいる事がわかっただけで収穫です」)
 このシーチッタニアンを回避して、小島に乗り込む手段を考えようと小声で主張したのはヴィルヘルム。だがファムは、
「相手が一人で海の仲間で来てくれるなんて、これは情報収集のチャンスだよ。小島に他にシーバルバが何人いるかとか、そういう情報、必要でしょ?」
 ファムの言葉に、エマも、
「小島に乗り込んでシーバルバに取り囲まれるよりは全然マシさね」
 と同意したので、ヴィルヘルムも渋々頷いたのだった。

●シーチッタニアンの言う事には
 シーチッタニアンが「おたからでちー♪」と樽に近づいてきた時を見計らい、ファムが水の中から姿を現し、誘惑するしぐさで語りかけた。
 自分の魅力は種族を越えて通用する……ファムがそう考えてハニーを使ったのかは判らないが、その悩殺ポーズは、シーチッタニアンの心を捕らえてしまったようだ。
「樽の星霊さんでちね。きれいでち〜……」
 何か勘違いされた気もするが、面倒くさいので3人はそういう設定で話を進めることにした。

 シーチッタニアンの話によると、ゴミが集まった小島はこの周辺に多数あり、それぞれ、下層のシーバルバ達が暮らしているらしい。
 このゴミの小島の向こうには、獣王や偉いバルバ達が住む場所があるのだそうだ。
 そして、ゴミの小島を含めた全ての水域は『獣王の国』であるのだという。
「じゃぁ、この世界で、いま話題や問題になっていることはあるのかな?」
 というファムの問いには、
「渦の上から大きなゴミが落ちてきたでち、何が落ちてきたのかみんな、気にしてるみたいでち」
 と答えてくれた。

 その後、このまま水の中に居続けるわけにはいかないと考えた3人は、このシーチッタニアンの棲処に案内して貰う事にした。
 3人は、ここで一休みしたら、改めて調査を再開しようと考えたのだ。

 3人を樽の精霊かなにかだと勘違いしたシーチッタニアンは快く3人を棲処に案内してくれ、波乱に満ちた一日は、平和のうちに幕を閉じた、かに思われた。

「明日以降の探索もがんばりましょう」
「そうですね、本番は明日以降です」
「休めるうちに休むのが、体力を持たせるコツさね」
 しかし、彼らが得られた休息は僅か数時間でしかなかったのだ。

■第2ターンオープニング

 3人がシーチッタアンの棲処で休息を取ってから数時間後、大渦近くの水域はにわかに慌ただしくなり始めた。
 煌々と明かりをともした海賊船が水域に集まり、小舟に乗ったシーバルバ達が、捜索に乗り出したのだ。このシーバルバ達は、3人と、そしてシーチッタニアンのいる小島へとやってきた。

「ゴミクズどもよ聞け! この水域より、『獣王』様の船首像の反応が出た! これより、一斉臨検を行う、全員、ゴミ山から外に出やがれ!」
 高圧的なバルバの怒声が、深夜の小島に響きわたった。
 その怒号に、シーチッタニアンは、びっくりして腰を抜かしたようだが、慌てて棲処から走り出ようとする。

 ファムが慌てて、シーチッタニアンを捕まえて事情を聞くと、
「『いっせいりんけん』はこわいでち。島にいるのが見つかっただけで殺されるでち〜」
 と、がたぶるしながら教えてくれた。

「『獣王』様の船首像というと、あれですよね」
「えぇ、私達と一緒に落ちてきた幽霊船にあった船首像で間違い無いと思うわ」
 あの船首像には何か秘密の機能があったのだろうか。
 そう考える2人の元に、外の様子を伺ってきたエマが戻ってきた。
「こりゃまずいさね。島の外にバルバの船がぎょうさんいるさね」

 夜陰に乗じて脱出したいところだが、シーバルバの捜索隊の目を誤魔化して水の中を脱出するのは簡単では無いだろう。
 このまま此処に隠れて臨検とやらを、やり過ごす事を試す事は出来るが、やり過ごせるかどうかは、運頼みになってしまう。
 いっその事、自分達から名乗り出てみる方法もある。うまくすれば、地上の生き証人である自分達を捕まえて、本拠地に運んでくれるかもしれない。

 どちらにせよ、残された時間は少ない。
 その中で、ファム、エマ、ヴィルヘルムの3人は思案を巡らせるのだった。

■第2の選択肢

 さぁ、君達はどうする?
 『7月22日(金)朝8:30』までに、ひとつ選択してください。
 3人バラバラに選択しても、【幽霊船深海へ!】相談所で相談してから決定しても、どちらでも構いませんが、最終的には全員でひとつの行動を取ることになります。

(1)夜陰に乗じて小島を脱出する
(2)小島の中に隠れて臨検をやり過ごす
(3)自分達から名乗りを上げる

●プレイング(全角600文字まで)

