<インフィニティゲート探索 〜封じの女神>
●前回までのお話
●序章
冒険者達は、巨石を砕き巨大なクリスタルインセクトを排し、無限に生み出されるギアのパズルを解き明かし、鏡の回廊を駆け抜けた。 そして、遂にドラゴンの死骸をも乗り越え、冒険者達は更なる困難へと進む扉の前に立つに到ったのだ。
この扉より先は、ドラゴンでさえも立ち入る事ができなかった場所。
個としての極限の強さを誇るドラゴンをも打ち砕いた銀の刃は、神々しくも危険な光を放つ。
はるか昔、死せるドラゴンが、この遺跡に挑んだのは如何な理由であったのか。
それは財宝かもしれない。 或いは力かもしれない。 それとも、その理由は長い年月の末に失われてしまっているのかもしれない。
だが……。 遺跡に隠された物があったとして、死せるドラゴンが望んだ物を得る事は同盟諸国にとって、どのような意味があるのだろうか。
目の前に扉がある。 扉には銀の刃と、貫かれた竜頭。
そして、冒険者達はその扉を……。
●封じの女神
「みんな、お疲れ様! 探索も3度目だけど成功してよかったよかった。頑張った人に、ごほーび♪」 そう言うと、ストライダーの霊査士・ルラル(a90014)は、沢山用意されたホットチョコレートのカップ(←別にルラルが用意したわけでは無い)を差し出した。
「でもやっぱりドラゴンって凄いよね。前の階までの壊れたギアとかは、このドラゴンが倒してたんだよね。冗談みたいだけど冒険者1000人力だったりして」 帰還した冒険者からもたらされた報告を確認して、ルラルはそう感想を言う。 少し的外れだが、大筋は問題はなさそうだ。
「でも、次の扉は開けるかどうか、良く考えなきゃだめみたいだね」 この下には、ドラゴンをも破壊する敵がいるのかもしれない。 いや、実際にドラゴンが死んでいるのだから、いるに決まっている。 「前に進むのも探索を中止するのも同じ勇気だから、良く考えるのですよって、ユリシアおねーちゃんも言ってたよ」
集った冒険者達にむつかしい顔でそう言ったルラルは、改めて次の階層の情報を伝えたのだった。
「おそらく次が最後の階層だと思うんだ。だから次の扉は無いんだけど……。代わりに女神像があるみたい。それじゃ、説明するから良く聞いてね」 そう言ってルラルが説明した『扉の奥の様子』は以下のような物だった。
(1)次の階層への扉は破壊されているので問題なく開ける事ができる。
(2)扉を開けた先は、歩ける雲で作られた真っ直ぐに下に降りる階段です。階段の横幅は30m
で、階段の長さは500m程度です。
(3)階下には、淡く光る紋章文字で作られた法円(半径300m)があり、その中心には全長300m
程の女神像が立っています。女神像には様々な武器のような物が付属しているようです。
(4)天井は巨大な吹き抜けとなっており、鍾乳石で出来た高さの違う列柱が立ち並び、柱を伝っ
て女神像に近づく事で、足元以外の場所も調査する事が可能。
(5)女神のいる方円の周辺部には300体以上の女戦士型のギアが配置されています。
女戦士型のギアには翼があり、また、その背後には『浮遊するマントのような存在』が1体に
1つずつ付き従っています。
(6)女戦士型ギアは地上10mまで飛翔する事ができ、空中から侵入者を迎え撃とうとします。
ただし、動き出してから飛び上がるまでには侵入者を確認してから60秒ほどの準備時間が
必要です。
準備時間前に、戦闘に巻き込まれた女戦士型ギアは、飛行せずに地上戦を行います。
(7)女戦士型ギアの背後にある『浮遊するマントのような存在』は冒険者達の攻撃を受け流し回
避する力があり、女戦士型ギアの防御力を飛躍的に上昇させています。
このマントのような存在と飛行能力が無ければ、女戦士型ギアの能力は『同盟諸国の最高
レベルの冒険者と互角程度』のようです。
(8)女戦士型ギアは、他のギアと違い『一体一体が微妙に違う造詣』となっており、体格や表情、
装備の形状などに変化があります。武器は片手剣と盾を持つのが一般的ですが、両手槍や
弓・杖を装備している者もいます。
(9)女戦士型ギアは数体ずつが連繋して攻撃してくる為、互角以上に戦う為にはある程度の連
繋が必要となります。
しかし、チームを組んで戦う場合でも、あまり大人数になりすぎても上手く連繋できません。
5〜8人程度で連繋のとれた戦闘ができれば有効でしょう。
(10)鍾乳石でできた列柱は高さや太さはまちまちですが、かなりの多数存在します。この列柱を
上手く利用する事で、飛行する敵に対抗する事が可能かもしれません。
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「なんだか怖そうな女神像だけど、悪意みたいな物は感じられなかったよ。だから、何もしなければ女神像は動いたりしないと思うけど……。 でも、今回の探索に行かない人も、何かあった時はすぐに駆けつけられるように準備しておいてね」
そういうと、ルラルはぺこりんこと頭を下げ……そのまま、少し冷めたホットチョコレートを一息に飲み干したのでした。
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