 その選択肢を選んだ理由と、詳細なプレイングを書いてください。
 3人の選択がバラバラな場合は、この欄を確認し、最も説得力があった行動を取る事になります。
 (3人がそれぞれ別行動することはありません)

■第2ターンプレイング


禍津蛇・ヴィルヘルム(c00968)
(2)小島の中に隠れて臨検をやり過ごす
 もし捜索隊に拘束され、彼等の本拠地に連れて行かれれば、そこから抜け出し、地上へと自力で戻る事は今以上に困難になるか。
 例え一時でも彼等の目を遣り過ごす事が出来れば、捜索網を掻い潜り、この水域から離脱する好機がきっとあるはずです。
・行動
 チッタニアンには我々の存在を固く口止めして貰える様に懇願。
 ハイドウェポンで武器を懐に隠し、この案に付き合って貰うお二人には大変申し訳ありませんが、ゴミ溜めの中に身を潜める。
 捜索隊を上手く遣り過ごす事が出来れば、チッタニアンから地上とこの世界を結ぶ場所を聞き出し、新たな浮き輪の代用品を確保の上、夜が明ける前にこの水域を早々に離れ、その場を目指す。
 その際にはチッタニアンに自分の食料を分け与え、丁重なお礼を。
 もし彼等の捜索が長時間に及ぶ、またはチッタニアンが酷い目に遭いそうならば、ノーブルコミュ状態で丁重に完全降伏の意思を示し、大人しく投降する。
 捜索隊が拳を振り上げるようなら、この身を盾とし、二人に危害が及ばぬよう、彼等の質問には真っ先に澱みなく答えるよう勤める。
 幽霊船のバルバ達の末路について言及されても、知らぬ存ぜぬで貫き通す。
 この世界にいる方便は、「ゴンドラに乗っていたら幽霊船と遭遇後、興味本位で乗り込んだらバルバの死体を発見し、訳の分からないまま渦に飲まれた」としておきましょうか。
 相手に明確な殺意が見えれば、包囲を強引にでも掻い潜り、海に飛び込む。

竪琴の魔曲使い・ファム(c02842)
(3)自分達から名乗りを上げる
 話を聴かせてもらい、さらには泊めてもらったシーチッタニアンたちに、迷惑をかけるわけにはいきませんので、事が大きくなる前に、自ら名乗り出ませんか?
 相手に謙るような口調で、獣王のことは、様付で呼び、なるべく相手を刺激しないようにします。
 相手に伝える内容は、
「獣王の船とは知らなかった」
「謎の船が現れたので調査のため乗り込んだところ、シーバルバたちの死体があった、詳しく調査する前に、渦に呑みこまれた」
「船は砕け散り、生存者がいたのか、何を積んでいたのか調査前だったので全然分からない」
「自分たちの元居た場所に帰りたいが、方法はないか?」
「シーチッタニアンたちには世話になったので、乱暴はやめて欲しい」
 などの内容を、シーバルバたちを自分たちが殺した事をふせ、相手に伝えようとします。
 身振り手振りや笑顔など、あからさまにならないよう「ハニー」を使い、相手の警戒心を解きながら、話してみようと思います。
 また、獣王が何かを計画しているのか、それはどのくらい進んでいるのかなども、うまく会話を誘導できるのなら探ってみたいと思います。
 その場で即殺されてしまうような場合は、攻撃アビで、敵部隊の指揮者を優先的に攻撃し、部隊の混乱を図りつつ戦闘をしたいと思います。
 勝ち目が薄そうな場合は、乱戦のスキを見つけ水中に飛び込み、逃げようと思います。
 可能なら、物陰等に隠れた際に「ドレスアップ」で敵の服装を真似て仲間と思い込ませ、敵をうまくスルーできないか試してみます。

魔鍵の星霊術士・エマ(c21742)
(3)自分達から名乗りを上げる
「どうやら目的はあたし等みたいだね…」
 但し暫く(10分〜20分程度)臨検隊の様子を見る。もしやり過ごせそうならドローブラウニーで、「持て成してくれたお礼にちょいと掃除するよ」と言いながら痕跡も消しゴミ等に隠れる。
 臨検が自分達の予想以上に荒々しく、チッタニアンに危害が及ぶと感じたらその時点で即座に投降。「何、心配する事ぁないさ、アンタは何も知らない、関わり合いになってないで通すんだよ」
 念の為チッタニアンが自分達が去った後に危害が行かないようそう笑顔で笑いながらも(安心させるように)言い含めておく。
 魔鍵は元々太ももにある剣帯にあるので隠れてはいるが、「武器を出して投降しろ」等言われたら大人しくそれに従う。
 相手をヘタに刺激せず、こちらには抵抗の意志がない事を表明する。
 何か聞かれたら「あたし等は迷い込んだだけだよ、地上に戻れるなら戻りたいだけださね」と言い、幽霊船のシーバルバに関しては知らぬ存ぜぬを貫き通す。
 相手方の様子を伺い、もし強行に自分達に危害を加え殺そうと動くなら、自分も魔鍵からジェナス(ピーラー)とアクア()を召喚し仲間を連れて逃走を試みる。
 捕縛して連れて行こうとする。
 交渉の余地ありと判断したら大人しく指示に従う。

■第2ターンリプレイ

●名乗り出る者、隠れる者
 ゴミを集めた島の中、チッタニアンの棲処で、3人は臨検に来るというバルバの怒号を聞いていた。
「もう行くでち! 中にいるのを見つかったら、ころされるでちよ!」
 引き留めていたシーチッタニアンの怯え方を見れば、この臨検が多分に暴力的である事が想定できた。
 必死に出て行こうとするシーチッタニアンを引き留めておくのは難しいと考えた、禍津蛇・ヴィルヘルム(c00968)は、自分達の事は絶対に秘密にして欲しいと懇願してから、竪琴の魔曲使い・ファム(c02842)に手を放してあげるように促した。
「何、心配する事ぁないさ、アンタは何も知らない、関わり合いになってないで通すんだよ」
 別れ際に、魔鍵の星霊術士・エマ(c21742)がそう念を押すと、シーチッタニアンは「わかったでち」と頷いて波間に消えていった。
 こうして島に、残ったのは3人のエンドブレイカーだけとなった。

「どうやら目的はあたし等みたいだね……」
 とりあえず、ドローブラウニーを使いシーチッタニアンの棲処を清掃したエマが言うと、
「そのようね。このまま隠れて見つからずに済む確率は、それほど高くない……でしょうね」
 ファムもその意見に賛同した。
「そして、私達がこの場所で見つかってしまえば、シーチッタニアンさんに迷惑が掛かってしまうのよ」
 ファムは、そう言うと、『何処に隠れていたかわからないように』正面から名乗り出ようと切り出した。
 この考えに、エマは重々しく頷いたが、
「もし捜索隊に拘束され、彼等の本拠地に連れて行かれれば、そこから抜け出し、地上へと自力で戻る事は今以上に困難になる」
 と、ヴィルヘルムは明確に反対した。
 とにかく、小島の中で臨検をやり過ごし、その後、この水域から脱出する事が、最善の策である。
 そのヴィルヘルムの主張は非の打ち所が無く、理路整然としていた。

「あなたの言う事に一理があるのはわかってるわ。でも、もしここで逃げ出す事だけ考えたら、私達が危険をおかしてまでここに来た意味があるのかしら?」
 ファムは、この機会を逆に利用して、『獣王』が何かを計画しているのか、それはどのくらい進んでいるかなどを探りだすべきだと考えたのだ。
 リスクが高過ぎるというヴィルヘルムと、今がリスクを取るべき時というファム、意見は平行線を辿るが、ここで解決策を提示したのはエマだった。
「どっちにしろ、ここで隠れていても見つかる可能性は高いさね。なら、誰かが自ら名乗り出たほうが隠れるほうも見つかりにくいってものさ」
 それは、ヴィルヘルムの計画を成功させやすくするために、ファムとエマが自ら名乗り出る作戦であり、かつ、エマとファムが失敗した時の為の保険としてヴィルヘルムを残す作戦でもあった。

「あとは、最善を尽くすのみさね」
 エマは、そう言うと、エマとファムの背中を叩いた。
「私らは、この場所でたった、3人きりの仲間さね。互いにベストを尽くし、良い結果を残そうじゃないか」

 そして2人は、臨検のバルバの元へと歩み出した。
 残ったヴィルヘルムは、シーチッタニアンの棲処のゴミ溜めの中へと身を潜めた。

●バルバの船の賓客達
 結果として、臨検のシーバルバは、エマとファムの登場に大げさなまでに驚いて、下にもおかぬおもてなしで、自分の船へと招いたのだった。
 『人間』は、彼らが求めたやまぬ『地上』の生き物であり、その『人間』を生きて捕らえたとなれば、どのような褒美でも望みのままなのだそうだ。

(「そういえば、幽霊船のシーバルバも、金にも勝る『ヒト』の首と言ってましたっけ」)

 ファムは、そう思い出しつつ、与えられた個室で食事を取る。
 折角の『人間』が死んでしまえば褒美が減ると考えてか、乱暴な行為などは全くされず、食事もおそらくは上等なものが与えられていた。バルバの食料であるので高望みは出来る筈も無かったが、少なくとも、船の漕ぎ手達が与えられていた残飯とは比べものにならない。
 だが、このもてなしにはもう一つの理由もあったようだ。
 見張り付で甲板の散歩をしてきたエマは、部屋に戻ってくるとファムにこう耳打ちしたのだ。
(「見張りのバルバから聞いたけどね、メスの人間を『獣王』様が気に入れば、お手つきになるだろうってさ」)
 五十路のエルフだから対象外だと思うが、その見分けがバルバにつくとは限らないからねぇ、とエマは続ける。
(「つまり、私らは、『獣王』様のお嫁さん候補というわけさ。そりゃ、下にも置かぬおもてなしになるってものさね」)

 どうやら、ヴィルヘルムが名乗り出ずに隠れた事は、僥倖であったのかもしれない。
 ただ、人生の場数を踏んでいるエマと違ってファムは、その情報に背筋を振るわせた。
 そして、
(「バルバの王の妾なんて、ぞっとしますね」)
 もし、そんな事になれば、暴れて暴れて逃げ出してみせる。
 そう心密かに決意したのだった。

●脱出路は何処か?
 一方そのころ、臨検のバルバが去り、ヴィルヘルムはごそごそとゴミ溜から這い出していた。
 2人が危険になれば、ゴミ溜の中からでも飛び出して、2人の為の盾になる覚悟だったが、そうはならずに無事に臨検が終わり、シーチッタニアンも心配顔で戻ってきた。

「はれ? 樽の星霊さんは行ったんじゃんかったでちか?」
 シーチッタニアンの質問を曖昧にごまかしつつ、ヴィルヘルムは幾つか質問をした。
 質問は、あそこに見える『上から下に落ちる渦』と反対で『下から上に落ちる渦』が何処かに無いかというものだ。

「したからうえでちか? あしたぐらいには、そうなるとおもうでちよ」
 そのヴィルヘルムの問いに、チッタニアンはキョトンとして答えた。
 彼が詳しく問いただした所、どうやら、彼らが落ちてきた渦は、上に登ったり落ちてきたりを繰り返しているらしい。

(この場所に繋がるような渦がそう何個もあるというのも、おかしな話ですから、信憑性はありますね)
 ヴィルヘルムはそう言うと、チッタニアンに自分の食料を与え丁寧にお礼を言うと、棲処を後にした。2人の為にもまずは脱出路を確認する。それが今の自分の役割なのだから……。

 島で水に浮く手頃な木ぎれを見つけたヴィルヘルムは、再び、水の中へと足を踏み入れる。水の流れは先日とは逆で、渦に向けて流れ出しているようだ。
(「流れが反転しているのは、渦が反転している証査ですね」)
 そして、ヴィルヘルムは『渦の上下が逆転しており、この渦に飛び込めば……その過程で命を失わない限りは、元の場所に戻れるであろう』事を確認し、2人の行方を追おうと島に戻る事にした。

 脱出路さえわかっていれば、2人を助けて逃げる事もできるだろう。そう考えて、小島に戻ってきたヴィルヘルムを迎えたのは、シーチッタニアンからの一つのニュースであった。
 そのニュースとは……、
==========================
『獣王』バンガイア様が「人間の女」を娶り、地上の支配を開始する。
==========================
 という、驚天動地のニュースであった。

■第3ターンオープニング

 ヴィルヘルムを驚かせたニュースの少し前……。
 ファムとエマは、バルバ的に美しいと思われるらしい、ただ粗暴なだけの衣装に着替えさせられ、『獣王』の前に召し出されていた。
 シーバルバ達の主……『獣王』バンガイアの居城は、一つの街に匹敵する巨大船であり、そこには数千体のシーバルバマスカレイドが暮らしているようだ。その船はシンプルに「巨大船バンガイア」と呼ばれていた。

「お初にお目に掛かります獣王様。まずは、私達の事情から説明させて頂けないでしょうか」
 『獣王』の目の前に引き出されたファムは、開口一番そう話を切り出していた。
 曰く、
「謎の船が現れたので調査のため乗り込んだところ、シーバルバたちの死体があった、詳しく調査する前に、渦に呑みこまれた」
 曰く、
「船は砕け散り、生存者がいたのか、何を積んでいたのか調査前だったので全然分からない」
 曰く、
「自分たちの元居た場所に帰りたいが、方法はないか?」

 そこまで一息に告げた後、ファムは改めてまじまじと、玉座に座る『獣王』を見上げた。
 ジャグランツをも上回る巨躯の、ライオンの頭部を持つバルバ。体に生えた魚のヒレはシーバルバの特徴だが、果たして地上の種族にもこのようなバルバが存在するのか、それとも、深海特有のバルバなのか。
 そして、バンガイアの肉体は異形にまみれていた。左頭部に見える仮面は、紛れも無きマスカレイドの証。だがそれだけではない。彼の右半身は不気味に異形化・肥大化し、右頭部は黒い炎のような異形に包まれている。

「『部位』が気になるか?」
 突然のバンガイアからの問いに、ファムは我に返る。
「『部位』とは、ゼルデギロス様より賜りし力の断片である。今お前が目にしているのは、ゼルデギロス様の『右頭部』と『右半身』。戦いとなれば、我はあと『左頭部』と『左半身』を顕現させることができる」

 4つの『部位』……。
 それがどれほどの価値を持つのか、エマとファムには分からないが、バンガイアの放つ凄まじい気は、彼の間違いの無い強さを示している。

「さて、質問への答えがまだだったな。良かろう、お前達を地上に返してやる」
「えっ……」
 あまりの即答に、思わず慌てるエマとファム。
 バンガイアはそんな彼女達の反応を見て、僅かに口の端を上げたかのように見えた。
 そしてファムを指さし、
「別にどちらでも構わんのだが、お前の方が若干若く見えるな」
 と言うやいなや、唐突にファムを抱え上げ、同時に雄叫びの如き声量で宣言を行った。

「皆の者、聞け! 今この時より、これなる人間の女を我が花嫁とする! この花嫁こそが、我等シーバルバを地上の楽園に導くであろう!!!」

 バンガイアがそう言うと、集まったシーバルバのマスカレイド達から割れんばかりの歓声があがった。
 『獣王』の花嫁!
 思いがけず、『獣王』の婚礼が告知されたのだ。シーバルバ達が歓声をあげずにいられるだろうか。

 だが、驚いたのはファムとエマの方が上だったろう。愛妾にされるかもという懸念はあったが、いきなり花嫁と言い出すとは思わなかったのだ。
「慣例に従い、これより1ヶ月、花嫁は各地の領主の船を訪れて祝いを受け、その後に婚礼の儀を行う。この婚礼の儀こそは、我等が地上侵攻の幕開けになるだろう」
 魔王の部位である右腕を高々とあげる『獣王』バンガイアに、先程以上の歓声をあげるマスカレイド達。
 続いて、飲めや歌えやの宴会が始まったのだった。

(「大変な事になったさね。だけどね、一ヶ月の間、各地を巡るというのならば、それは、脱出のチャンスってことだろうさね」)
 エマが、あまりの出来事に混乱しているであろうファムの耳元で囁いた。
(「外にはヴィルヘルムもいるし、花嫁という立場が役に立つ事もあるだろうさ」)
 それは、希望的観測に過ぎなかったが、今となっては唯一の希望なのかもしれなかった。

■第3の選択肢

 今回は、全員別々の選択肢です!
 自分の名前の選択肢から、ひとつ選んでください。
 『7月26日(火)朝8:30』までに、ひとつ選択してください。
 今回はみんなバラバラですが、今まで通り【幽霊船深海へ!】相談所で相談しても構いません。
 なお、ヴィルヘルムさんは、リプレイやオープニングに書かれたエマやファムに関する内容を、独自の情報収集により知っていると考えてください。

(1)ファム:妻として獣王を助け、アクエリオ征服に乗り出す
(2)ファム:獣王の妻となり、その権限で他の2人を地上に逃がし自分は残る
(3)エマ、ファム:2人で協力して脱走を試みる(困難)
(4)エマ、ファム:ヴィルヘルムが助けに来てくれる事を信じて待つ
(5)ヴィルヘルム:1人だけでも脱出して情報を伝える(簡単)
(6)ヴィルヘルム:2人を助ける方法を考えて実行する

●プレイング(全角600文字まで)

 その選択肢を選んだ理由と、詳細なプレイングを書いてください。

■第3ターンプレイング


禍津蛇・ヴィルヘルム(c00968)
(6)ヴィルヘルム:2人を助ける方法を考えて実行する
 自身を小心で無力な凡人と信じて疑わぬロクデナシ故、私一人では何も出来ず。作戦成功には、この地で圧制に苦しむ者達の協力が必要か。
【行動】
 チッタニアン(以下、チッタ)の交友関係を頼り、彼を仲介役として作戦に協力してくれる十数名のバルバ(以下、B)を募る。
 初対面のBにはハニー使用。
【交渉】
・EBと仮面憑の説明。
・近い未来、この地は人と獣の軍勢との戦場となり、争いを好まぬBも戦に駆り出される可能性大。
無用な流血を避ける為に、EBに人との争いを忌むBがいる事を証明出来れば戦で戦意の無い者を攻撃しない。
・亡命者は我々がその安全を保障。
・王討滅後、国に戻るかは各人の自由。
【作戦】
 チッタに、この国の地図と渦の秘密、私達の現状、
 そして私の署名を認めた手紙をアクエリオのEBへ届けて貰えるように要請。
 決行は渦が地上へ向けて噴出しており、且つ警護が手薄な領主船の甲板に囚われの二人が現れた時。
 集まったB達を数組に分け、あらゆる方向から領主船へ向けて遠距離アビを一斉放射。
 敵を倒す為ではなく、あくまで牽制目的で立ち回り、その混乱に乗じて速やかに二人を救出。
 百万の言葉よりも一つの雄弁な態度を以って、二人だけは絶対に地上へ返す意を示す。
 敵方のBに、獣王から逃れたい者がいれば私に協力するよう呼び掛ける。
 協力者の士気を上げる為にも、私が先陣を。
 その後、全員で渦に向けて逃走し、全力で都市を目指す。
 協力してくれたBに被害が出ぬよう、殿は私が。

竪琴の魔曲使い・ファム(c02842)
(2)ファム:獣王の妻となり、その権限で他の2人を地上に逃がし自分は残る
 この事態を確実に地上へ伝え、シーバルバたちとの戦争に備えられる様、獣王の妻となり、彼や彼の側近たちにお願いし、仲間2人を生きたまま確実に地上へ帰還させるようにします。
 私自身は、この世界に残り、妻として獣王の仕事の手伝いなどを申し出ながら、彼や魔王の特技や弱点、タブーとしている事などを調べます。
 彼が席を外し、誰かとコソコソ話しているような場合は、「ヒアノイズ」を使用し聞き耳を立ててみます。
 また「ヒアノイズ」で彼が自室にいないのを確認し、彼の自室やよく利用する部屋などを調べてみたいと思います。
 また、彼らの船の特徴や国の事情、統治状態、この世界の地理など。
 獣王に従う派閥、中立、従わない派閥は、それぞれどれくらいの数があり、どのくらいの戦力を有しているのか、どのくらいのバルバがマスカレイド化しているのか、「棘」の元となっているような物がこの世界にあるかなどを調べたいと思います。
 可能ならば、シーバルバと人間、双方が争わない路を探したいと思います。
 いろいろ調べる理由を聴かれたら、王の妻として彼の弱いところも知っておかねば支えられないだろう、領主の船を訪れた際、何か質問され、何も答えられないようでは王の顔に泥を塗ってしまうなどの理由を挙げておきます。
 誰かと接する際は、獣王の妻という権力ではなく。
「ハニー」や魔曲使いとして身に付けた歌や踊りなど「私自身の魅力」というやつで、相手に受け入れられていきたいと思います

魔鍵の星霊術士・エマ(c21742)
(3)エマ、ファム:2人で協力して脱走を試みる(困難)
「こりゃ参ったね、捕らわれのお姫様って奴かいこの年で」
 とフゥッと息を吐き
(だからといって悲劇のお姫様を嘆く年じゃないよ!)
 まずは自分の置かれた立場を把握。
 其の後ファムを連れて直ぐに脱走は可能かそれは無理だと判断した後。
 無事やりすごせたヴィルヘルムはどう動くか考える。
(1人でも地上に帰って貰いたいが、渦に一緒に飛び込むとか案外無茶するからねぇ、助けに来そうだよ。だが…)
 長い事一緒にいた頃を考える。
(あの坊ちゃん1人で助けに行く程無茶ではないからねぇ…慎重に何か事を起こして、それから助けに来るだろうね)
 そして自分はどうするかを決める。
 まずは獣王に懇願。
「ファムを置いて一人おめおめ地上に戻る気はないよ!」
「大体あんた等に人間の細かい世話が出来るのかい? 伊達に120年もメイドやってないよ あたしをファム付きのメイドにしておくれ!」
 そうする事で二人で連絡を取り合う時間を作る。
 其の後で城で下働きをしている所を視察。
 効率的な掃除の仕方や激的なシミ取り方法美味しい料理のレシピを教えたりして信頼を得ていく。
 下働きに出入りするのは『ヴィルヘムルが連絡を通そうとするならここが一番来そうだから』小島と城を行来下働きの者に手紙を渡す等するのではと考えた。
 自分は城で働いているバルバから情報を入れる(城の内部事情や政治の様子獣王や上部への不満など)
 ヴィルヘルムと連絡が取れてもなくても領主視察の小島が脱走の機会と判断。


■第3ターンリプレイ

●エマの憂鬱
 獣王バンガイアの支配する海域を、一隻の帆船が海面を疾駆していた。
 その船には、獣王の船首像が飾られており、獣王直属船団の船であることが見て取れる。
 獣王の船も、いわゆる「ゴンドラ」である。乗り手と共に成長する魔法の船ではあるが、その力に加えて、定期航路ならば『帆』が、冒険航路ならば『奴隷シーバルバ』が、追加の推力として用意されている。
 ゴンドラとしての能力が同程度ならば、追加推力が速度の大きな差になる。
 この速度により、獣王直属船団はこの海域に覇を唱えているのだ。

「こりゃ、参ったねぇ……」
 その帆船『獣王の花嫁号(船の名前は変更されたばかり)』の上で、魔鍵の星霊術士・エマ(c21742)がフゥゥゥと大きなため息をついた。
 『獣王の花嫁号』の目的は、各地の領主の船団を訪問し、獣王バンガイアが発した「地上侵攻の大号令」を伝える事である。
 既に幾つかの大領主の船団を巡ったが、海域を任される大領主クラスになると、配下の一兵士までマスカレイドとなっており、獣王の決断に対して、奮い立つほどの賛意を示したものだった。
 これには、ファムとエマという『生き証人』の存在が大きかったのだろう。
 彼らの多くは、地上への夢は忘れられなかったものの、地上への移動は夢物語と諦めていたフシがある。シーバルバの出現が最近であった事を考えれば、以前はどのような方法を使っても地上に出る事はできず、その状況の変化をマスカレイド達が認識できていなかったと考えるのが適切なのだろうか。

 エマとしては、ファムと2人で逃走する事を目標に、獣王の花嫁号の構造を調べたりシーバルバマスカレイド達の仕事ぶりを観察したり、或いは、メイドとして仕事をしながら調査していたのだが、まるで、そのとっかかりも掴めなかった。
 なによりファムが、『獣王の花嫁号』に乗り込む前に、バンガイアと2人きりの会談をもった以降、エマに全く接触してこないのだ。
 エマが『獣王の花嫁号』に乗り込む事を拒否はしなかったが、その後は、多くのマスカレイドシーバルバにかしづかれ、まさに、獣王の妻というべき立ち居振る舞いで、エマが話があると伝えても、取り次ぎのシーバルバを通じて、冷たい拒絶をしてくるのみだった。

「ファムには何か考えがあるのだろうけどね……」
 フゥゥゥと、エマは大きなため息をつく。

(あとは、あの坊ちゃんに期待するしかないさねぇ)
 それが、エマに残された唯一の希望であるようだった。

●ヴィルヘルムの無謀な交渉
 一方、禍津蛇・ヴィルヘルム(c00968)は思い知らされていた。
 調べれば調べる程、海域における獣王の偉大さを知る事になり、自分がいかに無謀な事をしようとしているかを認識させられてしまうのだ。

 とりあえず、シーチッタニアンに手紙を携えて、渦に飛び込んでもらうようにお願いをしてみたのだが……。
「そんなのイヤでちよ。死んじゃうでち」
 渦の向こうには地上があると幾ら説明しても、渦に飲み込まれたら死んでしまうのだと言って聞かないのだ。そもそも、自分達を樽の星霊だと勘違いしたようなシーチッタニアンである。迷信深いのもむべなるかな。
(実際、地上に現れたシーバルバの中では、流れ着いたときから死体であった例もあった事を考えれば、シーチッタニアンの言い分にも理があったかもしれないが)
 手紙を渦に流してくれる約束はしてもらえたが、樽に手紙を入れて流したとして、読める状態で地上まで流れ着く可能性は、おそらく殆ど無いだろう。頑強な幽霊船ですら、あれほどのダメージを受けていたのだ。

 気を取り直して、ヴィルヘルムは、シーチッタニアンの交流関係を頼りに、何匹の「マスカレイドでは無いシーバルバ」との接触を持った。そしてエンドブレイカーとマスカレイドの説明を行い、近い将来、ここでエンドブレイカーとマスカレイドの戦いが発生し、君達も戦いに駆り出されてしまう! という噂を流そうとした。
 しかし、反応は鈍かった。事情を知らなければ、そもそもエンドブレイカーとマスカレイドが何かを理解する事は難しい。ましてやバルバの知能である。そして、その前提が無ければ、何の根拠もなく政治不安を煽ろうとしていると捉えられても仕方が無い(幸いにも、バルバ達はそこまで理解することも無かったが)。

「シーチッタニアンのなんと頼りにならないことか。いや、そのシーチッタニアン頼りの作戦しか考えられなかった自分こそが頼りない……」
 ヴィルヘルムは、そう落胆するしか無かった。

 自分が『人間』の姿を持っている事を、作戦に有効に生かすことができなかった事は、ヴィルヘルムの不覚の一つであったろう。
 そして、もう一つの不覚は、自分が『人間』の姿を持っている事に対する用心を忘れたことであったかもしれない。

 数日後、ファムの使者を名乗るシーバルバと接触したヴィルヘルムは、複数のシーバルバに拘束され、ファムの前へと引き立てられることになる。
 すぐに知ることとなるのだが、「人間の男」を捜すように命ぜられたバルバの部隊が、捜査網を敷いていたのだ。

●ファムの選択
「……あなたの妻となりましょう。そのかわり、残り2人はすぐに地上に帰してあげて下さい」
 『獣王』バンガイアと2人だけの会談を望んだ竪琴の魔曲使い・ファム(c02842)は、そう切り出した。
「残り2人……? 人間は、あの女だけでは無いのか?」
 バンガイアの問いに、ファムは頷く。
 彼の力の前で、隠し事をするのは得策では無い。エマだけを逃がしてもらい、ヴィルヘルムには独自の才覚で動いてもらおうとも思ったが、それではヴィルヘルムの安全が確保できない。おそらくヴィルヘルムは私達を助ける為に行動してくれているだろうし、言っておかなければ、最悪見つかって殺されてしまう。

「それが花嫁の望みならば、『獣王』の名において約束しよう。ここに居ない1人を見つけ出し次第、2人まとめて地上に帰してやる」
 バンガイアは不自然なまでに優しく、ファムにそう語った。
 ファムは、その返答に安堵し、獣王に対してほほえみかけた。

「あなたが約束を守ってくれるのならば、私も妻としてのお手伝いをさせて頂きます」
 勿論、これは、ファムの心からの言葉では無かった。
 本心は、これを機会に、獣王陣営の情報を探ろうという心算だったのだが、ファムは『獣王』の力を過小評価し過ぎていた。

 ……いや、それは違う。
 マスカレイドを熟知したエンドブレイカーであればこそ、『その危険性』は真っ先に排除して考えていたのだ。有りうる筈は無い、と……。

 ファムの返答を聞いた獣王は満足げに頷き、こう答えた。
「良き答えだ、花嫁よ。ならば互いを名前で呼び合うために、深い『契り』を結ぼう。と言っても、我はこれからも、汝の体に指一本たりとも触れる事は無い。我等の契りはもっと深い……汝もエンドブレイカーならば、よく知っているであろう……!」

 今、獣王は『エンドブレイカー』と言ったか……!?
 疑問を抱く間も無く、ファムは獣王の『部位』より発せられた膨大な「棘(ソーン)」に包み込まれた。
 「エンドブレイカーはマスカレイドにならない」
 その法則を一笑に付すが如き奔流に、ファムの全身は瞬く前に汚染された。僥倖だったのは、ファムが自らの意志を全て失う前に、僅かながらも『拒絶』の意志を残せたこと。そしてその事実を獣王には知られなかったこと。

 全身を包んでいた紫の炎が払われたとき、そこには一体の、強大なマスカレイドが誕生していた。
 終焉を終焉させる力は失われ、新たなる終焉をもたらす者が降臨したのである。

「我が妻ファムよ、汝はこれより『獣王妃』を名乗れ。我らが覇権の為に、地上侵攻の総指揮を執るのだ」
「ええ、バンガイア……私はあなたと共にありますわ」
 獣王の言葉に、ファムの姿をしたマスカレイド「獣王妃ファム」は、艶然と微笑んだ。

 そして獣王はファムに囁く。
「まだかつての意志も幾許かは残っておろう? 以前の意志を全て失う前に、お前との約束を果たしてしまおう。これが、お前に対する我の証だ……」

●それぞれの道
「一体なんの用なんだね?」
 獣王の花嫁号で下働きの真似事をしていたエマは、突然のファムの呼び出しに面食らって訪ねた。使いに来たのがマスカレイドのシーバルバで、かつ、エマを逃がさないように取り囲んでいるのだから、面食らうのも仕方が無い。
 だが、その呼び出しの謎は、連れて行かれた場所で氷解する。

「あんた、ヴィルヘルムなのか?」
 その部屋の中には、潜伏中にファムの使者を名乗るマスカレイドに拘束されて連れてこられたヴィルヘルムの姿があったのだ。
「すみません、エマさん。しくじりました」
 ヴィルヘルムは、肩を落として報告するが、エマにヴィルヘルムを責める言葉はない。
「あんたは良くやったよ。責められるべきは、きっと、私さ。近くにいたのに、ファムに何もしてやれなかったのだからね」
 ヴィルヘルムの所に歩み寄ると、エマは、ヴィルヘルムを労うように肩を抱いた。
「ファムさんは? ファムさんはどうしたのですか?」
 ヴィルヘルムがエマにそう問うのと、扉が開き、マスカレイド『獣王妃ファム』が姿を表すのとは、ほぼ同時であった。
 獣王妃ファムは、領主達の船団から選りすぐられた精鋭のマスカレイドを率いて、2人の前に立つと、こう告げた。

「ヴィルヘルム、ご無事で何より。エマ、待たせましたね。『かつての私』の願いにより、小舟を一隻用意しました。大きな船ではありませんが、水と食料を積んでいますし、最も頑丈なものを選ばせました。これで『大渦』に向かってください」

『かつての私』とファムが口にする不自然さ。
 それは、今のファムがファムでは無い存在である証であっただろうか。

 もちろん、エマとヴィルヘルムには、今のファムが何なのか、痛いほどに理解できた。
「ファムや、なんてことをしてくれたんだい。私達を逃がすためだってのかい!」
「ファムさん、そんな、ファムさん!」
 2人の呼びかけに、獣王妃と化したファムは答えない。
 躊躇無く2人に背を向けると、来た時と同様、マスカレイドの精鋭を引き連れて部屋を去っていった。

●エマとヴィルヘルムの戦い
 残されたエマとヴィルヘルムは、小舟へと連行されていく。
 3人で地上に帰るという最初の目標は、どうやら叶う事は無いようだ。
 だが、この海域で得た多くの情報を持ち帰る為には、この小舟で大渦を乗り越えるしかないだろう。

「それが、ファムの最後の望みかもしれないのだからね」
 エマの言葉に、ヴィルヘルムは頷き、多くのマスカレイドの監視の中、大渦に向けて小舟を漕ぎ出した……。
戻るTommy WalkerASH